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執筆:二級建築士 安藤勉
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夫婦2人で暮らしていると、
「夫は早く寝るけれど、妻はまだテレビを見ている」
「妻が寝ている時間に、夫が起きて活動する」
など、生活時間の違いが気になることがあります。
特に、長年仕事をしていたときは気にならなかった生活音も、家にいる時間が増えると気になりやすくなります。
テレビの音や話し声だけでなく、洗濯機や掃除機、ドアの開閉音などもあります。
こうした問題は、夫婦がお互いに我慢するだけでは解決しにくいものです。
そこで考えたいのが、音が気になりにくい部屋の配置や間取りです。
生活時間が違うと「音」が気になりやすい
夫婦それぞれの生活時間が同じなら、音の問題はそれほど気にならないかもしれません。
しかし、起きる時間や寝る時間が違うと、一方にとって普通の生活音が、もう一方には気になる音になります。
例えば、
- テレビの音
- 洗濯機の音
- 掃除機の音
- ドアを開け閉めする音
- キッチンでの調理音
- トイレや浴室の使用音
- 話し声
などです。
音を完全になくすことは難しいため、音が出る場所と静かに過ごしたい場所を離すことがポイントになります。
まずは「誰が・いつ・どこで音を出すか」を考える
いきなり壁や床の防音工事を考える必要はありません。
まず、夫婦それぞれの生活時間を書き出してみましょう。
例えば、
夫:22時に就寝
妻:23時までテレビを見る
夫:6時に起床
妻:7時まで寝ている
という場合です。
この時間帯に、テレビや洗濯、キッチンなどの音がどこから聞こえてくるのか確認します。
「どの音が気になるのか」が分かれば、対策も考えやすくなります。
① 寝室とリビングを離す
最初に確認したいのが、寝室とリビングの位置です。
リビングでテレビを見る時間と、寝室で寝る時間が重なるなら、音が伝わりにくい配置にできないか考えてみましょう。
例えば、寝室とリビングが隣り合っている場合、テレビの音が寝室まで聞こえやすくなります。
可能であれば、間に廊下や収納などを挟むことで、音が直接伝わりにくくなる場合があります。
ただし、部屋の配置を変えるだけで音が完全になくなるわけではありません。
まずは、音の発生場所と静かにしたい場所を離すことを意識しましょう。
② 寝室の隣に水回りを置かない
意外と気になるのが、水回りからの音です。
トイレ、洗面所、浴室、洗濯機などは、使用すると音が発生します。
寝室のすぐ隣に水回りがある場合、夜中や早朝に音が気になることがあります。
特に、
「夫が寝ている間に妻が洗濯する」
「妻が寝ている間に夫がトイレを使う」
といった生活では、音の問題が起こりやすくなります。
間取りを変更する場合は、寝室と水回りの位置関係も確認しましょう。
③ 使っていない部屋を夫婦それぞれの空間にする
子どもが独立して使っていない部屋があるなら、その部屋を活用する方法もあります。
例えば、
- 夫の趣味部屋
- 妻の趣味部屋
- それぞれの仕事・作業スペース
- 個別の寝室
などです。
同じ部屋で過ごす時間を減らすことが目的ではありません。
生活時間が違う時間帯だけ、それぞれが気兼ねなく過ごせる場所をつくるという考え方です。
大規模な間取り変更をしなくても、既存の部屋を活用できる場合があります。
④ テレビを見る場所を見直す
夫婦の生活時間が違う場合、テレビが音の問題の原因になることがあります。
例えば、夫が寝室で寝ている時間に、妻がリビングでテレビを見るケースです。
この場合、
- テレビの位置を変える
- 寝室とテレビの距離を離す
- テレビを見る部屋を変える
- ヘッドホンを利用する
など、リフォーム以外の方法もあります。
音の問題だからといって、すぐに防音工事をする必要はありません。
簡単な方法で改善できるか確認してから、リフォームを検討するのがおすすめです。
⑤ 壁・床・天井の防音を考える
部屋の配置を変えても音が気になる場合は、建物側の対策を検討します。
例えば、壁や床などに防音対策を行う方法があります。
