暖かいお湯は、毎日の暮らしに欠かせません。一日の疲れを癒してくれるお風呂や、汗を流してくれるシャワー。キッチンでも毎日お湯を使います。気持ちよくお湯を使うために、給湯器のリフォームをご検討の方もいらっしゃると思います。ですが、給湯器にもいろいろなタイプがあって迷ってしまうかもしれません。そんな方のために給湯器選びのポイントをご紹介いたします。
熱源と給湯方式の種類について説明します。
熱源
お湯を沸かすためには熱が必要です。昔から利用されている主な熱源はガス、石油(灯油)、電気です。あまり主流ではありませんが、太陽熱も利用されています。2010年頃から普及が大幅に伸びたエコキュートは空気の熱を利用してお湯を沸かす仕組みで、省エネとCO2削減の点でとても注目されています。
それぞれの熱源による給湯器の違いは、このあと詳しく説明します。
給湯方式
湧かしたお湯を風呂やシャワー、キッチンで使うための給湯方式は大きく分けて2種類です。
[瞬間式]水が給湯器を通る際に加熱され、瞬間的にお湯になります。使いたい分だけ、その場でお湯が沸かすためロスがありません。水道の圧力がそのまま出てくるので勢いのあるシャワーが楽しめます。瞬間式は、主にガスや石油に使われています。
[貯湯式]あらかじめ加熱したお湯をタンクに貯めておく方式です。電気温水器やエコキュートに使われる方式です。深夜の安い電力を利用してお湯を沸かすので経済的です。石油給湯機も貯湯式があります。シャワーの水量を多くしたり少なくしても、温度のバラつきが少ないのも特徴です。
以上のように、給湯器は熱源と給湯方式で分類することができます。次は、主に熱源による給湯器の分類と、それぞれのメリットとデメリットを紹介していきます。
長所と短所を知っておきましょう
利用する熱源の違いで給湯器をわけて、その特徴を紹介します。それぞれメリットもデメリットもありますので、比較検討の参考にしましょう。
ガス
都市ガス、LPガスを燃やしてお湯を沸かします。
水栓を操作するとバーナーが自動で着火し、瞬間的に必要な量のお湯を沸かします。使いたいだけ、お湯切れを心配せずに使えるのは大きなメリットです。
給湯器自体がコンパクトなので設置スペースが小さく、設置コストも安価です。
機器の寿命は約8~10年といわれています。燃焼部分があるので、不完全燃焼や排気には注意をしなければなりません。バーナーの着火音や排気音がありますので、深夜に使用する場合はご近所への配慮を。水温が低い冬期はガス消費量が増え、LPガスのご家庭では比較的ガス代が割高になります。
石油(灯油)
灯油を燃やしてお湯を沸かします。
石油ファンヒーターと同じ灯油を使います。給湯方式は瞬間式と貯湯式がありますが、最近では瞬間式を採用する方が多くなっています。ガスよりもパワフルに燃焼しますので、寒い地域でも安定して給湯できます。ガス給湯器と同様の扱い易さがあり、やはり機器もコンパクトですが、灯油を貯めるタンクを設置するスペースを確保しなければなりません。
機器の寿命は約8~10年といわれています。 燃焼時の排気臭と作動音があるので、住宅が密集しているエリアでは要注意です。定期的に給油しなければなりません。
電気温水器
電気を使いヒーターでお湯を沸かします。電気温水器といわれています。
給湯方式は貯湯式で、タンク内の水を経済的な深夜電力(昼間の電気料金の1/3程度)で沸かし、貯めておきます。火を使わないので火災の心配少なく、空気も汚しません。作動音は静かで、深夜でもご近所を気にすることなく入浴できます。また、ゆっくりと湯を沸かすので、塩素が少ない滑らかなお湯になり肌にも優しいといわれています。
機器は燃焼部分がないので故障が少なく、また寿命はガス・石油給湯機より長く約20年といわれています。
お湯を使い過ぎると、貯めたお湯では足りなくなります。(水が出てきてしまいます)。お湯が少なくなるとお湯を作ることはできますが、昼間の電気を使うため、費用が高くなります。貯湯タンクは、ご家族の人数に合わせて選びましょう。4人家族の場合、460リットル位が主流です。設置スペースはガス・石油給湯機より大きくなります。貯湯式のため、水道の圧力が利用できないので、2階以上にシャワーを設置する方は高圧力型タイプを選びましょう。
