外壁リフォームは、家を長持ちさせるために必要なメンテナンス工事です。家を建てて10年過ぎると外壁が色あせたり、ひび割れが発生したりします。そのまま放置しておくと、見た目が悪くなるばかりか外壁の保護機能が低下し、家の寿命が短くなってしまいます。
外壁の状態が良ければ塗り替えだけで済みますが、雨水が内部に侵入し、下地が腐ったり、外壁材が反っていた場合は、外壁材の張り替えが必要です。ここでは、リフォーム前に知っておきたい外壁リフォームの費用相場や工事日数、施工事例や業者選びのポイントをまとめています。
この記事の目次
外壁リフォームの種類と費用相場一覧
外壁のリフォームは、大きく分けて塗り替え、張り替え、重ね張りの3種類です。外壁材がサイディングや、ALCであれば継ぎ目のシーリング工事が必要になります。
ここでは、外壁リフォーム別の費用相場や工事日数について解説します。金額や工事日数は、延床面積30坪程度の木造2階建て住宅として算出しています。
家の大きさや状態、外壁材の種類によって金額が大きく変わる場合がありますのでご注意ください。
施工別の早見表
施工内容 | 費用相場 | 工事日数 |
---|---|---|
外壁塗装 | 65~80万円 | 10日程度 |
外壁の重ね張り(カバー工法) | 180~250万円 | 2~3週間 |
外壁の張り替え | 200~300万円 | 2週間~1ヶ月 |
コーキング(シーリング)の打ち替え | 700~1,200円/m | 5日~1週間 |
コーキング(シーリング)の増し打ち | 600~1,000円/m | 5日~1週間 |
外壁塗装工事
外壁塗装は、家を長持ちさせるために必要なメンテナンス工事です。
外壁をお手入れしなければひび割れた所から雨水が侵入し、家の寿命が短くなってしまいます。ひび割れを直し、外壁をキレイに塗り替えると強い日差しや雨水から家を守ってくれます。
一般的に外壁塗装は10年から15年が目安です。外壁がサイディングやALCの場合は、目地シーリング工事も必要です。
外壁の重ね張り工事(カバー工法)
外壁が劣化し、再塗装工事ができない場合、既存の外壁の上から新しい外壁を重ねて張る方法があります。外壁の重ね張り工事は、カバー工法と呼ばれています。外壁を残したまま工事が可能なため、解体費用や処分費が抑えられます。
カバー工法に使われる外壁材は、主に軽量な金属サイディングが採用されています。
外壁の張り替え工事
外壁がひび割れ、塗装や重ね張りができない状態になった場合は、張り替え工事を行います。
外壁を全て壊すので、下地材が悪くなっている箇所を改善することができます。足場を組んで工事をするため、外壁張り替えと一緒に屋根の塗装や葺き替えを同時に行うと、屋根と外壁を別々にリフォームするよりもお得です。
外壁材のデザインやカラーが様々ありますので、サンプルを確認しながら柄を選びましょう。
コーキング(シーリング)の打ち替え工事
窯業系サイディングや、ALC板と呼ばれる外壁材は目地にコーキング(シーリング)と呼ばれる見た目がゴムのような素材が施されています。
コーキングは、経年劣化で硬くなり、ひび割れを起こしてしまいます。コーキングが劣化している場合は、打ち替え工事が必要です。打ち替え工事は、古くなったコーキングを剥がし、プライマーと呼ばれる接着材を塗布し、新しいコーキング材を充填します。
コーキングの打ち替えは、外壁塗装と一緒に工事するのがおすすめです。
コーキング(シーリング)の打ち増し工事
既存のコーキングの状態が良好な場合は、既存のコーキングの上から充填する打ち増し工事をします。
コーキングの打ち増しできる厚みが確保できない場合は、打ち替えが必要です。窓まわりにもコーキングが施されています。
家の構造によって、コーキング撤去の際、内側の防水シートを破ってしまう可能性があるため、打ち替えではなく、コーキングの増し打ち工事を行うことがあります。
外壁リフォームが必要かどうかの判断基準
外壁の見た目が大きく損なわれていない場合は、外壁リフォームの必要性をあまり感じないかもしれません。
しかし、一般的な外壁材は築10~15年程度で劣化が発生し、塗装などのメンテナンスが必要になります。
劣化を放置し続けると、建物自体の大きな損傷に繋がる可能性もあるので、早めのリフォームこそ建物を長持ちさせる秘訣です。
