日本文化に欠かせない畳が敷き込まれた和室は、やすらぎの場であり、お客様をお迎えする部屋として親しまれてきました。最近の新築戸建て住宅や、マンションでは、和室を取り入れる間取りは少なくなり、和室を洋室へリフォームされる方もいらっしゃいます。
しかしながら、和室の良さが見直され、リビングの一部に畳を置いてくつろぐスペースを作ったり、現代のデザインに合う和室へリフォームされる方も増えています。ここでは、和室リフォームの費用や相場、工事日数、費用別の施工事例、業者選びのポイントをご紹介します。
この記事の目次
和室リフォームの費用相場と工事日数
和室リフォームは、畳の表替えや新調、じゅらく壁の塗り替え、押入れや床の間の改装、洋室へまるごとリフォームなど様々です。和室リフォーム費用の相場と工事日数の目安を一覧にしています。ここで紹介する金額や工事日数はあくまで一般的な目安です。実際にリフォームする費用や工事日数は、お住まいの状況によって異なります。
施工別の早見表
施工内容 | 費用相場 | 工事日数 |
---|---|---|
畳をフローリングへ張り替え | 15~20万円 | 2~3日 |
和室の壁をリフォーム | 4~12万円 | 1~5日 |
和室の天井をリフォーム | 3~15万円 | 1~2日 |
押入れをクローゼットにリフォーム | 20~25万円 | 3~5日 |
和室から洋室へまるごとリフォーム | 60~80万円 | 6~10日 |
和室の畳をリフォーム | 5,000~20,000円/枚 | 2日~ |
和室の襖を貼り替え | 3,000~6,000円/枚 | 1日~ |
和室に掘りごたつを設置 | 20~50万円 | 5~8日 |
ここからは、和室リフォームのポイントを解説します。
畳をフローリングへ張り替え
畳は風情があり、湿度を調節してくれます。しかし、畳はフローリングに比べると柔らかく、ベッドやパソコンデスクなど重い家具を置くと沈んだり跡が残ったりします。家具を移動させるのも大変です。和室の壁や天井はそのままで、床畳だけフローリングへリフォームできます。
畳をフローリングへ張り替えるには、既存の畳や畳下板を撤去し、フローリングの下地板や床の高さを調整する木材を入れ、フローリングを張ります。床下の根太が悪くなっていれば、新品に交換します。和室全体まるごとリフォームするよりも費用を抑えることが可能です。床材をクッションフロアや、フロアタイルにするとさらにコストを抑えることができます。
和室の壁をリフォーム
和室の壁は、壁紙などのクロス貼りや、左官さんが塗る聚楽(じゅらく)壁、砂壁や繊維壁など様々です。和室の壁をリフォームするには、古くなった壁材を剥がし、新しい壁材を施工する方法と、既存の壁材の上に新しい壁材を施工する方法があります。いずれの場合も新しい壁材がキレイに仕上がるように下地調整が必要です。
壁の色合いによって部屋の雰囲気がガラッと変わりますので、見本帳を確認しながらカラーを決めましょう。
和室の天井をリフォーム
和室の天井は、壁紙などのクロス貼りや、幅の広い板目模様の天井材、竿縁と呼ばれる細い木材の上に板目模様の天井材が張ってあるもの、格子状に組まれた木の天井など様々です。
天井材がクロスであれば、古くなったビニールクロスを剥がし、下地を調整後、新しいクロスを貼ります。目透かし天井のような板目模様の天井材の場合は、既存の天井材を一旦解体し、新しい天井を組み上げます。
押入れをクローゼットにリフォーム
押入れは、引き違いの襖を開けると真ん中に中段、上部に枕棚と呼ばれる棚、もしくは天井付近に天袋と呼ばれる収納があります。押入れは和室に欠かせない収納スペースですが、ライフスタイルの変化によって押入れをクローゼットにリフォームされる方が増えています。
押入れをクローゼットにリフォームするには、襖や中段、押入れの内部を解体し、ハンガーパイプや上部の棚を取り付けるための補強工事を行い、床張り、クローゼットドアや棚を取り付け、壁や天井を仕上げます。
和室から洋室へまるごとリフォーム
