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執筆:二級建築士 安藤勉
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窓の交換や大きさの変更、換気扇フード・配管の移設などをすると、外壁の一部をふさいだり、塗り直したりする工事が必要になることがあります。
このとき知っておきたいのが、部分的に補修した外壁は、既存部分とまったく同じ見た目にならないことがあるという点です。
工事前に「多少、補修跡が残ります」と説明を受けていても、実際に完成した外壁を見て、
「思っていたより境目が分かる」
「なぜ同じ色や模様にならないの?」
「きれいに直っていないのでは?」
と感じる方もいます。
しかし、補修跡が見えるからといって、必ずしも施工不良とは限りません。外壁の部分補修では、工事店が丁寧に施工しても完全には解消できない見た目の違いがあるためです。
この記事では、外壁の部分補修で段差や色・模様の違いが出る理由と、補修範囲の決め方、工事前に確認したいことをわかりやすく解説します。
外壁の部分補修が必要になるのはどんなとき?
外壁の部分補修は、外壁そのものが傷んだ場合だけでなく、次のようなリフォームに伴って必要になることがあります。
- 窓を交換する、大きさや位置を変える
- 使用しなくなった窓をふさぐ
- 換気扇や換気フードの位置を変える
- エアコンや給湯器の配管穴をふさぐ
- 玄関ドアや勝手口を交換する
- 外壁に取り付けていた設備を撤去する
こうした工事では、不要になった開口部を下地からふさぎ、防水処理をしたうえで、周囲に合わせて外壁材や塗装を仕上げます。
雨水が入らないように直すことはもちろん大切ですが、見た目をどこまで既存の外壁に近づけられるかも、工事前に確認しておきたいポイントです。
窓の交換では、窓本体の価格だけでなく、外壁や室内側をどこまで補修するかによっても、見積金額が変わります。
→ 窓リフォームで見積り比較が難しい理由を見る
外壁の部分補修では跡が残ることがある
外壁を部分的に補修すると、次のような違いが見えることがあります。
- 既存部分と補修部分の境目
- 表面のわずかな段差
- 凹凸や模様の違い
- 色や艶の違い
- 光の当たり方による見え方の違い
丁寧に施工しても、これらを完全になくすことが難しい場合があります。

同じ外壁材が手に入らないことがある
窯業系サイディングなどの外壁材は、年月がたつと同じ商品や同じ柄が廃番になっていることがあります。
似た外壁材を使って補修できても、柄の大きさや溝の深さ、表面の凹凸まで完全に合わせられるとは限りません。
そのため、色が近くても、見る角度や光の当たり方によって補修部分が分かることがあります。
既存の外壁は日焼けや汚れで色が変わっている
同じ色番号の塗料を使っても、新しく塗った部分と年月がたった外壁では、色や艶が同じに見えないことがあります。
既存の外壁は、紫外線や雨風の影響を受けて少しずつ色あせています。汚れの付き方も場所によって異なるため、現状の色に合わせて調色しても、完全に同じ見え方にするのは難しい場合があります。
また、塗った直後は近い色に見えても、その後の色の変化が既存部分と同じように進むとは限りません。
補修部分と既存部分の境に段差ができる
補修部分では、新しい下地材や外壁材、塗料などを使います。そのため、既存部分との境にわずかな厚みの違いが生じることがあります。
外壁に模様を付けて仕上げる場合も、もともとの模様を完全に再現するのは簡単ではありません。
近くではそれほど気にならなくても、少し離れた場所から見たり、外壁に横から光が当たったりすると、段差や模様の違いが分かることがあります。
補修跡があれば施工不良なの?
