執筆:二級建築士 安藤勉
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「フローリングは張り替えと重ね張り、どっちがオススメ?」
「業者から重ね張りを勧められたけれど、本当に大丈夫?」
「費用は抑えたいけれど、できるだけ長持ちする方法を選びたい」
このようなご相談をいただくことがあります。
フローリングのリフォーム方法には、大きく分けて張り替え・重ね張りの2種類があります。
「費用が安いから重ね張り」「新しくするなら張り替え」と簡単に決めてしまうと、工事後に後悔することもあります。
大切なのは、現在の床の状態を確認し、自分の住まいに合った工法を選ぶことです。
この記事では、張り替えと重ね張りの違いや費用、メリット・デメリット、おすすめのケースについて、建築士が分かりやすく解説します。
フローリングのリフォーム方法は2種類
張り替えとは?
張り替えとは、現在のフローリングを撤去し、新しいフローリングに交換する工法です。
古い床材を剥がすため、床下地の状態を確認できます。必要に応じて、
- 下地材の補修
- 断熱材の追加
- 根太(ねだ)の補修
なども行えます。
床の傷みが大きい住宅では、根本的な改善ができる方法です。
重ね張り(上張り)とは?
重ね張りとは、現在のフローリングを撤去せず、その上から新しい床材を施工する方法です。
既存の床を解体しないため、
- 工事期間が短い
- 費用を抑えやすい
- 廃材が少ない
という特徴があります。
最近では、上張り専用の薄型フローリングも増えており、多くの住宅で採用されています。
ただし、床下の状態を確認できないため、下地に問題がある場合には注意が必要です。
張り替えと重ね張りの違いを比較
| 項目 | 張り替え工事 | 重ね張り工事 |
| 費用 | 高め | 抑えやすい |
| 工期 | 2〜4日程度 | 約1日 |
| 床下確認 | できる | 基本的に不可 |
| 下地補修 | 可能 | 基本的に不可 |
| 床鳴り改善 | 対応しやすい | 原因によっては不可 |
| 床の高さ | 変わらない | 数ミリ〜12mm程度高くなる |
費用だけを見ると重ね張りが有利ですが、床の状態によっては張り替えの方が適している場合があります。
張り替えのメリット・デメリット
張り替えのメリット
張り替えには、次のようなメリットがあります。
床下の状態を確認できる
張り替えでは、古いフローリングを撤去するため、床下の状態を確認できます。
見えない部分の傷みを発見できることが大きなメリットです。
床の傷みを根本から改善できる
床が沈む、床鳴りがするなどの問題がある場合でも、下地から補修できます。
表面だけではなく、床全体を改善できる方法です。
長く安心して使いやすい
床下まで確認して施工するため、今後も長く住み続けたい住宅では安心につながります。
張り替えのデメリット
一方で、次のようなデメリットがあります。
- 費用が高くなりやすい
- 工事期間が長くなる
- 解体時の音やホコリが発生する
床を剥がした後に下地補修が必要になると、追加費用が発生する場合があります。
重ね張りのメリット・デメリット
重ね張りのメリット
重ね張りには、次のようなメリットがあります。
工事費を抑えやすい
既存のフローリングを撤去しないため、解体費や廃材処分費を削減できます。
張り替えよりも費用を抑えやすいため、予算を重視する方に向いています。
工期が短い
解体作業が少ないため、工事期間を短くできます。
6帖程度の部屋なら、1日で完了するケースもあります。
家具の移動や生活への影響を少なくしたい方にも適しています。
ホコリや騒音を抑えやすい
床を剥がす工事が少ないため、張り替えと比べて解体時のホコリや騒音を抑えられます。
住みながらリフォームしたい場合にも選ばれる方法です。
重ね張りのデメリット
一方で、注意点もあります。
床下の状態を確認できない
既存の床を残すため、床下の傷みや腐食を確認できません。
見た目がきれいになっても、内部の問題が残っている可能性があります。