和室をまるごと洋室へリフォームするには、ある程度費用が掛かりますが、現代のライフスタイルに合うため、リフォームをされる方が増えています。床の畳、壁、天井材、押入などを一旦撤去し、床壁天井を仕上げ材の下地板やボードなどを張ります。障子や欄間などもあれば解体し、窓枠や洋室に合うドアやクローゼットドアを取り付けます。フローリングや巾木を張り、壁や天井にクロスを貼って仕上げます。
30年以上経過した戸建て住宅の場合、床下や壁の中に断熱材が入っていないことがあるため、リフォームの際は断熱材を敷き込みましょう。予算が許せば断熱効果の高い最新の窓サッシにされるとより快適です。
和室をきれいにリフォーム
一般的に和室は鴨居(かもい)、長押(なげし)や敷居(しきい)の他、柱が見える真壁(しんかべ)と呼ばれる工法が取られています。畳や襖、障子紙など部分リフォームするだけで和室が見違えるほどキレイになります。
和室の畳をリフォーム
畳のリフォームは表替えや裏返し、畳をまるごと新品に交換する方法があります。
一般的に裏返しは3~5年、表替えは5年~10年が目安と言われています。畳の踏みごこちが悪くなれば新調をオススメします。
表替えや裏返しは、畳を一旦作業場へ持ち帰ります。張り替え作業を行い、お客様が指定された日に敷き込みます。
畳表は、中国産と国産い草の他、高級和紙を使った健康畳と呼ばれる商品もあります。和紙畳はダニやカビの発生を抑え、摩擦や日焼けに強く、ペットを飼われているご家庭に人気です。
和室の襖を貼り替え
長年和室を使っていると襖の色あせやシミ、引手まわりが傷んできます。子どもが襖を破ってしまうこともあります。襖はホームセンターやインターネットで材料や道具を取り寄せ、自分で張り替えることもできますが、専門の職人に依頼すると仕上がりが格段に違います
専門店であれば、店頭的な和柄はもちろん、和モダンな柄、和紙襖以外に織物襖などを選べます。サンプル帳、見本帳を確認しながら自宅に合う襖を選びましょう。襖の張り替えの際、障子もまとめて張り替えることをオススメします。
和室に掘りごたつを設置
堀りこたつは、和室の床にこたつ用の穴を開けてユニットを設置します。堀りこたつは、畳の上に直接置くこたつと違い、足を入れてくつろげます。正座や足を曲げる負担が少ないため、ご高齢の方にも人気です。
床下に掘りごたつが設置できる深さを確保できればリフォーム可能です。マンションや床下にスペースが無い場合は、小あがりを作って堀こたつを設置します。
和室リフォームで失敗しないポイント
和室の畳の表替えや、襖や障子の張り替えであれば比較的安価にリフォームができますが、畳をフローリングに替えたり、押入れをクローゼットに変えてしまうと元の和室に戻すことは困難です。和室リフォームで失敗しないポイントをまとめました。
和室の不満点を洗い出す
お客様を迎え、くつろぎの場となる和室はキレイにしておきたい部屋のひとつです。現在の不満点、改善したいことを洗い出し、まとめましょう。パートナーや家族にも聞いておくと参考になります。
和室リフォームの優先順位を決める
不満点や改善したいことを一覧にすると本当にしたいリフォームが見える化できます。一覧の中からリフォームの優先順位を決めますが「リフォーム費用がどれだけ必要か?」わからない場合は、建築のプロに見積りを依頼しましょう。和室のリフォーム経験が豊富な担当者であれば、的確なアドバイスや提案を頂けるはずです。
リフォーム後のイメージをつかむ
襖や畳などはメーカーの見本帳を確認すればある程度リフォーム後の和室をイメージできますが、押入れをクローゼットに変えたり、和室が洋室へリフォームした場合はイメージしにくいケースが少なくありません。「こんなはずじゃなかった」「イメージと違った」と後悔しないためには、リフォーム後のイメージがわかる図面やパースなどで確認しましょう。
予算別和室リフォームの施工事例
和室リフォームの事例を予算別に紹介します。工事日数や施工前と施工後の写真付きです。
ご自宅の和室リフォームの前に参考にしてください。
古くなった畳を解体し、フローリングに張り替えた施工事例です。床材は明るいライト系のカラーを選ばれたので部屋が明るくなりました。使い勝手の良い囲炉裏テーブルは再利用しています。