補修跡が見えるだけで、直ちに施工不良とはいえません。
部分補修は、工事する範囲を限定して費用を抑える方法です。そのため、既存部分との段差や色、模様の違いが多少残ることがあります。
ただし、「部分補修だから、どのような仕上がりでも仕方がない」ということでもありません。
次のような場合は、施工した工事店に確認したほうがよいでしょう。
- 補修箇所に大きなすき間やひび割れがある
- 外壁材が浮いている、ぐらついている
- シーリングが切れている、処理されていない箇所がある
- 雨水の浸入が疑われる
- 事前に聞いていた補修範囲や仕上げ方法と異なる
- 遠くから見ても、極端な段差や不自然な仕上がりが目立つ
見た目の違いが部分補修では避けにくいものなのか、施工方法に問題があるのかは、外壁の種類や工事内容、契約前の説明によって判断が変わります。
気になる場合は、どのような方法で補修したのか、なぜ違いが生じているのかを、まず工事店に説明してもらいましょう。
補修跡の「許容範囲」は人によって異なる
補修跡がどの程度なら問題がないかについて、一律の基準があるわけではありません。
同じ仕上がりを見ても、「ほとんど気にならない」と感じる方もいれば、「毎日目に入るので気になる」と感じる方もいます。
また、次のような条件によっても見え方や感じ方が変わります。
- 道路や玄関からよく見える場所か
- 普段ほとんど目に入らない裏側か
- 近くから見る場所か、離れて見る場所か
- 日光や照明が横から当たる場所か
- 工事前に仕上がりについて、どのような説明を受けていたか
そのため、「部分補修なら、この程度は問題ない」と一律に判断するのではなく、補修する場所や見え方、事前の説明内容を含めて考える必要があります。
補修部分だけ塗装する?正面・裏面など壁一面を塗装する?
外壁の一部を補修した後の塗装には、大きく分けて次の2つの方法があります。
- 補修した部分を中心に塗装する
- 補修した部分を含む、正面や裏面など一方向の壁全体を塗装する
ここでいう「壁一面」とは、建物全体の外壁ではなく、正面・裏面・右側面・左側面など、建物の角から角までの一方向の壁全体を指します。
どちらを選んでも、傷んだ部分や開口部を直すための下地補修は必要です。違うのは、主にその後に塗装する範囲です。
※表にしてください
| 塗装する範囲 | メリット | 注意点 |
| 補修部分を中心に塗装 | 工事範囲が小さく、費用を抑えやすい | 境目や段差に加え、色・艶・模様の違いが残ることがある |
| 補修部分を含む壁一面を塗装 | 同じ壁の中では色や艶をそろえやすい | 段差や模様、凹凸の違いは残ることがある。隣の壁面との色差が出る場合もある |
補修部分を含む壁一面を塗装すれば、同じ壁の中では色や艶をそろえやすくなります。
ただし、下地の段差や外壁の模様、表面の凹凸まで同じになるわけではありません。同じ色で壁一面を塗装しても、光の当たり方や見る角度によって、補修部分の境目が分かることがあります。
また、正面や裏面など一方向の壁だけを塗り直すと、建物の角を境に、塗り直していない隣の壁面との色や艶の違いが見えることもあります。
工事前には、次の2点を分けて確認しましょう。
- 壁一面を塗装すれば、色や艶はどの程度そろうのか
- 段差や模様など、塗装しても残る違いは何か
道路面と裏側では補修方法を変えてもよい
同じ程度の補修跡でも、道路や玄関からよく見える正面と、普段ほとんど目に入らない建物の裏側では、受け止め方が変わります。
例えば、次のような選び方があります。
- 道路や玄関から目につく面は、壁一面の塗装も含めて検討する
- 建物の裏側や隣家との間など、見えにくい場所は部分塗装にする
- 補修箇所が小さければ、部分塗装で費用を抑える
- 数年以内に外壁塗装を予定しているなら、今回は部分補修にする
- 見た目を重視する場所は、部分塗装と壁一面の塗装の両方で見積りを取る
すべての壁を同じ方法で直す必要はありません。補修する場所の見え方と予算のバランスを考えて選びましょう。
「多少跡が残ります」だけでは完成後を想像しにくい
工事店から「部分補修なので、多少跡が残る可能性があります」と説明されても、実際にどの程度なのかを言葉だけで想像するのは難しいものです。