ここでは、外壁リフォームの判断基準となる状況や変化について解説します。
外壁の変色や色あせ
太陽の紫外線や雨風によって、塗装が色あせたり、変色する現象です。
変色や色あせした状態では、見た目が悪くなってしまいますが、緊急性がある状態ではありません。
まずは現状の外壁材や塗料の耐用年数を確認して、その年数を経過していないのであれば、しばらく様子を見ても良いでしょう。
外壁を手で触ると白くなる(チョーキング)
外壁を手で軽くこすった際に白くなる「チョーキング」という現象が現れることがあります。こちらも劣化の初期段階です。
外壁材に塗られた塗料の塗膜が、太陽の紫外線や熱、あるいは雨風にさらされて劣化し、さらにそのまま剥離分解すると、顔料がむき出し状態になってチョーキング現象が起こります。
防水効果が薄れますので、早期に外壁リフォームを実施することを推奨します。
なお、さらにそのまま放置した場合は塗膜のヒビ割れや塗膜の剥離などが生じやすくなります。浸水や腐食を招き、建物本体の劣化へと繋がりかねませんので、可能な限り早めに対処しましょう。
コケやカビによる汚れ
外壁にコケやカビが発生する原因には、外壁材の塗装に使われている塗料の劣化が考えられます。
コケやカビをそのまま放置しておくと外壁材の劣化の原因にもなりますので、外壁リフォームを検討する方が賢明です。
特に雑木林などが近くにある場合は、一般的な家よりコケやカビが発生しやすい環境なので、市販の高圧洗浄機で定期的に洗浄するもの良いでしょう。
シーリングの劣化
シーリングはサイディングの繋ぎ目部分などにある緩衝材です。
紫外線や雨風にさらされているため、どうしても劣化します。
劣化してしまうと、表面にヒビが入ったり、完全に割れてしまったりします。
そのまま放置してしまうと、雨漏りの原因になります。
シーリングは7~10年ぐらいが寿命と言われています。
そのため、塗装などのメンテナンスの際は一緒に補修などを行うと良いでしょう。
外壁のひび割れ(クラック)
外壁のひび割れ(クラック)にはいくつかの種類がありますが、大きくは「ヘアクラック」と「構造クラック」に分類されます。
「ヘアクラック」は表面に髪の毛ほどのわずかなひび割れが生じる現象で、外壁材に塗られた塗料の塗膜が経年劣化したことによって発生します。
一方、「構造クラック」は、建物自体の構造的な欠陥が原因となって発生する重大なひび割れです。この場合、建物の構造自体を補強しない限り、再び発生しやすくなります。
いずれの場合においても、早急な外壁リフォームが必要です。
塗膜の膨れや剥がれ
外壁の劣化の症状としてチョーキング現象と並んで、初期に発生しやすいのが「塗膜の膨れや剥がれ」です。
外壁塗装で使用される塗料は、汚れの付着や雨水の侵入を防ぐ役割を担うため、そのまま放置すると塗料が剥がれ落ち、汚れや雨水が外壁の内部へ侵入しやすくなります。
つまり、外壁自体の劣化が進みやすくなるのです。
見た目も悪くなるので、早急に外壁のリフォームを検討する必要があります。
10年に一度はメンテナンスを行おう
外壁リフォームの目安は10年と言われており、根拠として外壁材に塗られている塗料の耐用年数がよく挙げられます。
メンテナンスを行うタイミングは、直接外壁の劣化具合を見て判断しましょう。
外壁を手でさすって白い粉が手に付く、あるいは塗料の剥がれやヒビ割れが発生している場合は、劣化が進んでいる状態ですので、10年未満であっても外壁リフォームを検討してください。
塗料の劣化が確認できた後もそのまま放置してしまうと、外壁の再塗装では済まなくなり、外壁の交換といった大がかりなリフォームが必要になりかねません。
外壁リフォームで失敗しないポイント
築10年を超え始めると必要になる外壁リフォーム。
特に外壁塗装は、手抜きしやすいと言われているので注意が必要です。
「塗装したら数年で剥がれてきた…」「10年保証と聞いていたのに業者と連絡がつかない…」など余計なトラブルは避けたいところではないでしょうか。
ここでは外壁リフォームを失敗させないポイントについてご紹介します。
1.訪問販売の業者は避ける
外壁の劣化は、表面のひび割れや色あせなどです。
外観を見るだけで劣化の有無がわかります。
そのため、「ひび割れを放置しておくと雨漏りの原因になります」「今すぐ塗装しないと大変なことになります」と不安を煽ってくる訪問業者も少なくありません。
