屋根塗装の耐用年数とは?塗り替え時期や長持ちのヒントを解説

屋根は住まいを雨や風、紫外線から守る大切な役割を担っています。しかし普段は確認しにくい場所のため、傷みに気づかないまま放置してしまうことも少なくありません。

「気づいたら雨漏りしていた」「塗装がボロボロになって高額な修繕費がかかった」といったトラブルにつながるケースも多いため、塗装が傷みはじめたら早めに修理することが大切です。

屋根の塗装は美観を整えるだけでなく、防水性や耐久性を高める役割を持ちます。そこで、本記事では屋根塗装の耐用年数や塗り替え時期の目安について解説します。さらに、知ってお得な「長持ちさせるためのコツ」にも触れますので、ぜひご一読ください。

記事監修者

安藤

建築士の安藤です。リフォーム業界歴20年。住まいを通じ、豊かな暮らしをお届けいたします!!ゆうネット公式YouTubeでリフォームお役立ち情報も配信中。

屋根塗装の耐用年数とは?

屋根の塗装にはいろんな種類の塗料が利用されており、その種類によって「耐用年数」も異なります。

塗装の耐用年数とは、塗料が持つ本来の効果(防水性や耐候性、美観など)が維持される期間を意味します。この章では屋根塗装の耐用年数について、一般的な目安と塗料別の耐用年数を解説します。

塗り替えが必要となるのは約10~15年

屋根塗装の塗り替えが必要となる時期は、塗料が耐用年数を迎える「10〜15年程度」です。ただし、実際の年数は以下の要素で大きく変わります。

  • 使用する塗料の種類
  • 屋根材の種類
  • 気候や立地条件(日射や降雨量、降雪量など)
  • 施工の品質
  • 定期的なメンテナンスの有無

たとえば、同じ塗料を使っていても「日当たりが強い地域」とそうではない地域では傷みのスピードが違います。日当たりが良い場所は紫外線の影響を受けやすく、傷みが進みやすい傾向があるためです。そのため、耐用年数はあくまでも塗り替え時期の目安の1つであり、実際には住まいの環境にあわせた塗り替え時期も検討する必要があります。

塗料別の耐用年数・特徴一覧

一般的な住まいに広く利用されている塗料別に、耐用年数と特徴を図にてご紹介します。

塗料の種類耐用年数の目安特徴
アクリル塗料約 5〜8年・以前は主流だったが、耐久性は低め
・汚れやすく、傷みやすいため短いサイクルでの塗り替えが必要
・コストは比較的安価で塗り替えしやすい
シリコン塗料約 10〜15年・人気が高い
・汚れや色落ちが少なく美観を保ちやすい
・安定性があり、コストパフォーマンスも良好
・防汚性を持つものもあり、一般住宅向け
・現在の住宅塗装で最も一般的に使用されている。
フッ素塗料約 15〜20年・耐候性、耐熱性、防汚性などに優れている
・不燃性のものもあり、品質が高い
・価格はシリコンより高め
無機塗料約 20年以上・鉱物由来の成分を含む
・紫外線による分解に強く、色あせしにくい
・キズつきにくく、汚れにくい
・耐火性に優れている

傷んだ屋根塗装を放置するとどうなる?

屋根塗装は「美観を整えるための仕上げ」と思われがちですが、実際には住まい全体を守る、バリアとしての役割も果たしています。

では、屋根塗装の傷みを放置してしまうと、いったいどのような問題が起こるでしょうか。本章で詳しく解説します。

①雨漏りする可能性が高くなる

屋根に塗装した塗料の経年劣化が進むと、防水性能が低下し、雨水が屋根材の隙間から侵入しやすくなります。

最初は小さな染み程度でも、長く放置すると雨漏りに発展するおそれがあるため注意が必要です。雨漏りは建物内部の木材を腐食させるため、木材が弱くなってしまったり、カビの発生にもつながったりします。

