マンション購入時はキレイだった部屋も10年も経つと壁紙が剥がれや、ガスコンロ、給湯器の故障など経年劣化はどうしても避けられません。また、家族構成やライフスタイルの変化によって間取り変更が必要になります。マンションは戸建て住宅と違いリフォームできる範囲が決まっています。ここではマンションリフォームの工事費用や相場、工事日数、費用別の施工事例、業者選びのポイントをご紹介します。
この記事の目次
マンションリフォームの注意点
マンションは、自分でリフォームできる「専有部分」と自分でリフォームできない「共有部分」があります。「専有部分」は、キッチンやユニットバス、フローリングや壁紙など部屋の中のことです。「共有部分」はエントランスやエレベーター、玄関から外にある共用廊下や屋上、コンクリートの柱や梁やスラブといったマンションの構造部分も含まれます。
玄関ドアやベランダ、窓サッシは「専用使用部分」と呼ばれています。「専用使用部分」は、他人が使えない場所ですが、管理組合の許可なく勝手にリフォームすることはできません。
マンションリフォームは管理組合の許可が必要
「専有部分」は自分でリフォームできますが、リフォームの前に必ず管理組合の許可が必要になります。また、マンションによっては音が響きにくい床材を選ばなければなりません。管理規約を事前に確認しておきましょう。
マンションリフォームの費用相場と工事日数
マンションリフォームは、キッチンやユニットバスの交換、和室を洋室へ改装、結露対策、まるごとリフォームなど様々です。リフォーム費用の相場と工事日数の目安を一覧にしています。ここで紹介する金額や工事日数はあくまで一般的な目安です。実際にリフォームする費用や工事日数は、お住まいの状況によって異なります。
施工別の早見表
施工内容 | 費用相場 | 工事日数 |
---|---|---|
キッチンリフォーム | 60~120万円 | 2~3日 |
浴室リフォーム | 80~120万円 | 3~4日 |
トイレリフォーム | 20~50万円 | 1~2日 |
洗面所リフォーム | 9~30万円 | 1~3日 |
リビングリフォーム | 30~150万円 | 1~5日 |
ダイニングリフォーム | 10~150万円 | 1~5日 |
子ども部屋と寝室のリフォーム | 10~150万円 | 1~5日 |
和室を洋室へリフォーム | 60~80万円 | 4~5日 |
間取り変更リノベーション | 300~1,200万円 | 2週間~2ヶ月 |
キッチンリフォーム
最新のシステムキッチンは、デザイン性が高く、使い勝手が良いものばかりです。収納力もあり、機能も充実していますので家事の負担を軽減できるメリットがあります。便利な調理家電も増えてきました。コンセントや電気容量が不足する場合は、キッチン交換と一緒にリフォームしましょう。
キッチンリフォームは、1日目に既存のキッチンを解体し、新しいキッチンに合わせて電気や水道、排水管を移動します。2日目にシステムキッチンを組み立て、電気や空調ダクト、水道、排水を繋げます。キッチンまわりの床や壁などが古くなっていたら一緒に貼り替えをオススメします。
浴室リフォーム
マンションの浴室は、一般的にユニットバスやシステムバスと呼ばれる工場で製造された浴槽や壁、天井を現場で組み立てるお風呂が主流です。最新のユニットバスは、冷めにくい浴槽や、浴室暖房、ミストサウナ付のタイプもあります。
ユニットバスの交換は、1日目に既存のユニットバスを解体し、新しいユニットバスに合わせて電気や水道、排水管を移動します。2日目にユニットバスを組み立てながら排水管や水道を接続し、電気は空調ダクトを繋げます。3日目にユニットバスの入口の壁を作り、壁紙を貼って仕上げます。
洗面化粧台が古くなっていたら、新しいものに交換をおすすめします。10年以上給湯器を交換していなければ浴室リフォームのタイミングで交換をオススメします。
トイレリフォーム
