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執筆:二級建築士 安藤勉
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子どもが独立すると、家の中に使わない部屋が増えてきます。
「以前はちょうどよかった家なのに、今は広すぎる」
「2階はほとんど使わなくなった」
「掃除する場所が多くて大変」
そんな悩みを感じる方もいるのではないでしょうか。
夫婦2人暮らしになったからといって、必ずしも家を小さくする「減築」が必要なわけではありません。
使う場所を絞り、今の暮らしに合わせて家の使い方を変えるだけでも、住まいは暮らしやすくなります。
今回は、減築せずに夫婦2人の生活に合わせて家を見直す方法を紹介します。
夫婦2人になると家が広すぎると感じる理由
子どもと暮らしていた頃は、子ども部屋や大きな収納、複数の居室が必要でした。
しかし、子どもが独立すると、それらの部屋を使う機会が減ります。
例えば、
- 子ども部屋が空いている
- 2階をほとんど使わない
- 部屋の掃除が負担
- 使わない家具が残っている
- 冷暖房する部屋が増える
といった問題が出てきます。
家そのものが大きすぎるというより、今の家族構成と住まいの使い方が合わなくなっているのかもしれません。
減築しなくても暮らしやすくできる
家が広すぎると感じたとき、最初に減築を考える必要はありません。
減築とは、建物の一部を取り除いて床面積を小さくする工事です。
使わない部分をなくせる一方で、大がかりな工事になることがあります。
そのため、まずは、
「今後、夫婦2人でどの部屋を使うのか」
を考えてみましょう。
例えば、
1階のLDK・寝室・水まわりを生活の中心にして、2階は必要なときだけ使う。
これだけでも、実質的にコンパクトな暮らしができます。
① 生活する部屋を1階にまとめる
夫婦2人になって2階を使わなくなった場合、1階中心の生活にする方法があります。
1階に、
- リビング
- ダイニング
- キッチン
- 寝室
- トイレ
- 浴室
- 洗面所
がそろっていれば、日常生活の多くを1階で完結できます。
特に50代、60代では、将来的な階段の上り下りも考えておきたいところです。
今は問題なくても、年齢を重ねることで階段が負担になる可能性があります。
将来、1階だけでも生活できるかを確認しておくと安心です。
② 使わない部屋の用途を変える
空いた子ども部屋などは、そのまま使わない部屋にしておく必要はありません。
例えば、
- 趣味の部屋
- 書斎
- 収納部屋
- 来客用の部屋
- 洗濯物をたたむ部屋
などに変更できます。
ただし、何となく物を置く部屋にしてしまうと、いずれ物置になってしまいます。
「何をする部屋にするのか」を決めてから、必要な家具や収納を考えましょう。
③ 収納を1階にまとめる
2階に収納している物の中に、普段使う物が多いなら、1階への移動を検討しましょう。
例えば、衣類や日用品などを1階にまとめれば、階段を上り下りする回数を減らせます。
押し入れをクローゼットに変更したり、収納棚を設置したりする方法もあります。
ただし、収納を増やす前に不要な物を整理することも大切です。
「収納を増やす前に、物を減らす」
という順番で考えると、必要以上のリフォームを避けられます。
④ 間取りを見直して使う場所を広くする
使わない部屋が隣接しているなら、間取りを変更する方法もあります。
例えば、ほとんど使っていない和室とリビングをつなげて、LDKを広くする方法です。
夫婦2人で過ごす場所を広くすれば、使わない部屋を減らしながら、普段の生活を快適にできます。
ただし、壁を撤去する場合は注意が必要です。
壁の中には、住宅を支える重要な壁がある場合があります。
間取りを変更できるか、構造への影響がないかを専門家に確認してから工事を進めましょう。
⑤ 使う部屋の断熱性を高める
家全体を使わなくなった場合、普段過ごす部屋を快適にすることも重要です。
例えば、冬に寒いリビングや寝室なら、
- 内窓を設置する
- 窓を断熱性の高いものにする
- 床や壁の断熱を見直す
などの方法があります。
家全体をリフォームするのではなく、普段使う部屋を優先して快適にするという考え方です。
2階は無理に使わなくてもいい
「せっかく部屋があるのだから使わなければ」と考える必要はありません。
夫婦2人の生活で必要なければ、2階を普段使わないという選択もできます。
例えば、
1階=普段の生活
2階=子どもの帰省・来客・収納
と役割を分ける方法です。
建物を小さくしなくても、生活する範囲を小さくすることで、掃除や移動の負担を減らせます。
減築したほうがいいケースもある
一方で、減築が選択肢になる場合もあります。
例えば、
- 建物の維持管理が大きな負担になっている
- 使わない部分がかなり多い
- 老朽化した部分を取り除きたい
- 今後使う予定がない部屋が多い
といったケースです。
ただし、減築すると外壁や屋根などの工事が必要になる場合もあります。
費用や工事内容を確認せず、「使わないから取り壊す」と決めるのはおすすめできません。
まずは減築しない方法と比較して検討することが大切です。
50代・60代なら「10年後」を考える
夫婦2人になった直後は、まだ家の中を自由に動けるかもしれません。
しかし、10年後、20年後も同じ生活ができるとは限りません。
だからこそ、
「今、どの部屋を使っているか」
だけでなく、
「将来、どの部屋を使いたいか」
まで考えておきましょう。
例えば、
「今は2階の寝室でも問題ない」
「でも将来は1階で寝たい」
という場合、今のうちに1階に寝室をつくれるか確認しておく方法があります。
リフォームも一度にすべて行う必要はありません。
必要になった部分から少しずつ見直すこともできます。
「家を小さくする」より「暮らしを小さくする」
夫婦2人暮らしになって家が広すぎると感じても、すぐに減築する必要はありません。
まずは、
「どこで生活するのか」
「何を残すのか」
「どこに物を収納するのか」
を整理してみましょう。
1階に生活を集めたり、使わない部屋の用途を変えたりするだけでも、家をコンパクトに使うことができます。
それでも家の維持管理が負担になるのであれば、その段階で減築などを検討しても遅くありません。
まとめ
夫婦2人暮らしになって家が広すぎると感じても、必ずしも減築する必要はありません。
まずは、
- 生活を1階にまとめる
- 空いた部屋の用途を変える
- 収納を見直す
- 間取りを変更する
- 使う部屋の断熱性を高める
といった方法を検討してみましょう。
特に大切なのは、家全体を使おうとしないことです。
夫婦2人に必要な場所をまとめれば、建物の大きさを変えなくても、暮らしはコンパクトにできます。
そして、50代・60代のうちに「10年後、20年後もこの家で暮らせるか」を考えておくことも大切です。
減築するかどうかは、その後に考えても構いません。
「家を小さくする」のではなく、「これからの暮らしに合わせて家の使い方を小さくする」。
まずは、そんな視点から住まいを見直してみてはいかがでしょうか。
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