つまり、塗装の傷みの放置は「住まいの寿命」を大きく縮めてしまう可能性があるのです。

②屋根材本体も傷んでしまう

塗装が剥がれて屋根の素材がそのまま見えてしまうと、紫外線や雨風に直接さらされます。 屋根の素材は、塗装があることで防水性を保っています。塗装がなくなると、雨や湿気から守る力が弱くなり、屋根の傷みが早く進んでしまいます。

屋根材本体のひび割れや錆、欠けが目立つようになると、塗装だけでは修繕できず、屋根の葺き替えやカバー工法といった高額工事が必要になります。

③住まいの美観が失われる

屋根は外部からよく見える部分です。塗装が色褪せたり、塗料の傷みで防水性が低下し、コケや藻が広がっていると、建物全体が古びた印象を与えてしまいます。

また、見た目の傷みは美観に影響するため資産価値の低下にも直結します。将来的に売却を検討する際には、屋根の印象が価格に影響することもあります。

大切な塗装を長持ちさせる3つのヒント

屋根はもちろん、住まい全体を長期間大切に維持していくためには、屋根の塗装を「長持ち」させることが大切です。屋根は住まいを雨や紫外線から守る「大切な傘」のような存在。そんな屋根を保護する塗料の性能をしっかり発揮させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。

そこで、本章では屋根塗装を長持ちさせるために押さえておきたい3つのヒントを解説します。

①屋根に適した塗料を選ぶ

屋根塗装を長持ちさせるためには、屋根材や環境条件に合った「塗料」を選ぶことが大切です。

例えば、スレート屋根や金属屋根などの屋根材によって、適している塗料は異なります。スレート用には「シリコン塗料」や「フッ素塗料」「遮熱・断熱機能付き塗料」がおすすめです。

加えて、海に近い地域では塩害に強い塗料、日射が強い地域では遮熱性の高い塗料が有効でしょう。

塗料の性能には耐候性や防水性など、様々な機能があります。塗料の特性も理解しつつ、しっかりと屋根に適した塗料を選ぶと、塗料を長持ちさせる効果が高くなります。

②定期的なメンテナンスを行う

屋根塗装は一度塗って終わりではありません。屋根は常に紫外線や雨風にさらされているため、時間とともに傷みが増していきます。

そのため、塗装を長持ちさせるには定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。

たとえば、最初の施工から5〜10年を目安に専門業者に点検を依頼し、塗膜の剥がれや色あせ、ひび割れなどのダメージが発生していないか、確認してもらうことがおすすめです。

遠くから住まいを眺めた時に、コケ・藻がある場合は塗料の防水性が低下しているおそれがあります。このような場合も、一般の方が自分で屋根に上り、確認することは大変危険です。無理をせず専門家に依頼することをおすすめします。

小さな傷みを早い段階で補修しておけば、高額な全面塗り替えを防ぎ、塗装の耐用年数を延ばすことが可能です。

ひび割れ部分を補修したり、コケを除去して再塗装を部分的に施すなどのメンテナンスを行うだけでも、屋根全体の耐久性はアップします。

定期的なメンテナンスは、結果的に大規模な修繕を防ぎ、コスト削減となる効果があるのです。

③早めに塗り替えを行うことも重要

屋根塗装は「まだ大丈夫」と塗り替えを先延ばしにすると、かえって修繕費用が高額になりがちです。

塗料の表面である「塗膜」が傷んでしまうと、かさぶたのようにポロポロと剥がれ落ちてしまいます。この状態にまで傷みが進行していると、雨水が屋根材に直接浸透し、雨漏りや下地材の腐食に発展するおそれがあります。

