毎日使うトイレは、安心で快適に利用できる空間であることが望まれます。ここでは、トイレのリフォームで気をつけるポイントを紹介します。
〇トイレのリフォーム例
〔和式→洋式トイレへリフォーム〕
和式から洋式トイレにリフォームすることにより、今までのトイレ環境を大きく変える一歩になります。
通常、和式トイレは床に埋め込まれているため、和式便器の撤去と、床の解体工事が必要です。和式便器と洋式便器では、給排水の位置が変わるため、給排水位置を調整し、新たな床を作り、洋式便器を設置します。また、壁の補修や張替え工事が必要になる場合が多く、トイレ内に既存のコンセントが無い場合は、新たに洗浄便座用にアース付きコンセントの工事が必要です。
また、20年以上前の一般戸建住宅では、床や壁に断熱材が入っていない事が多いので、床や壁を扱う際は、断熱工事も一緒に済ませておきましょう。
和式から洋式トイレリフォームは介護保険住宅改修の適用工事にもなっています。
〔バリアフリーリフォームについて〕
バリアフリーリフォームで、よく行われる工事は、段差を無くし、手すりを取付けする工事です。トイレに設置する手すりは、様々な動作に対し力の加わりやすいL型のタイプが多く採用されています。また、入り口のドアを引き戸に、車椅子でも通りやすく出入り幅とトイレ内部の空間を大きくする工事もあります。
また、介助を見据えたリフォームでは、トイレの空間を広く取り、介助者が立てるスペースや、介助用品を設置するスペースが必要になります。洗面室とトイレを一体にすると使いやすい場合もあります。
間取り変更の場合、柱や壁などを解体が必要です。建築知識の豊富な建築士や、バリアフリーリフォームに精通した福祉住環境コーディネーターなどの資格を持っている、担当者に相談しましょう。
〇トイレを選ぶときに注意したいこと
・トイレの種類
トイレは、大きく分けて(和風便器)と(洋風便器)の2種類があります。一般の家庭では、(洋風便器)が主流です。(洋風便器)便器、便座、タンクの3つの部分から構成されています。
タンクには、手洗器付きと手洗器無しの2種類があります。トイレとは別に手洗い場を作る場合は、手洗器無しのタンクを選びましょう。
・トイレの形式(デザイン)を選ぶ
一般に便器・便座の「一体型」と、便器と便座が独立した「分離型」があります。
「一体型」… ムダのないデザインでお手入れが簡単です。便座が故障した場合は、便座だけを取り替えることはできません。
「分離型」… 便器と便座が分離したタイプです。コストがかからず、将来便座だけを取り替えることが可能です。
最新のトイレには次のようなものがあります。
「タンクレストイレ」…トイレをリフォームする方は4人に1人がこのタンクレストイレを選ばれていると言われています。タンクがないのでデザインもスッキリ。トイレ内を広く使え、お掃除も簡単です。
ただし、タンクがないため手洗い器を別に設置しなければなりません。
「収納一体型トイレ」…タンクを納める形で収納(キャビネット)がついています。狭い空間をうまく使いたい方によいでしょう。便器の後ろが収納の中にあるため、今まで掃除がしにくかった部分が無くなり、お手入れが簡単です。収納部分は、掃除用具やトイレットペーパーを入れたり、上部の棚には手洗器を付けられます。
・便器のサイズを選ぶ
便器のサイズは、大型サイズ(エロンゲート)と普通サイズ(レギュラー)があります。
大型サイズの寸法は約470?、普通サイズの寸法は約440?です。
現在使用中のトイレが、どのサイズか記録しておくとよいでしょう。
・便座の種類を選ぶ
機能で大きく分けると次の3種類があります。
普通便座、暖房便座、温水洗浄便座の3種類です。
各便座の特徴
普通便座 … 何も機能の付いていない一般的な便座です。
暖房便座 … 便座の部分にヒーターが付いている便座です。冬期には快適に使えます。
温水洗浄便座 … 暖房便座、おしり洗浄、ビデ洗浄が付いています。
・最新型のトイレの特徴
最新のトイレは、節水型タイプや、掃除がしやすいタイプが主流となっています。
「超節水温水洗浄便座一体型」… 少ない水でしっかり流す、驚きの洗浄力を実現した便器です。最新型のトイレになると、1回の洗浄に流す水の量は、大で4~5リットル、小で3リットル程度と10年前の機種に比べて大幅に減少。水の使用量は4割程度です。