エコキュート
空気の熱を利用してお湯を沸かします。
エコキュートとオール電化を混同して電気でお湯を沸かすと方式と思われているかもしれませんが、実は違います。ヒートポンプという仕組みで空気から熱を取り出して利用します。お湯を沸かす燃料は空気ということになります。
ヒートポンプはエアコンや冷蔵庫に使われており、冷やす目的ですが、エコキュートは逆に熱を得る仕組みです。
熱を取り込むためのファンは電気を使いますが、電気温水器に比べ1/3ほどです。つまり、消費する電力の3倍の熱を利用でき、とても経済的です。
ただし、お湯を貯めるタンクとヒートポンプ(エアコンの室外機の様なもの)を設置するためのスペースが必要です。そのため、費用は高く、電気温水器の倍くらいになります。ランニングコストが安いため、10年ほどで設置費用の差額は埋まるといわれています。
太陽熱
よく間違われますが太陽光発電とは違います。太陽光は、太陽の光を電気に変換しますが、太陽熱は熱エネルギーに変換して利用します。
熱源は自然に降り注ぐ太陽熱なので燃料費はゼロ。コスト面で大きなメリットがあります。最近では、エコ商品として見直されています。ただし、寒冷地や真冬は温度が上がらないため、別の熱源が必要になります。
給湯方式は、基本的に貯湯式になります。タンクは太陽熱を集める集熱器とセットで屋根に設置するタイプが多く、その場合は屋根からの落差を利用して給湯します(落水式といいます)。シャワーを使うには給湯の勢いが不足しますので、水道直結のタイプもあります。
貯湯式は、十分なお湯を使うにはタンクを大きくする必要があります。タンクが大きくなるため重くなり、屋根に負担がかかります。大きなタンクを設置できない場合は、地上にタンクを置くタイプもあります。その場合、地面にタンクの設置スペースが必要になり、またタンクから集熱器へ水やお湯を循環させるポンプが必要になり、全体の構成が複雑になりコストも割高になります。
給湯器はお住まいの状況に合わせて選びましょう
給湯器には様々な種類があります。それぞれに長所と短所がありますので、お住まいの周辺事情や家族構成、ライフスタイルや予算を検討して、なにを優先するかで決めていただければと思います。
イニシャルコスト
初期費用です。最初にかかるコストを抑えるならガス給湯器がオススメです。
ランニングコスト
月々にかかる費用のことです。空気の熱を利用するエコキュートが断トツではないでしょうか。太陽熱温水器は自然のエネルギーを利用するため、ランニングコストかかりませんが、天候や季節に左右されます。エコキュートの次にランニングコストが抑えられるのは電気温水器と言われています。次に石油給湯機、一番高いのはガス給湯器と言われています。
使い易さ
使い勝手が良いのはガス給湯器です。シャワーの圧力も高いので快適です。石油給湯機も直圧式であれば快適に使えますが、灯油を定期的に給油しなければなりません。その点、電気温水器やエコキュートはその必要がないので快適ですね。
静かさ
燃焼や排気の音がない電気温水器が優れています。エコキュートは深夜にファンが回る音がします。設置場所には注意しましょう。
家族構成
家族が多い場合、お湯切れの心配がないガスと石油が快適にお風呂やシャワーが使えるでしょう。
周辺環境
住宅が密集するエリアでは石油給湯器は臭いが問題になります。ガスも作動音が気になります。敷地がお隣と密接していると、石油やガスは排気が充分に行えず危険な場合がありますので要注意です。
まとめ
いろいろな給湯器のメリットやデメリットをご紹介しましたが、どれがベストなのかはそれぞれのご家庭で違います。また、追い焚きや床暖房の機能が付いたものなど種類も様々です。最新の給湯器はガスでエンジンを作動させて電気を作れ、蓄電池機能が付いたものまであります。ご家族で相談して結論が出ない時は、優良工事店ネットワークにご相談ください。豊富な知識と確かな経験で最適な給湯器選びのお手伝いをさせていただきます。