ただし、音の種類によって効果的な対策は異なります。
テレビや話し声のような空気を伝わる音と、足音や物を落とした音などの振動を伴う音では、必要な対策が異なります。
そのため、
「防音材を入れれば大丈夫」
と簡単に考えず、どこからどんな音が伝わっているのかを確認することが大切です。
引き戸なら必ず静かになるわけではない
室内ドアを引き戸に変更するリフォームもあります。
引き戸は、開閉時に扉を大きく動かす必要がないため、生活動線を改善できる場合があります。
一方で、引き戸に変えれば音が聞こえなくなるわけではありません。
防音を目的とする場合は、扉だけでなく壁や隙間なども含めて考える必要があります。
「開けやすさ」と「防音」は別の問題として考えましょう。
生活音を「なくす」のではなく「気になりにくくする」
住宅の中で生活する以上、音を完全になくすことは難しいものです。
そのため、
音を出す場所と、静かにしたい場所を分ける
という考え方が大切です。
例えば、
リビング
↓
廊下・収納
↓
寝室
というように、間に別の空間を設けるだけでも、音の伝わり方を変えられる場合があります。
間取り変更をするときは、部屋の広さだけでなく、音の動線も考えてみましょう。
「夫婦それぞれの時間」も大切にする
夫婦で暮らしているからといって、すべての時間を同じ場所で過ごす必要はありません。
一緒にテレビを見る時間もあれば、それぞれが別のことをする時間もあります。
特に退職後は、夫婦が家にいる時間が増えます。
そのため、
「一人で静かに過ごせる場所」
「趣味を楽しめる場所」
を用意しておくと、お互いに気兼ねなく過ごしやすくなります。
これは、夫婦の寝室を完全に分けるという話だけではありません。
同じ家の中に、少し距離を取って過ごせる場所をつくるという考え方です。
リフォーム前に実際の音を確認する
間取りを変更する前に、現在の家でどんな音が気になるのか確認してみましょう。
例えば、
「寝室でテレビの音が聞こえる」
「朝、洗濯機の音で目が覚める」
「トイレの使用音が気になる」
などです。
時間帯も一緒に記録しておくと、問題が分かりやすくなります。
そのうえで、部屋の位置を変えるのか、防音対策をするのか、それとも生活時間を少し調整するのかを考えます。
今ある部屋を活用する方法もある
音の問題を解決するために、必ずしも大規模なリフォームが必要とは限りません。
子どもが独立して空いている部屋があるなら、夫婦それぞれの趣味やくつろぎの場所として使う方法があります。
和室など、現在あまり使っていない部屋を活用することもできます。
新しい部屋をつくる前に、今ある空間をどう使い直せるかを考えてみましょう。
こんな家は間取りを見直してみる
次のような状況なら、間取りの見直しを検討してみてもよいでしょう。
- 寝室とリビングが隣り合っている
- 寝室の近くに洗濯機がある
- 寝室の隣がトイレになっている
- 夫婦の起床・就寝時間が大きく違う
- 子ども部屋など使っていない部屋がある
- 退職後、家で過ごす時間が増えた
すべてをリフォームする必要はありません。
まずは、音が気になる場所と時間帯を整理してみましょう。
まとめ
夫婦の生活時間が違うと、テレビや洗濯機、話し声などの生活音が気になることがあります。
特に退職後は家で過ごす時間が増えるため、これまで気にならなかった音に気づくこともあります。
対策を考えるときは、まず、
「誰が・いつ・どこで音を出しているのか」
を確認しましょう。
そのうえで、
- 寝室とリビングを離す
- 寝室と水回りを離す
- 使っていない部屋を活用する
- テレビを見る場所を見直す
- 必要に応じて壁や床などの防音を考える
といった方法を検討します。
大切なのは、生活音を完全になくすことではありません。
夫婦それぞれが、相手の生活時間を気にしすぎずに過ごせる住まいにすることです。
今の間取りで音が気になる場所があれば、まずは原因を確認してみましょう。
リフォームをする場合も、音だけでなく、寝室や水回り、趣味の場所などとの位置関係を含めて考えることをおすすめします。
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