私たちは20年以上にわたり、全国のリフォーム会社を調査し、お客様から工事後のご意見も伺ってきました。
その中には、工事店から説明を受けていたものの、完成後に「ここまで跡が分かるとは思わなかった」と感じるケースもあります。
これは、工事店がまったく説明していなかったという問題だけではありません。「多少の段差」「色や模様が完全には合わない」と言われても、実物を見た経験がなければ、完成後の状態を具体的に想像するのは難しいためです。
だからこそ、工事前に「跡が残る可能性があります」と聞くだけでなく、どこに、どのような違いが出る可能性があるのかまで確認することが重要です。
工事前に確認したい7つのこと
窓や換気扇などの工事に伴って外壁を補修する場合は、契約前に次の点を確認しましょう。
- 外壁のどこからどこまで補修するのか
- 境目や段差はどの程度残りそうか
- 既存の外壁と同じ材料や模様を用意できるか
- 色や艶はどの程度合わせられるか
- 過去に行った似た補修の写真を見せてもらえるか
- 部分塗装と壁一面の塗装では費用がどのくらい違うか
- 壁一面を塗装しても残る違いはあるか
可能であれば、補修する範囲や仕上げ方法を、見積書や打ち合わせ記録にも残してもらいましょう。
特に有効なのが、似た工事の施工写真を見せてもらうことです。建物ごとに条件は異なりますが、言葉だけで説明を受けるよりも、完成後の見え方を具体的に想像しやすくなります。
外壁の部分補修では、できることだけでなく、仕上がりの限界まで事前に説明してくれる会社を選ぶことが大切です。
見積りや保証など、信頼できるリフォーム会社を見極めるポイントをまとめています。
見た目だけでなく、防水処理も確認する
外壁補修では、色や段差などの見た目に目が向きがちですが、より重要なのは、雨水が入らないように適切に処理されていることです。
窓や換気扇フード、配管のまわりは、外壁に開口部を設ける場所です。補修方法が適切でなければ、すぐには分からなくても、後から雨漏りや下地の傷みにつながる可能性があります。
工事前には、見た目の仕上げだけでなく、下地や防水をどのように直すのかも説明してもらいましょう。
よくある質問
外壁の部分補修は必ず跡が残りますか?
必ず残るとは限りませんが、既存外壁の色あせや材料の廃番、模様や塗膜の厚みの違いなどにより、境目や色の違いが見えることがあります。
同じ色の塗料を使えば、色は合いますか?
同じ色番号でも、既存の外壁は紫外線や雨風で色が変化しています。そのため、新しく塗った部分と同じ色や艶に見えないことがあります。
補修部分を含む壁一面を塗れば、補修跡は分からなくなりますか?
壁一面を塗装すれば、補修部分と既存部分の色や艶はそろえやすくなります。ただし、段差や模様、表面の凹凸までは消えないため、補修した位置が分かることがあります。
工事後に補修跡が気になったらどうすればよいですか?
まず、施工した工事店に、採用した補修方法と仕上がりについて説明してもらいましょう。
事前に聞いていた内容と異なる場合や、ひび割れ、すき間、浮き、雨水の浸入などが疑われる場合は、その点も伝えて確認を依頼してください。
まとめ|仕上がりを確認してから補修範囲を選ぶ
外壁の部分補修では、既存部分との境目や段差、色、模様の違いが残ることがあります。丁寧に施工しても、古い外壁と新しい材料を完全に同じ状態にするのが難しいためです。
補修部分を含む壁一面を塗り直せば、同じ壁の中では色や艶をそろえやすくなります。ただし、補修部分と既存部分の段差や模様、凹凸の違いまで消えるとは限りません。
一方で、部分補修だからといって、どのような仕上がりでも問題がないわけではありません。工事前に補修範囲や施工方法、完成後に予想される見え方を確認することが大切です。
よく目につく正面は壁一面の塗装も検討し、見えにくい裏側は部分塗装にするなど、場所によって方法を変えることもできます。
「できるだけ跡を目立たなくしたい」のか、「多少の違いは受け入れて費用を抑えたい」のか。希望を工事店に伝え、見た目と費用の両方を比較して選びましょう。
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