「フチなし便器」…従来の水が出てくるフチのない便器です。
汚れをサッと拭き取れる滑らかな形状なので、軽く拭くだけできれいになります。
カタログだけではイメージがつきません。ショールームで実物を体感しながら選ぶとよいでしょう。
〇トイレの空間を変える
・収納を考える
トイレは、家の中でも最も狭い場所ですが、トイレに必要な備品は意外とあります。トイレットペーパー、掃除用具、生理用品、消臭剤など。これらは通常、トイレの上部に吊戸棚や棚に置いたりします。しかし、「紙が無い!」となったとき、立ち上がって取らなくてはなりません。トイレットペーパーは、座ったままでも届く位置にあると便利でしょう。また、トイレットペーパーに限らず、それぞれの備品を収納する方法を考えておきましょう。トイレ空間を広く保つには壁の側面に埋め込む収納を取り付けることも可能です。
・床材の選び方
トイレの床も洋室と一緒のフローリングに統一したいと思う方もいるかもしれません。しかし、実際トイレはある意味特殊な場所です。
トイレは狭い空間で、湿度が高く、アンモニアの飛散や、強力な洗剤が使われる場所でもあります。フローリングは、湿気に弱い上、床材表面の変色やシミは避けられません。そのためトイレ床材は清掃しやすいものを選ぶとよいでしょう。
一般的な床材としては、クッションフロアシート(長尺塩ビシート)です。材質は、ビニールなので水拭きもできてお掃除が簡単です。低価格でリフォームがしやすいものです。
清掃しやすい床材はセラミックタイルです。溝が無く、掃除も簡単で清潔さを保つことができます。
フローリングを選ぶときは、表面加工されたトイレに対応したフローリングを選びましょう。ただし、湿気に強いフローリングでも、アンモニアには弱いこともあります。『耐アンモニア』という表示を確認しましょう。
・トイレの中の手洗い場について
手洗い器からタオルの位置が離れていると、洗った手が濡れたままタオルまで動くことになります。その際、水滴が散り壁や便座に落ちてしまいます。タオル掛けは、一度取り付けるとネジの跡が残ってしまうのでよく場所を考えて取り付けましょう。
・トイレの中の安全について
(手すり・紙巻器付きカウンター)は、動きを補助する手すりです。手をついて体を預けることができる紙巻器付きカウンターは、高齢者や小さいお子様を補助します。
もしトイレ内で人が倒れた場合、内開きは倒れた人が邪魔をして扉が開けにくく、救助が困難になります。ドアの開き方は、外開きがよいでしょう。
・トイレを静かに
トイレは、少しの音量でも気になる場所です。タンク付きトイレの洗浄時の音は静かですが、タンクに水を溜める音が気になる場合があります。夜間のトイレ使用時は、洗浄や貯水の音が特に気になります。リフォームで間取りを変更する場合は、トイレの真下に寝室を配置するのは避けましょう。静音対策としては、ドアの開け閉めの音や、使用時の音漏れなどは静音効果のある、引き戸やドアを付ける事で解消できます。また、断熱材を敷き込むことで清音効果が高まります。
・トイレの空間に彩(いろどり)を
トイレは家族だけが使うものと考えがちですが、お客様も使う場所です。
トイレの交換といっしょに、床や壁などの内装も変えてこだわりの空間にしてみてはどうでしょうか? ニッチ(壁の厚みを利用し、壁面を凹ませて作る)に、小物を飾ったりトイレットペーパーの収納に活用できます。
また、背面の壁の色を変えると雰囲気が変わります。LIXILのエコカラットは調湿・ニオイ吸着機能など空気洗浄力がある素材です。厚みがあるため、空間にも奥行きがでます。
〇まとめ
トイレは、安全、快適、衛生的をポイントにリフォームしましょう。
一般家庭用のトイレは、最低でも10年は十分に使用に耐える、住宅設備機器です。トイレのリフォームで失敗をしないためには、次の点に気を付けましょう。
・将来のことを考えて、トイレを選びましょう。
・ お手入れしやすい床材、壁材を選びましょう。
・ トイレに必要な備品を収納する場所を確保しましょう。
・ 実物は水まわりのショールームで体感しながら選びましょう。