床の沈みや床鳴りは改善できない場合がある
床下地に問題がある場合、重ね張りでは根本的な解決になりません。
歩くと沈む、ギシギシ音がするなどの症状がある場合は、張り替えを検討した方が安心です。
床が高くなる
新しいフローリングを上から張るため、床の高さが数ミリ〜12mm程度高くなります。
そのため、
- ドアが開きにくくなる
- クローゼットの扉に当たる
- 部屋との段差ができる
などの調整が必要になる場合があります。
張り替えがおすすめのケース
次のような場合は、重ね張りより張り替えがおすすめです。
床が沈む、フワフワする
歩いたときに床が沈む場合は、フローリングだけではなく、床下地が傷んでいる可能性があります。
この状態で重ね張りをしても、根本的な改善にはなりません。
床を撤去して下地の状態を確認できる張り替えが適しています。
床鳴りがひどい
「ギシギシ」「ミシミシ」という、音が大きい場合は、床材ではなく下地や固定部分に原因があることがあります。
張り替えなら、原因を確認しながら補修できます。
シロアリ被害がある
シロアリによって床下地が傷んでいる場合、重ね張りでは対応できません。
被害部分を補修したうえで、新しいフローリングを施工する必要があります。
水漏れや雨漏りの経験がある
キッチンや洗面所からの水漏れ、雨漏りがあった住宅では、床下が腐食している可能性があります。
見た目だけでは判断できないため、張り替えで内部を確認する方が安心です。
これから長く住み続ける予定がある
今後20年以上住み続ける予定なら、床下まで確認できる張り替えがおすすめです。
一度しっかり補修することで、将来的な修繕リスクを減らせます。
重ね張りがおすすめのケース
一方で、次のような場合は重ね張りが向いています。
表面の傷や色あせを改善したい
床に大きな問題はなく、
- 表面の傷
- 色あせ
- 古いデザイン
などを改善したい場合は、重ね張りで十分きれいになります。
費用を抑えたい
床下に問題がなく、見た目を新しくしたい場合は、重ね張りの方が費用を抑えやすくなります。
限られた予算でリフォームしたい方に向いています。
工期を短くしたい
工事期間を短くしたい場合も、重ね張りがおすすめです。例えば、
- 家具の移動を少なくしたい
- できるだけ普段通り生活したい
- 仮住まいを避けたい
という場合に適しています。
マンションで重ね張りするときの注意点
マンションでも重ね張りができるケースは多くあります。
ただし、戸建て住宅とは異なる注意点があります。
管理規約を確認する
マンションでは、管理規約によって床材の種類や遮音性能が決められている場合があります。
特に下階への音を防ぐため、指定された遮音性能を満たす床材しか使用できないことがあります。
工事前に管理規約を確認し、施工可能な床材を選びましょう。
ドアや収納扉の調整が必要になる場合がある
重ね張りでは、既存の床の上に新しい床材を施工するため、床が高くなります。
その結果、
- 玄関や廊下との段差
- 開き戸
- クローゼット扉
などに影響が出る場合があります。
見積りの段階で、床の高さ調整や建具の調整が必要か確認しておきましょう。
フローリング工事の費用目安
フローリング工事の費用は、床材の種類や下地の状態によって変わります。
一般的な6帖程度の部屋では、次の金額が目安です。
| 工法 | 費用の目安 |
| 重ね張り | 約10〜20万円 |
| 張り替え | 約15〜35万円 |
ただし、
- 床材のグレード
- 下地補修の有無
- 家具移動の費用
- 廃材処分費
などによって変わります。
単純な金額だけで比較せず、工事内容まで確認することが大切です。
フローリング工事の見積りで確認したいポイント
フローリング工事では、金額だけを比較すると失敗することがあります。
同じ「フローリング工事」でも、含まれる内容によって費用は変わります。
既存床の撤去費が含まれているか
張り替えの場合、現在のフローリングを撤去する費用が必要です。
見積書には、
- 既存床撤去費
- 廃材処分費
などが含まれているか確認しましょう。