従来のトイレは、便器の形状がデコボコしていましたが、最新の便器はコンパクトでお手入れしやすい形状です。トイレを流す水量も格段に減って環境に家計に優しいエコ便器になっています。最新の便器はデザイン性に優れ、まるで水を溜めるタンクが無いような収納付のトイレもあります。
トイレの交換は、既存のトイレを解体し、新しいトイレを設置まで1日で終わることがほとんどです。床や壁紙を貼りかえる場合はもう1日必要になります。
トイレリフォームと一緒に立ったり座ったりが楽になる手摺の設置、トイレットペーパーや掃除用具の収納を考えておくことをオススメします。
洗面所リフォーム
マンションの洗面所リフォームは、古くなった洗面化粧台や換気扇の交換、床や壁紙の張り替え、収納棚の取付などです。
洗面化粧台交換は、既存の化粧台を解体し、新しい洗面台を設置まで1日で終わることがほとんどです。広いカウンタータイプ、収納キャビネットのある洗面化粧台を交換する場合は解体から組み立てまで時間が掛かるので2日必要です。床や壁紙を貼りかえる場合はもう1日必要になります。
洗面脱衣室は、洗面化粧台で水を頻繁に使い、風呂上りの湿気が溜まりやすいため、キッチンやトイレよりも劣化が早い傾向です。リフォームの際は、水に強くお手入れしやすいものを選びましょう。
リビングリフォーム
リビングルームは、家族でくつろぐスペースです。お客様をもてなす場でもあるため、いつもキレイにしておきたい場所です。
リビングの天井と壁紙貼り替えだけであれば最短1日で終わりますが、フローリングを張り替える場合は数日必要です。マンションの規約で遮音等級が決められていることがありますのでリフォームの前に確認しましょう。
マンションはリビングとダイニング、キッチンが一体になったLDKと呼ばれる間取りが多く、LDKをまとめて改装される方もいます。照明器具やカーテンを交換するだけでもリビングの雰囲気がガラっと変わります。ご予算にあわせてどこまでリフォームするか検討しましょう。
ダイニングリフォーム
ダイニングは、食事をするための部屋のことです。マンションの場合、ダイニングとキッチンが一体になったダイニングキッチンの間取りが多く、キッチンリフォームと一緒に工事される方がほとんどです。
ダイニングの天井と壁紙貼り替えだけであれば最短1日で終わりますが、フローリングを張り替える場合は数日必要になります。
子ども部屋と寝室のリフォーム
マンションの子ども部屋や寝室は、床がフローリングで壁と天井がビニールクロス壁紙で仕上がった洋室の間取りが多く、収納はクローゼットになっています。
一般的な6帖の広さの子ども部屋や寝室であれば最短一日で壁と天井のクロス貼り替え可能です。フローリングを張り替える場合は数日必要です。
マンションは、南側にLDK、真ん中にお風呂や洗面などの水回り、北側の玄関の両隣に子ども部屋と寝室という間取りがほとんどです。北側の部屋は、結露しやすい環境のため、結露対策で内窓を付けたり、断熱工事をオススメします。
和室を洋室へリフォーム
日本文化に欠かせない畳が敷き込まれた和室は、マンションでも採用されていましたが、ライフスタイルの変化によって洋室へリフォームされる方が増えています。
和室を洋室へリフォームする手順は、既存の畳を撤去し、フローリング下地を作ります。押し入れは解体してクローゼットドアを取り付けます。和室の入口の襖も洋風のドアや引戸へリフォームします。壁や天井がクロス貼りであれば新しい壁紙に貼り替えます。
洋室を仕事部屋やリモートワーク、趣味の部屋として使われる場合は、パソコンや家電、器具などのコンセントが必要になります。不足しないようにコンセントを増やしておきましょう。
間取り変更リノベーション
マンションは、増築や拡張はできませんが、工夫次第で魅力的な空間に生まれ変わります。既製品の家具や棚を使って実現できない場合は、壁を壊して間取り変更が必要です。
部屋の一部を解体して間取り変更する場合は、住みながらリフォーム可能です。しかし、リノベーションの場合は、室内すべて解体しますので、仮住まいの手続が必要になります。余裕をもったスケジュールで計画を立てましょう。