細やかなメンテナンスや早めの塗り替えは、大規模な修繕を避け、屋根材そのものを長持ちさせる効果があります。

屋根塗装の早めの塗り替えは「住まいをダメージから守る工事」と知っておきましょう。

工事の流れと日数の目安

もしもこれから屋根塗装の工事をする場合、どのような流れで工事が行われるのか気になるところでしょう。

屋根の工事には基本的に足場が必要となるため、住まい全体が工事の影響を受けます。

そこで、本章では屋根工事の塗り替え作業の流れと、工事に必要な日数について解説します。

屋根塗装の塗り替えの流れ

屋根塗装工事は大まかに以下のとおりです。

  1. 現地調査・見積もり:屋根の状態を確認し、必要な工事内容と費用を算出します。
  2. 足場の設置:安全に作業を行うため、住宅を囲うように足場を組みます。
  3. 高圧洗浄:屋根表面の汚れや剥がれかけた塗膜、コケ・藻を取り除きます。
  4. 下地処理:ひび割れ補修やケレン作業(古い塗膜を削ったり傷をつける)を行い、塗料の密着性を良くするための下地作りを行います。
  5. 下塗り:次に塗る上塗り塗料の密着性を高めるために専用の下塗り材を塗装します。耐久性と仕上がりを決める土台作りです。
  6. 中塗り・上塗り:選んだ塗料で重ね塗りし、耐久性と美観を確保します。
  7. 仕上げ・点検:塗りムラや不備がないか確認し、工事完了となります。

工事に必要な日数とは

工事期間の目安は、一般的な住宅であれば おおよそ7〜10日程度 とされています。ただし、これはあくまで目安であり、実際には天候や屋根の状態によって大きく変動します。

たとえば、雨が続けば高圧洗浄や塗装作業ができず、工期が延びることも珍しくありません。また、屋根の劣化が進んでいて補修箇所が多い場合や、下地処理に時間をかける必要がある場合は、2週間以上かかるケースもあります。

そのため、工事を依頼する際は「最短で終わる日数」だけでなく、「余裕を持ったスケジュール」を想定しておくことが大切です。さらに、見積もりの詳細をしっかり確認し、必要な工程が省略されていないかを把握することも重要です。

工程ごとに必要な作業をきちんと行うかどうかで、仕上がりや塗装の耐久性が大きく変わるため、手抜きのない施工をしてくれる会社選びが長持ちする屋根塗装につながります。

屋根塗装の傷みを見極めるコツとは?

屋根塗装の傷みを放置せず、大切な住まいを守るためには、傷みのサインを見逃さないことが大切です。

しかし、屋根には頻繁に上がれないため、お住まいの方がサインを見極めることは難しく感じられるでしょう。

そこで、本章では誰でもできる「屋根塗装の傷みのサイン」の見極め方を紹介します。

塗装が色褪せている

屋根の塗装が傷み始めると、まず現れるサインが「色褪せ」です。

新築時や塗り替え直後の屋根はツヤがあり、鮮やかな色合いを保っていますが、紫外線や雨風にさらされ続けることで徐々に色が薄れ、白っぽく見えるようになります。

白っぽい色の変化は、屋根を離れたところから見ると確認できる場合があります。

特に南向きや日当たりのよい面は傷みが進行しやすく、見た目の美観が損なわれるだけでなく、防水性能の低下が進むため注意が必要です。

色褪せを確認したら塗装の寿命が近づいていると考え、点検や塗り替えの検討を始めましょう。

コケや藻の発生がある

塗料が持つ防水性が経年劣化によって落ちると水分が残りやすくなり、コケや藻が繁殖しやすくなります。

本来、塗装が健全な状態であれば雨水をはじき、表面に水分が残りにくいのです。しかし、防水機能が落ちると湿気が溜まりやすくなり、コケや藻が繁殖します。

このケースも屋根を少し離れたところから目視で確認できるため、時々観察してみるようにしましょう。雨や雪が多い地域にお住まいの方は、特に注意が必要です。

コケや藻が屋根に発生すると、美観を損なうだけでなく建物の耐久性にも影響するため、見つけた段階で早めに塗り替えを検討することがおすすめです。

塗装のひび割れが目立つ

屋根のひび割れや剥がれとは、塗料が持つ塗膜が傷み、保護機能が失われている証拠です。すでに傷みが進行している可能性が高く、早めの補修が必要です。

ひび割れや剥がれは目視で確認しにくいですが、塗膜が剥がれると屋根に穴があるように見えたり、塗膜が地上に落ちている場合があります。

屋根は普段じっくり観察できる場所ではないため、劣化の見極めが難しいこともあるため、こうした症状を見つけるためには定期的に信頼できる専門業者に点検を依頼することがおすすめです。