安く見える見積りでも、必要な項目が後から追加されるケースがあります。
下地補修の内容が明記されているか
床を剥がした後、下地の傷みが見つかることがあります。
例えば、
- 根太の補修
- 床下地材の交換
- 断熱材の追加
などです。
「フローリングを張るだけ」ではなく、床下の状態まで確認している会社を選ぶことが大切です。
使用するフローリング材を確認する
フローリングには、さまざまな種類があります。
例えば、
- 無垢フローリング
- 複合フローリング
- 床暖房対応タイプ
- ペット対応タイプ
- 傷が付きにくいタイプ
などがあります。
価格だけで決めるのではなく、暮らし方に合った床材を選びましょう。
フローリング選びで失敗しないポイント
フローリングは、見た目だけで選ぶと後悔することがあります。
長く使う場所だからこそ、生活スタイルに合った床材を選ぶことが大切です。
見た目だけで選ばない
ショールームやカタログではきれいに見えても、実際に生活すると、
- 汚れが目立つ
- 傷が気になる
- 滑りやすい
と感じることがあります。
特に高齢の方が暮らす住宅では、見た目だけではなく、安全性や掃除のしやすさも確認しましょう。
安さだけで選ばない
費用を抑えることは大切ですが、価格だけで判断すると後悔する場合があります。
例えば、
- 下地補修が含まれていない
- 耐久性の低い床材を選んでいる
- 必要な工事が省かれている
可能性があります。
大切なのは、安い工事ではなく、必要な内容が含まれている工事を選ぶことです。
リフォーム会社選びで確認したいこと
フローリング工事で大切なのは、安い工事を提案する会社ではなく、住宅の状態に合った方法を説明してくれる会社を選ぶことです。
確認したいポイントは次のとおりです。
- 張り替えと重ね張りの違いを説明してくれる
- 床の状態を確認している
- 工事の理由を説明してくれる
- 必要以上の工事をすすめない
- 見積り内容が分かりやすい
- 工事後の保証について説明がある
特に注意したいのは、「重ね張りなら安くできます」という理由だけで工法を決めることです。
床の状態によっては、後から追加補修が必要になる場合があります。
なぜその工事が必要なのかを説明できる会社を選びましょう。
リフォームの依頼先で失敗を防ぐためには、会社選びも大切です。
リフォーム会社を選ぶときは、建設業許可・自社施工・見積り・保証の【4つの基準】の4つが特に重要だと考えています。
会社選びについて順番に知りたい方は、こちらをご覧ください。
よくある質問
Q. 重ね張りすると床は弱くなりませんか?
いいえ。
下地に問題がなければ、重ね張りでも十分な強度があります。
ただし、床下が傷んでいる住宅では、張り替えの方が安心です。
Q. 重ね張りで床鳴りは直りますか?
床鳴りの原因によります。
表面のフローリングが原因の場合は改善することもあります。
しかし、下地や床を支える部分に問題がある場合、重ね張りでは改善できないことがあります。
床鳴りがひどい場合は、原因を確認することが大切です。
Q. 張り替えと重ね張りでは、どちらが長持ちしますか?
床下まで確認・補修できる張り替えの方が、長期的な安心につながります。
ただし、床下に問題がなく、適切に施工された重ね張りであれば、十分長く使用できます。
大切なのは、工法よりも住宅の状態に合った方法を選ぶことです。
まとめ|フローリングは床の状態に合わせて選ぶことが大切
フローリングのリフォームでは、張り替えと重ね張りのどちらが正解というわけではありません。
大切なのは、現在の床の状態や、これからの暮らし方に合った方法を選ぶことです。
重ね張りは、
- 表面の傷や色あせを改善したい
- 費用を抑えたい
- 工期を短くしたい
- 床下に問題がない
という場合に向いています。一方、張り替えは、
- 床が沈む
- 床鳴りがひどい
- 水漏れやシロアリ被害がある
- 床下まで確認したい
という場合におすすめです。
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