マンションリフォームで失敗しないポイント
一度マンションをリフォームすると10年以上使い続けることがほとんどです。折角お金をかけてリフォームしたはずがイメージと違ったり、使い勝手が悪くなってしまっては無駄になってしまいます。ここでは、マンションリフォームで失敗しないポイントをまとめています。
マンションの不満点を洗い出す
住まいを快適にするには、見積依頼の前に現在の不満点、改善したい点を洗い出し、まとめましょう。パートナーや家族にも聞いておくと参考になります。
リフォームの優先順位を決める
不満点や改善したいことを一覧にすると本当にしたいリフォームが見える化できます。一覧の中からリフォームの優先順位を決めますが「費用がどれだけ必要か?」わからない場合は、建築のプロに見積りを依頼しましょう。マンションのリフォーム経験が豊富な担当者であれば、的確なアドバイスや提案を頂けるはずです。
完成後のイメージを明確化する
見積りや、メーカーのカタログだけではリフォーム後のイメージを掴むことは難しいので、近くにショールームがあれば実物を確認しましょう。間取り変更やリノベーションの場合は図面やパースなどでリフォーム後どように変わるか?確認しましょう。
マンションリフォームの施工事例
マンションリフォームの事例を施工前と施工後の写真付きで紹介します。ご自宅のマンションリフォームの前に参考にしてください。
マンションの水まわりリフォーム
キッチンやユニットバス、洗面化粧台やトイレは、毎日使う場所です。毎日手入れしていても、機器が壊れて使えなくなることがあります。ここでは、水まわりのリフォーム事例を写真付きで紹介しています。
壁で仕切られた対面キッチンを解体し、アイランド型のオープンキッチンにリフォームした事例です。吊戸棚が無くなり、開放的なLDKになりました。システムキッチンは、ステンレスのカウンターとキャビネットで構成されています。ステンレスは耐久性に優れています。使いやすい動線によって家族の会話が増えたと喜ばれていました。
隅付型便器から温水洗浄便座付のタンクレストイレにリフォームした事例です。水道配管や壁に取り付けられたタンクが無くなったため、とてもスッキリしました。新しいトイレは凹凸が少ない形状をしているため掃除や手入れが楽になりました。
洗面脱衣室にある洗面化粧台と洗濯スペースをリフォームした事例です。洗面化粧台はカウンターの上に洗面ボウルが乗せた形です。円形のミラーの後ろはモザイクタイルで仕上がっています。洗濯機スペースの上部は、可動式の収納棚をオーダーで制作しました。
洋室、和室、玄関他間取り変更リフォーム
洋室や和室、玄関のリフォームを写真付きで紹介しています。
洋室の床と壁、天井をリフォームした事例です。床は元々カーペットでしたが、フローリングへリフォームしました。床が明るくなると部屋全体の雰囲気もガラッと変わります。カーペットに比べ、フローリングは木目で温かみがあり、お手入れが楽になります。
壁紙の一部を貼り替えた事例です。壁紙の下地は、石膏ボードやコンクリート壁の場合もあります。今回の事例は、壁紙を一旦剥がし、平らに調整後、ビニールクロスを貼りました。石膏ボードの壁は強い衝撃で穴が開いてしまうこともあります。壁紙を貼る下地を作ることができれば元通りになります。
マンションの和室の壁クロスと襖の張り替え、畳は表替えした施工事例です。表替えした畳はい草の香りと風合いが復活。畳縁も新しくなり、い草の香りを楽しみながらくつろぐことができます。
押入れをクローゼットへリフォームした事例です。これまで既製品のハンガーラックに掛けていた洋服もスッキリ収納できます。大容量の引き出し収納は間取りに合わせて制作しています。
廊下の床カーペットをフローリングへ張り替えた施工事例です。カーペットはマンションの構造部分、コンクリートのスラブに直接張ってあることが多く、フローリングへリフォームする際は専用の遮音フローリングで張り替えます。
