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執筆:二級建築士 安藤勉
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今は問題なく靴を履けていても、年齢とともに玄関での動作が負担になることがあります。
靴を履くために腰をかがめる。
上がり框をまたぐ。
立ち上がるために壁や家具に手をつく。
こうした動作も、将来は大変になるかもしれません。
だからこそ50代・60代からは、介護が必要になってからではなく、今のうちに玄関を使いやすくしておくという考え方があります。
今回は、将来も無理なく使える玄関にするためのリフォームポイントを紹介します。
玄関は毎日使う場所だからこそ見直したい
玄関は、外出するときも帰宅するときも必ず使う場所です。
しかし、普段は当たり前に使っているため、不便に気づきにくい場所でもあります。
例えば、
- 靴を履くときに深くかがむ
- 立ち上がるときに手をつく
- 上がり框の段差が大きい
- 靴を取り出しにくい
- 雨の日に床が滑りやすい
といったことです。
今は問題なくても、将来の負担につながる部分がないか、一度確認してみましょう。
上がり框の段差を見直す
玄関で特に気になるのが、土間と室内の間にある上がり框です。
段差が大きいと、上り下りする動作が負担になります。
リフォームでは、段差を小さくしたり、必要に応じて段差を分けたりする方法があります。
ただし、住宅の構造や床の高さによって、どこまで変更できるかは異なります。
「段差をなくしたい」と思っても、希望通りにできるとは限らないため、現状を確認してもらいましょう。
靴を履くための腰掛けをつくる
玄関で靴を履くとき、立ったまま片足を上げて履くのは意外と不安定です。
そこで便利なのが、腰掛けです。
靴を履くときに座れる場所があれば、体を安定させながら脱ぎ履きできます。
玄関に椅子を置くだけでも対応できますが、リフォームなら、
- 造り付けのベンチ
- 収納と一体になった腰掛け
- 折りたたみ式の腰掛け
なども検討できます。
普段から使えるため、「介護のため」という印象を持ちにくいのもメリットです。
手すりは「必要になってから」だけではない
玄関で立ち上がるとき、手をつける場所があるだけでも安心感があります。
そこで、上がり框の近くに手すりを設ける方法があります。
ただし、手すりは付ける位置や高さが重要です。
使う人の身長や動作によって使いやすい位置が変わるため、実際の動きを確認して決めることが大切です。
また、今すぐ手すりが必要なくても、将来取り付けられるように壁の下地を準備しておく方法もあります。
壁の下地がない場所に後から手すりを付ける場合、補強工事が必要になることがあるためです。
よく履く靴は取り出しやすくする
玄関収納も、使いやすさを考えてみましょう。
靴箱の奥や高い場所に靴を収納すると、出し入れのたびにかがんだり、手を伸ばしたりする必要があります。
普段よく履く靴は、取り出しやすい高さにまとめると便利です。
また、玄関に靴が出しっぱなしになっていると、歩くときにつまずく原因にもなります。
収納量を増やすより、普段使う靴を無理なく出し入れできる収納を考えましょう。
玄関を狭くしすぎない
玄関では、靴を履いたり脱いだりするためのスペースも必要です。
収納を増やしすぎると、玄関の床が狭くなり、動きにくくなることがあります。
特に腰掛けを設置する場合は、座ったり立ったりするときのスペースも確保しましょう。
玄関リフォームでは、収納量だけでなく、実際に人が動くための余白も大切です。
床は滑りにくさも確認する
玄関の床材を選ぶときは、見た目だけでなく滑りにくさも確認しましょう。
特に雨の日は、靴底についた水で床が滑りやすくなることがあります。
また、表面に凹凸が大きすぎる床は、掃除がしにくくなる場合もあります。
「滑りにくいか」「歩きやすいか」「掃除しやすいか」を実際に確認して選ぶと安心です。
夜の玄関も考える
玄関を使うのは昼間だけとは限りません。
夕方や夜に帰宅することもあります。
照明が暗いと、段差や靴などが見えにくくなります。
そのため、玄関リフォームでは照明の位置や明るさも確認しましょう。
人感センサー付きの照明などを利用すれば、スイッチを探す手間を減らすこともできます。
「今は必要ない」からこそ準備する
50代・60代では、
「まだ手すりはいらない」
「段差も気にならない」
という方も多いでしょう。
もちろん、必要以上に介護向けの設備を設置する必要はありません。
しかし、将来を考えて、
今のうちに使いやすい玄関にしておく
という方法があります。
例えば、腰掛けを普段から靴を履く場所として使う。
手すりを付けるための下地を準備しておく。
収納を取り出しやすい高さにする。
こうした工夫なら、今の生活にも役立ちます。
玄関だけでなく動線も確認する
玄関をリフォームするときは、玄関だけを見ないことも大切です。
玄関から廊下、リビング、トイレなどへの移動も確認しましょう。
例えば、玄関の段差を小さくしても、その先に大きな段差があれば、移動の負担は残ります。
ただし、すべてを一度にリフォームする必要はありません。
まずは現在の暮らしで不便を感じる場所から、少しずつ見直す方法もあります。
リフォーム前に実際の動作を確認する
玄関をリフォームするときは、図面だけで判断しないことも重要です。
実際に、
「ここに座って靴を履く」
「ここにつかまって立ち上がる」
「ここを通って室内へ入る」
という動作を確認してみましょう。
今の玄関でどこが使いにくいのかを具体的に伝えると、必要なリフォームも考えやすくなります。
まとめ
玄関は毎日使う場所だからこそ、今は困っていなくても、将来の使いやすさを考えておくことが大切です。
特に見直したいのは、
- 上がり框の段差
- 靴を履くための腰掛け
- 立ち上がりを支える手すり
- 靴を取り出しやすい収納
- 滑りにくい床
- 夜でも見やすい照明
- 動きやすい玄関の広さ
などです。
大切なのは、介護が必要になってから玄関を変えるのではなく、これからも自分で使いやすい玄関を早めに考えておくことです。
50代・60代なら、今の暮らしにも役立つ腰掛けや収納の見直しから始めてもよいでしょう。
手すりについても、今すぐ必要がなければ、将来取り付けられるように下地だけ準備しておく方法があります。
「まだ大丈夫」と思える今だからこそ、将来の自分が使いやすい玄関になっているか、一度見直してみてはいかがでしょうか。
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