専門家による点検では劣化の進行度だけでなく、適切な塗料の提案や工事時期のアドバイスも受けられるため、長期的な住まいの安心につながります。

屋根塗装劣化の見極めは専門家への相談も大切

「屋根の塗装が気になるけど、誰に相談したらいいかわからない」

「信頼できる業者さんを見つけたいけど、参考になる情報が欲しい」

屋根塗装の傷みは「色褪せ」や「コケの発生」など目視で確認できる部分もありますが、実際には屋根材の下地や細部にまで劣化が進んでいる場合も少なくありません。

自己判断だけでは不安が残るため、専門家に相談することがおすすめです。

ゆうネットではリフォームや外壁塗装で失敗したくない方向けに、正しい知識を身につけられる参考書を「無料」で提供しています。

リフォームについては「リフォームの青本」を制作しており、リフォーム会社選びのヒントがわかりやすく理解できます。

外壁塗装については「外壁塗装の赤本」を制作し、青本・赤本のいずれも大変読みやすいマンガでリフォームや外壁塗装時に役立つ情報がわかりやすく掲載されています。

住まいを守りたい、そんな思いにお応えする2冊の本をご希望の方に無料でお届けしています。

もちろん、発送の際にいただいた情報を使って、電話や訪問での営業をすることは一切ありません。

まずは安心して、お気軽にお問い合わせください。

よくある質問

屋根塗装については、初めての施工はもちろんのこと、これからリフォームを検討される際に、疑問を持つ人も多いでしょう。

そこで、本章では屋根塗装にまつわる「よくある質問」を紹介します。

①30年持つ塗料もあるの?

屋根塗装に使用される塗料にはたくさんの種類があり、その耐久性も大きく異なります。一般的にシリコン塗料で約10〜15年、フッ素塗料で15〜20年などとされますが、条件が良ければ「30年持つ」とされる無機塗料もあります。

実際には気候や施工環境、下地処理の丁寧さによって寿命は左右されます。つまり「理論上は30年」でも、必ずしもメンテナンス不要というわけではない点に注意が必要です。

②屋根塗装は自分でもできますか?

結論から言うと、屋根塗装を完全に自分で行うのは非常に難しく、大変危険です。

屋根の上での作業は転落のリスクが高く、また下地処理・高圧洗浄・シーラー塗布(下塗り)など専門的な工程を省略すると、すぐに剥がれたり効果が半減したりします。

DIY用の塗料はホームセンターなどで市販されていますが、耐久年数や仕上がりはプロの工事と大きく差が出てしまいます。

もしも工事の費用を抑えたい場合は、複数業者に見積もりを取り比較するほうが、安全かつ長期的にメリットが大きいでしょう。

③屋根塗装には助成金もある?

実は屋根塗装工事には、自治体によって助成金や補助金が利用できるケースがあります。

特に「省エネリフォーム」や「住宅リフォーム支援事業」といったもので、遮熱・断熱塗料を使用する工事に補助が出ることがあります。

対象については自治体ごとに異なるため、事前に役所や工事業者に確認することが大切です。助成金を活用すれば、数万〜数十万円の負担軽減につながることもあります。

屋根塗装のリフォームについてはお得に依頼できることも多いため、助成金や補助金の情報は見逃さないようにしましょう。

まとめ

屋根塗装は、住まいを長く快適に維持するために欠かせないものです。しかし、屋根塗装に使用される塗料の耐用年数は一般的に「10〜15年程度」とされており、気候や立地条件、さらにはメンテナンス状況によっても大きく変動します。

そのため「目安年数を過ぎたら塗り替える」だけでなく、日々の劣化サインを確認し、早めの対応を心がけることが大切です。

屋根塗装の傷みを放置すると雨漏りや屋根材の破損につながり、高額な修繕費用が必要になる場合も少なくありません。だからこそ、屋根に適した塗料の選択、定期的なメンテナンスや部分補修、そして計画的な塗り替えが、住まい全体の寿命を延ばすカギとなります。

大切な住まいを守るためにも、まずは正しい知識と信頼できる専門家の力を活用し、長期的な視点で屋根塗装を行いましょう。

TOP