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執筆:二級建築士 安藤勉
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リフォームを考えるとき、
「この間取りは使いやすいですか?」
という相談を受けることがあります。
しかし、使いやすい家かどうかは間取り図を見るだけでは分かりません。
実際の暮らしの中で、
- どこへ移動しているのか
- 何を運んでいるのか
- どこを何度往復しているのか
によって、住みやすさは大きく変わります。
特に50代・60代になると、若い頃は気にならなかった移動も少しずつ負担になることがあります。
そのため、リフォームを考える前に、まずは一日の行動を書き出してみることをおすすめします。
家事動線と生活動線は少し違う
動線には大きく分けて2種類あります。
家事動線
家事をするための移動です。
例えば、
- 洗濯
- 掃除
- 料理
- ゴミ出し
などがあります。
生活動線
日常生活の移動です。
例えば、
- 起床
- 洗顔
- 食事
- 入浴
- 就寝
などです。
家事動線だけ改善しても、生活動線が使いにくければ快適な家にはなりません。
両方を確認することが大切です。
朝起きてから寝るまでを書き出してみる
使いやすい家を考えるなら、まず一日の流れを書き出してみましょう。
例えば、
起床
↓
トイレ
↓
洗面所
↓
キッチン
↓
リビング
という朝の流れです。
さらに、
- 洗濯
- 掃除
- 買い物
- 入浴
- 就寝
まで振り返ってみます。
すると、
「毎日同じ場所を何度も往復している」
ことに気付く場合があります。
住まいの不便は、こうした行動の中に隠れていることが少なくありません。
不便は「移動回数」に表れる
家の不便さは、移動回数を見ると分かりやすくなります。
例えば、
- 洗濯物を干すために2階へ上がる
- 洗剤を取りに別の部屋へ行く
- トイレットペーパーを納戸へ取りに行く
- 掃除機を持って階段を上る
といった行動です。
1回では気にならなくても、毎日続けば大きな負担になります。
50代・60代からは、移動そのものを減らすという発想も大切になります。
動線が悪い家によくある例
実際の相談でも、次のようなケースは少なくありません。
洗濯機は1階、物干し場は2階
洗濯のたびに階段を上り下りすることになります。
キッチンと収納が離れている
料理中に何度も往復が発生します。
日用品が一カ所に集中している
各部屋で使う物を取りに行く回数が増えます。
掃除用品を毎回運んでいる
掃除のたびに移動が発生します。
一つひとつは小さな不便ですが、毎日の積み重ねが暮らしやすさを左右します。
洗濯動線は特に見直したいポイント
動線の問題が最も表れやすいのが洗濯です。
例えば、
洗う
↓
干す
↓
取り込む
↓
しまう
という流れを確認してみましょう。
この中で、
- 階段を何回使うか
- どれだけ移動しているか
を書き出してみると、改善点が見つかりやすくなります。
洗濯動線が短くなるだけでも、日々の負担は大きく変わります。
50代からは「歩く距離」も考えたい
若い頃は何ともなかった移動も、将来は負担になることがあります。
例えば、
- 階段の上り下り
- 洗濯物の持ち運び
- 夜中のトイレへの移動
- 日用品の補充
などです。
そのため、
- よく使う物を近くに置く
- 収納場所を見直す
- 生活の中心をまとめる
といった工夫も有効です。
今だけでなく、10年後の暮らしも考えながら動線を確認してみましょう。
動線改善は間取り変更だけではない
動線の問題が見つかると、
「間取りを変えなければ」
と思う方もいます。
しかし、
- 収納場所の変更
- 家具配置の見直し
- 日用品の保管場所の変更
だけで改善する場合も少なくありません。
まずは今の住まいでできる工夫から始めることが大切です。
その上で、本当に必要ならリフォームを検討すると無駄な工事を減らしやすくなります。
本当に必要なリフォームが見えてくる
一日の行動を書き出してみると、
- 洗濯が大変
- 階段移動が多い
- 収納が使いにくい
- キッチンの往復が多い
など、本当の問題点が見えてきます。
すると、
「お風呂を新しくしたいと思っていたけれど、本当に困っていたのは洗濯動線だった」
ということもあります。
暮らしを見える化することで、本当に必要なリフォームが分かりやすくなるのです。
まとめ
家事動線や生活動線を改善したいなら、まずは朝起きてから寝るまでの行動を書き出してみましょう。
使いやすい家は、間取り図だけでは判断できません。
大切なのは、
- 家事動線
- 生活動線
- 移動回数
- 階段の利用回数
- 物を運ぶ距離
を確認することです。
また、動線の問題は必ずしも間取り変更で解決するとは限りません。
収納の見直しや家具配置の工夫で改善できる場合もあります。
50代・60代からのリフォームでは、「どんな間取りにするか」よりも、「どんな暮らし方をしているか」に目を向けることが大切です。
まずは一日の行動を書き出し、本当に不便な場所を見つけることから始めてみましょう。
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