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執筆:二級建築士 安藤勉
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吊戸棚や、棚から物を取るために、脚立や踏み台を使っていませんか?
若い頃は気にならなかった荷物の上げ下ろしも、年齢を重ねると「高い場所の物を取るのが不安」と感じることがあります。
この記事では、高い棚や吊り戸棚を使いやすくする方法と、収納リフォームで確認したいポイントを建築士が解説します。
脚立や踏み台が危険な理由
脚立や踏み台に乗って物を取ると、両手がふさがったり、身体をひねったりすることがあります。
高い場所に手を伸ばした状態でバランスを崩せば、転落する可能性があります。
消費者庁も、高齢者の転倒・転落事故について注意を呼びかけており、脚立や踏み台を使った高所作業は、安定した場所で無理なく行うよう案内しています。
今は問題なく使えていても、数年後も同じように脚立へ上がれるとは限りません。
家の中の危険を減らす工夫が必要です。
「高い場所に何を入れているか」を確認する
最初に確認したいことは「高い場所に何を収納しているか?」です。
吊戸棚や食器棚の上にあるものを一度取り出してみましょう。
- 調理器具
- 掃除用品
- 衣類
- 季節用品
- 年に数回しか使わない物
などです。
ここで、脚立を使ってまで取り出している物が「よく使う物」なら、収納場所を変える価値があります。
反対に、年に数回しか使わない物なら、高い場所をそのまま活用する方法もあります。
すべての収納を低くする必要はありません。「よく使う物を、取り出しやすい場所へ移す」これが最初の見直しポイントです。
脚立を使わず収納する4つの方法
高い収納を使いやすくする方法は、棚をすべて作り直すことだけではありません。
①よく使う物を低い場所へ移す
最も簡単なのが、収納する物を入れ替える方法です。
毎日使う物は手の届きやすい場所へ。
季節用品や使用頻度の低い物は、高い場所へ。
これだけでも、脚立を使う回数を減らせます。
②棚そのものを低くする
吊り戸棚などは、設置する高さを見直す方法があります。
重要なのは、棚そのものの高さより「実際に物を出し入れする位置」です。
高すぎる棚は、中が見えにくく、取り出すときにも無理な姿勢になりやすいため、使う人に合わせて高さを確認しましょう。
③昇降式の収納にする
「高い場所の収納量も残したい」という場合は、昇降式収納という方法があります。
収納棚を手元の高さまで下ろして、物を取り出せるタイプです。
実際のリフォームでも、目線の高さまで下ろせる昇降式吊り戸棚が使われています。
ただし、昇降機構が入る分、通常の収納とは収納量や費用などが異なる場合があります。
「高い収納を残したいのか」「使いやすさを優先するのか」を考えて選びましょう。
④高い収納を減らして、手の届く収納を増やす
高い棚そのものを減らし、腰から目線付近の収納を増やす方法もあります。
収納量は減る可能性がありますが、普段使う物を無理なく取り出せるようになります。
「収納は多いほうがいい」と考える前に、実際に使っている収納量を確認してみることも大切です。
キッチンの吊り戸棚は特に見直したい
高い収納で代表的なのが、キッチンの吊り戸棚です。
キッチンは毎日使う場所だからこそ、踏み台を使う収納があると不便を感じやすくなります。
一方で、吊り戸棚をなくせば必ず使いやすくなるわけではありません。
収納量が減るため、背面収納やキャビネットなど、別の収納場所が必要になる場合があります。
「吊り戸棚をなくす」「低くする」「昇降式にする」のどれが合うか、キッチン全体の収納量と合わせて考えましょう。
クローゼットや押し入れの上段も同じ
高い収納はキッチンだけではありません。
クローゼットの上段や押し入れの天袋にも、同じ考え方が使えます。
よく着る衣類を高い場所から下ろす。
季節の布団や旅行用品など、使用頻度の低い物を上段へ移す。
このように、使う頻度に合わせて収納場所を入れ替えるだけでも、脚立を使う場面を減らせます。
「収納を増やす前」に考えたいこと
収納リフォームでは、「収納が足りないから棚を増やしたい」と考えがちです。
しかし、棚を増やせば、その分だけ収納する物も増えます。
結果として、使わない物が高い場所にたまり、また脚立が必要になることもあります。
収納を増やす前に、
「これは今後も使う物か」
「取り出しにくい場所に置いてまで残したい物か」
を一度整理してみましょう。収納を増やすより、物を減らす方が部屋がスッキリして使いやすくなります。
リフォーム会社には「収納を増やしたい」だけで伝えない
収納リフォームを相談するときは、「収納を増やしたい」だけではなく、「よく使う物が高い場所にあって取り出しにくい」と伝えてみましょう。
そうすれば、単純に棚を増やすのではなく、
- 収納の高さを変える
- 収納場所を入れ替える
- 昇降式を取り入れる
- 吊り戸棚を減らす
- 手の届く収納を増やす
など、様々な改善方法が検討できます。
リフォームでは、「何を作るか」より先に「何が使いにくいのか」を見積り依頼先に伝えることが大切です。
まとめ|高い収納は「なくす」より「使い分ける」
高い棚の物を取るために脚立や踏み台を使っているなら、収納を見直すタイミングです。
ポイントは、
- よく使う物を高い場所に置かない
- 使用頻度の低い物は高い場所へ移す
- 棚の高さそのものを見直す
- 必要なら昇降式収納を検討する
- 収納を増やす前に物を整理する
- 今だけでなく、これからも使える高さを考える
ことです。
収納リフォームは、収納量を増やすだけの工事ではありません。
「取り出す」という毎日の動作をラクにすることも、リフォームの大切な目的です。
商品だけを勧める業者ではなく、状況を整理し「誰が、何を、どのくらい使うのか」まで考え、提案してくれるリフォーム会社を選ぶことが大切です。
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