しかも、「今日、契約すると足場代を無料にします」「キャンペーン期間中なので30万安くします」などの営業トークで契約を急かしてくるケースもあります。
その場で契約するのではなく、複数社に見てもらってしっかりと比較検討して依頼先を決めた方が良いでしょう。
2.ランニングコストを考える
現在、主流な塗料はシリコン樹脂ですが、どの塗料を選んだらいいのか悩む方も少なくありません。
当然、耐用年数が長くなるほど、金額が高くなります。
だからと言って、アクリル樹脂の塗料で塗装すると10年も経たないうちに足場をかけて再塗装しないといけません。
一方で、フッ素は20年程度とひときわ耐用年数が長い塗料ですが、どうしても15年も過ぎれば見た目が悪くなり、塗り替えが必要になる可能性があります。
フッ素はその値段に20年分の価格が詰まっていると考えると不経済に感じてしまう方もいるでしょう。
3.色は入念に確認する
外壁塗装の楽しみの一つが色決めです。
まずは、色見本の中から好みの色を数点選びます。
しかし、カタログなどの色見本は小さく実際の色より濃く見えてしまうので注意が必要です。そのため、選んだ色はA4サイズ程度の塗板を準備してもらいましょう。
その塗板は、室内で見るのではなく晴れた日の外で確認すれば大きなズレは生じません。
また、色をガラッと変える場合は、カラーシミュレーションでイメージを確認するのがおすすめです。
しかし、あくまでもイメージのため、最終的な色の決定は同様にA4サイズの塗板の見本帳を確認して決定しましょう。
4.景観でトラブルが起こらないように気を付ける
自治体によっては「景観条例」を設けているため、外壁塗装の際には事前に調べておく必要があります。
この景観条例で代表的なのは京都です。京都の場合、古い町並みが多いのでお店の看板やロゴなどがモノトーンによるおとなしい色で統一されています。
それ以外の地域においても、周囲から浮いた色の外壁にするとご近所トラブルになりやすいので注意が必要です。
予算別外壁リフォームの施工事例
ここでは外壁リフォームの事例や施工のポイントをご紹介します。
こちらは、2階建ての一戸建て住宅の外壁塗装の事例です。ラジカル制御ハイブリッド塗装を採用しました。
この塗料は、シリコン樹脂塗料を上回る耐候性やツヤ・防藻・防カビ機能が特徴です。特に、チョーキング現象を抑える効果が高まります。
高性能でありながら塗料の費用は一般的な塗料と変わらないため、リフォーム費用がかさむ心配もありません。
主なリフォーム箇所は、外壁塗装と防蟻工事です。外壁に目立った亀裂などはないものの、築10年経過していたため、再塗装を行いました。
外壁の色は、ベージュ系の元色からトーンを上げたホワイト調の落ち着いた色合いを選択しています。
また、木材を餌にするシロアリが家の中に侵入しないようにするため、防蟻工事も施しました。
主なリフォーム箇所は、2階建てアパートの屋根全体の塗装と外壁塗装工事です。
集合住宅は、一戸建て住宅よりも施工範囲が広くなりますので、工事日数は10~14日を要しました。
壁が白色の塗料で塗り替えられ、太陽の光が反射して明るい印象を与えます。
リフォーム箇所は、外壁塗装とシーリング工事です。外壁の元色は白ベースでしたが、レンガ色の塗料を使用し、イメージを大きく変更しました。
塗装と同時にシーリング工事も行っています。
シーリング工事は、劣化の兆候が見られたら早期に実施することを推奨します。
サイディングの目地の劣化が目に付き始め、家の裏側の外壁に少し剥がれが生じていた住宅の塗装リフォームを行いました。
元の色はイエローベージュでしたが、今回はブラウン系の塗料を使用しています。
建物全体に重厚感が出て、落ち着いた印象に仕上がりました。
リフォーム箇所は、屋根と外壁の塗装工事です。リフォーム前の外壁は全体的に汚れやひびが目立っていました。
洋風の住宅でしたので、外壁にはホワイト色の塗料、玄関のサイディング壁は一部に濃い青色の塗料を使い、モダンでおしゃれな建物に仕上げました。
一部に入れた濃い青色がアクセントカラーとなり、外観に変化が生まれています。
外壁リフォームの費用を抑える方法
外壁リフォームは、施工範囲が広い上にほとんどのケースで足場を組んで工事を行うため、費用が高額になる傾向があります。
しかし、費用を安く抑える方法はいくつかあります。