玄関の下駄箱を撤去し、オーダーで制作した収納を設置したリフォーム事例です。靴は最低限入るスペースにしてカウンターの上にスーツケースやゴルフバッグなど大きな荷物を載せることができる空間を作りました。壁の一面をアクセントクロスで仕上げています。
壁を撤去し、リビングと洋室をひとつにまとめたリフォーム事例です。間仕切壁が無くなり広々とした空間になりました。元々洋室だった床はカーペットで仕上げ、リビングの床は状態が良かったためそのまま使っています。
古いマンションは間仕切壁もコンクリートで作られていることがあります。コンクリートの壁はマンションの構造部分のため、撤去できません。中古マンションを購入するときも間取り変更できるか確認しておくことをオススメします。
マンションリフォームの費用を抑える方法
一度マンションをリフォームすると10年以上使い続けることがほとんどです。折角お金をかけてリフォームしたはずが使い勝手が悪くなってしまっては無駄になってしまいます。同じリフォーム内容でも工夫をすればリフォーム費用を節約できます。ここでは、マンションリフォームの費用を抑える方法をまとめています。
優先順位を考え設備や内装建材、オプションを選択する
キレイな扉やこだわりのデザイン、機能が充実したキッチンやシステムバスは定価が高く、高級グレード品になるほど割引率も低くなります。リフォーム費用を抑えるには、商品のグレードを下げたり、他メーカーで同等品を探したりしながら比較検討しましょう。
予算オーバーした場合は、リフォームの優先順位を家族でしっかり考えプランを決めましょう。プロにコスト削減のアドバイスを相談も有効なテクニックです。
まとめてリフォームする
キッチン、浴室、洗面、子ども部屋、和室と個別にリフォームすると割高になります。まとめてリフォームするとトータルコストが安くなります。特に浴室や洗面など隣り合う水回りを同時にリフォームすると費用を抑えることができます。
リフォームの補助金を利用する
補助金制度は、国や地方公共団体が推進する「高性能な住宅」を普及させるため、リフォームの一部を補助する支援制度です。補助金は、内窓や断熱、省エネ設備を使ったリフォームの他、バリアフリー改修も適用されます。
補助金が適用される建材や設備が決められています。検討中のマンションリフォームが基準を満たしているか、補助金事業のウェブサイトや窓口に問い合わせてみましょう。
また、補助金対象のリフォームを行うと税金の控除や減税の対象になることがあります。補助金や減税制度を活用してお得にリフォームしましょう。
マンションリフォームの業者選びのポイント
マンションリフォームの依頼先は、地元のリフォーム会社や工務店、家電量販店、ホームセンターなど様々です。マンションのリフォームで失敗しないためには業者選びが重要になります。ここでは、マンションのリフォームの業者選びのポイントをまとめています。
実積豊富なリフォーム会社を選ぶ
マンションのリフォーム実績が豊富な業者であれば、プロとして的確なアドバイスや提案をしてくれます。見積り依頼の際は、過去の施工実績をホームページや担当者に聞いて確認しましょう。
担当者の対応が丁寧でわかりやすいか?
信頼できる担当者は誠実で説明もわかりやすいのが特徴です。数ある商品の中からお客様の立場で使い勝手を考えながら提案してくれます。見積書、契約内容、工事の流れや、保証についてもわかりやすく説明してくれます。
工事後のアフターフォローや保証が充実しているか
リフォーム後、しばらく快適に使えていても、年数が経過すると不具合が出てくることがあります。また、操作方法や、メンテナンス方法がわからなくなったときに、相談できるリフォーム会社がオススメです。地元の工務店やリフォーム会社であれば小回りがきいて安心です。
まとめ
マンションリフォームのポイントや施工事例を元に費用相場、リフォーム業者選びについて紹介しました。マンションリフォームで失敗しないためには、信頼できる工務店やリフォーム会社に依頼することが最も重要です。
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