日曜の夜と言えば…。

日曜夜といえば「サザエさん」です。子どもの頃はこれを見る度に、

「ああ、明日からまた学校か…」となんとも憂鬱な気分になったものです。

磯野家は襖で仕切られた昔ながらの平屋で、縁側を通してお隣さんと挨拶が交わされたりします。

近所付き合いが大切にされていて家族ぐるみの交流があり、

タラちゃんはよく裏のおじいさんの家に遊びに行きます。

廊下には今ではほとんど見かけない黒電話があり、玄関に鍵は掛かっていません。

時折お豆腐屋さんのラッパの音が聞こえてきて、

台所の勝手口からは酒屋さんの御用聞きがやって来ます。

このような昔ながらの日本の家に懐かしさを感じる人も多いのではないでしょうか。

それから磯野家では年中行事が大切にされています。

節分、雛祭り、端午の節句、お月見、お彼岸。家族団らんの場で、
四季折々の行事やしきたりの由来などが子供たちに語り継がれます。

夕食の際に茶の間にあるテレビが点いていることはなく、

食事中は座卓を囲んでその日一日の出来事や思い出話し、将来の夢などが楽しく語り合われます。

また、波平の家長としての存在感も「昭和」の時代を思い出させてくれます。

夕方に玄関の戸の開く音がすると「お父さんお帰りなさい」と家族が全員で迎えに出てきて、
子どもたちが率先してカバンを受け取りますし、家族団らんの場では波平が必ず中央に座ります。
食事中にカツオが波平からよく雷を落とされますが、
本式に叱られる時はお座敷で床の間を背に座った波平の前に座らされます。

子どもは子どもらしく大人は大人らしく。

和気藹々とした温かい関係の中に、親と子、大人と子どものけじめがはっきりしていて、

そこには見ていて気持ちのいい秩序があります。

それとは対照的に、平成の時代に入ってからヒットした『ちびまる子ちゃん』や『クレヨンしんちゃん』には

父親としての威厳はなく、まるで友達のような親子関係が描かれています。

そう言えば、少し前に『サザエさん』の視聴率がここ数年で急上昇しているというニュースを耳にしました。

その原因は様々でしょうが、もしかしたら私たちは

最近ではほとんど見かけなくなった家の様子や家族の情景を見ながら

ほっとしたり、昔を懐かしんだりしているのかもしれません。

『サザエさん』の日常には、昭和の日本にあって平成の世では忘れ去られようとしている

暮らし方やものの考え方が健在です。このように改めて考えると、時代の流れとは言え

昭和の家風が消えていくのはなんだか寂しいものです。

さて、この時期になると磯野家では大掃除の計画が立てられます。

家族が役割を分担して、一年の埃を払い新年を迎える準備をするのです。

小さい子は小さいなりになすべき仕事を与えられ、

家族の一員であることを自覚するような教育がなされています。

今では年末の大掃除に力を注ぐ家庭も減ったような気がします。

家族構成や仕事の形態が大きく変わってきたことを考えれば、

それも仕方ないことなのかもしれません。

そんな中、『サザエさん』の年末の風景を目にすると、何だか身が引き締まる気さえしてきます。

私も今年こそは大詰めで慌てたりすることのないように、早めに家の大掃除を始めようと思っています。

最後になりましたが、今年もつつがなく過ごすことができましたことに心より感謝いたします。
来年もさらに精進して参りますので、少し早いですが、どうぞよろしくお願い致します。
皆様、良いお年をお迎えくださいませ。