ここでは外壁リフォーム代金を安く抑えるコツをご紹介します。
1.外壁と屋根のリフォームを同時に行う
屋根や外壁のリフォームは、安全面上、足場設置が欠かせません。
仮に屋根と外壁のリフォームを別々に行うと、当然、足場代が別々に必要になります。
足場代は、20万円前後です。
屋根と外壁を別々にリフォームすると足場代が20万円×2回もかかってしまいます。
しかし、屋根と外壁リフォームを同時に行うことで、足場代を1回に節約することできます。外まわりのリフォームを検討している方は、屋根と外壁は同時に実施することがおすすめです。
2.補助金や助成金、火災保険を使う
外壁をリフォームする費用を、地方自治体からの助成金や補助金、あるいは火災保険で補うことも可能です。
助成金や補助金は、各自治体によって支給される条件や支給金額が異なります。
検討しているリフォームが該当するかどうかは、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
火災保険は、地震を除く自然災害によって建物に損害が生じた際の補修費用を補完するものです。
台風などで雨樋が破損した際は、一部補修費用等が出る可能性があるので、保険会社に相談すると良いでしょう。
しかし、経年劣化によるリフォームや補修では火災保険は対象外となります。
詳しくは、加入されている保険会社にお尋ねください。
3.相見積もりを取る
外壁リフォームをする際には、複数の業者から相見積もりを取ることも忘れてはいけません。
金額だけではなく、工事内容や塗料の提案など、自分の希望に合う業者を比較して選ぶことができるからです。
リフォーム工事は、その工事をするための適正価格があります。
そのため、大幅な値引きや、今回特別に足場無料など、根拠ない値引きをしてくる業者は、注意が必要です。
このような業者は、自社の利益を確保するために材料や手間を省いている可能性があるので、次のメンテナンス時期が早まってしまい、結果的に割高になってしまうことも少なくありません。
外壁リフォームの業者選びのポイント
外壁リフォームで失敗しないためには、優良な業者を選べるかがポイントです。
ここでは優良な外壁リフォーム業者を選ぶためのポイントについてご紹介します。
1.地元で活動している自社施工業者を選ぶ
外壁リフォームをする際には、地元で長年活動している自社施工業者がおすすめです。
長年、地域密着でリフォームをしているということは、地域の方から長年信頼を得ている証拠です。
それに悪い評判はあっという間に広まってしまいますので、工事トラブルなどもほとんどないはずです。
また、自社施工であれば、下請けや孫請けへの丸投げによる施工レベルの低下を防ぐこともできます。
2.資格を持っている業者を選ぶ
外壁リフォームの業者選びをする際、実績や信頼性の裏付けになるのが業者が取得している資格です。
リフォーム業は、資格がなくても始めることができますし、資格より長年の知識や経験の方が重要だと言う業者も少なくありませんが、一級塗装技能士や外壁診断士などの関連資格があった方が、より良質な工事や提案が期待できます。
ただし、これらの資格を持っていたとしても、丁寧な対応や説明ができない業者への依頼は避けるべきでしょう。
3.工事後も保証してくれる業者を選ぶ
万が一、工事箇所に不具合があった場合に備えて業者が提供しているのが「工事保証」です。工事保証とは、不具合が生じた際、無料で手直しなどの補修対応をするものです。
工事の不具合なので、無料で補修するのは当然ですが、不誠実な業者になると対応しなかったり、何かと理由を付けて保証対象外にしてくる業者もいます。
そのため、保証については口頭ではなく、「保証書」として書面で提出してくれる業者にしましょう。
また、外壁塗装などでは「20年保証」と長期保証をウリにしている業者もいますが、保証年数(期間)より保証内容の方が重要です。
どのような場合にどのような保証をしてもらえるのか?をしっかりと理解し、納得してから依頼しましょう。
まとめ
外壁リフォームは10年ほどが実施目安と言われていますが、塗料によっては数年で劣化が始まります。
そのまま放置してしまうとひび割れなどが生じ、漏水の原因になります。
早期発見と早期対処が家を長く維持するコツです。
信頼できる外壁リフォーム工事店をお探しでしたら、ぜひ優良工事店ネットワークをご利用ください。