古くなった畳をフローリングに張り替えた施工事例です。柔らかい畳に比べるとフローリングは沈みにくく強度があるため、パソコンデスクや介護用のベッドを設置にも適しています。フローリングは無垢材の他、お手入れが簡単なノンワックスタイプもあります。
和室にクローゼット収納を設置した施工事例です。クローゼットドアが床から天井まであるため、収納物を出し入れしやすくなりました。部屋の床に置いていた物や、洋服タンスに入らない冬物のロングコートもスッキリ収納できます。
和室畳を表替えした施工事例です。経年劣化や日焼けによってゴザ(畳表)が変色していましたが、表替えした畳はい草の香りと風合いが復活。畳縁も新しくなりました。
畳の下には畳下板(荒板)と呼ばれる下地板が敷き込まれています。新築時は、ベニヤを積層した合板が張られていましたが、湿気がこもりにくい杉板に張り替えました。
マンションの和室の壁クロスと襖の張り替え、畳は表替えした施工事例です。表替えした畳はい草の香りと風合いが復活。畳縁も新しくなり、い草の香りを楽しみながらくつろぐことができます。
古くなった畳を撤去し、床はフローリングを張り、雪見障子は格子デザインの引戸へリフォームしました。従来の障子紙は破れてしまいますが、ワーロンシートのような強い素材であれば破れにくく、丈夫で長持ちです。
和室リフォームの費用を抑える方法
ここでは、和室リフォームの費用を抑える方法をまとめています。
建材や素材のグレードを下げる
和室に使われる畳や襖、塗り壁材や天井材も商品のグレードによって価格が大きく変わります。建材や素材のグレーを下げるとリフォーム費用を抑えることができます。壁紙の中には見た目が聚楽のようなクロスもあります。
自分で襖や障子を張り替える
ホームセンターやインターネット通販ショップで材料と道具を揃え、自分で襖や障子を張り替えればリフォーム費用を抑えることができます。張り替えの手順は、インターネットで検索したり、YouTubeで詳しく紹介されている動画もあります。
まとめてリフォームする
畳や壁、天井のリフォームを別々に行うと割高になります。リフォーム費用を抑えるには、まとめてリフォームするとトータルコストが安くなります。
専門店に依頼する
畳や襖、障子のみ張り替える場合は、畳屋さん、表具の専門店に依頼するとリフォーム費用を抑えることができます。和室の畳をフローリングに張り替えたり、押入れをクローゼットへリフォームするには建築の知識が必要です。
和室リフォームの業者選びのポイント
和室リフォームの依頼先は、家を建てたハウスメーカーや工務店、地元のリフォーム会社、最近では家電量販店やホームセンターなど様々です。和室のリフォームで失敗しないためには業者選びが重要になります。ここでは、和室のリフォームの業者選びのポイントをまとめています。
実積豊富なリフォーム会社を選ぶ
和室のリフォーム実績が豊富な業者であれば、プロとして的確なアドバイスや提案をしてくれます。見積り依頼の際は、過去の施工実績をホームページや担当者に聞いて確認しましょう。
担当者の対応が丁寧でわかりやすいか?
信頼できる担当者は誠実で説明もわかりやすいのが特徴です。数ある商品の中からお客様の立場で使い勝手を考えながら提案してくれます。見積書、契約内容、工事の流れや、保証についてもわかりやすく説明してくれます。
工事後のアフターフォローや保証が充実しているか
リフォーム後、しばらく快適に使えていても、年数が経過すると不具合が出てくることがあります。メンテナンスの方法がわからなくなったときに、相談できるリフォーム会社がオススメです。地元の工務店やリフォーム会社であれば小回りがきいて安心です。
まとめ
和室リフォームのポイントや施工事例を元に費用相場、リフォーム業者選びについて紹介しました。和室は、お客様をお迎えする重要な部屋です。和室リフォームで失敗しないためには、信頼できる工務店やリフォーム会社に依頼することが最も重要です。
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