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執筆:二級建築士 安藤 勉
リフォームを考え始めた時、
「キッチンの交換なら100万円くらいです。」
「外壁塗装なら120万円前後になります。」
といった、おおよその工事金額(概算見積り)を案内されることがあります。 しかし、
「この金額は信用していいの?」
「正式見積りとは何が違うの?」
と疑問に思う方も少なくありません。
私たちは20年以上にわたり、全国のリフォーム会社の調査や、お客様からのご相談をお受けしてきました。その中でも、
「概算見積りより高くなったのですが大丈夫でしょうか?」
「最初に聞いた金額と違うのはおかしくありませんか?」
というご相談をいただくことがあります。
このような疑問を持つのは自然なことです。
実は、概算見積りは「おおよその予算」を知るためのものであり、正式な工事金額を確定するものではありません。
なお、概算見積りは、会社によって現地調査前にお伝えする場合と、現地調査直後にお伝えする場合があります。この記事では、どちらの場合にも共通する概算見積りの考え方や注意点について解説します。
今回は、概算見積りで分かることと分からないこと、正式見積りとの違いについて、建築士の視点から分かりやすく解説します。
概算見積りとは?
概算見積りとは、現地調査を行う前や、現地調査直後に、おおよその工事費の目安を知っていただくためにお伝えする見積りです。
例えば、
- リフォームする場所
- 建物の築年数
- 工事するおおよその広さ
- 希望する工事内容
などの情報をもとに、過去の施工実績や一般的な工事費から概算金額を算出します。そのため、
- 希望どおりの工事ができるか
- 追加工事が必要になるか
までは判断できません。
つまり、概算見積りは予算の目安を知るための見積りであり、正式な工事金額ではないということです。
概算見積りで分かること
概算見積りは、正確な工事金額を知るためのものではありません。
しかし、予算と希望する工事内容に大きな差がないかを確認することができます。例えば、
100万円くらいでリフォームしたいと思っていても、希望する工事内容では300万円程度かかる場合もあります。
このような場合は、工事内容を見直したり、優先順位を決めたり、予算を再検討したりする必要があります。
逆に、予算内で実現できそうであれば、安心して正式な見積りへ進むことができます。
このように、概算見積りは「できる・できない」を判断するためではなく、お客様と会社がおおよその予算感を共有するためのものです。
お互いの認識に大きなずれがあるまま現地調査や見積り作成を進めると、双方にとって時間や手間が無駄になってしまうこともあります。
そのため、概算見積りで予算の方向性を確認してから正式な見積りへ進むことは、お客様にとっても会社にとっても大切なステップといえます。
概算見積りで分からないこと
概算見積りは、おおよその予算を把握するには役立ちますが、実際の工事金額を確定することはできません。
なぜなら、現地調査を行い、工事する範囲や必要な材料の数量、工事方法などを確認・検討したうえで、初めて正確な工事費を算出できるからです。例えば、
- 壁や床、天井の下地の状態
- 配管や配線の状況
- シロアリや雨漏りなどの劣化
- 建物の傾きや傷み
- 追加工事が必要かどうか
などは、正式な見積りを作成する過程で初めて分かることもあります。
そのため、概算見積りより工事費が高くなったり、逆に安くなったりすることもあります。
これは概算見積りが間違っていたということではなく、現地調査や見積り作成を進める中で、より正確な工事内容が分かったためです。
例えば、キッチン交換だけを予定していても、配管の老朽化が見つかれば配管工事が必要になることがあります。
また、浴室リフォームでは、解体後に土台や柱の傷みが見つかり、補修工事が必要になるケースもあります。
このように、正式見積りは現地調査や建物の確認結果を反映した内容になるため、概算見積りと金額が変わることは珍しくありません。
そのため、概算見積りと正式見積りの金額だけを比べて「高くなった」「安くなった」と判断するのではなく、その理由を確認することが大切です。
概算見積りだけで会社を決めてはいけない理由
概算見積りは、おおよその予算を知るためには役立ちます。
しかし、概算見積りだけで会社を決めることはおすすめできません。
概算見積りは「予算を考えるための見積り」、正式見積りは「会社を選ぶための見積り」と考えると分かりやすいでしょう。
なぜなら、この段階では工事内容や使用する商品、工事範囲などがまだ確定していないためです。
例えば、同じキッチンリフォームでも、
- どの商品を採用するのか
- どこまで解体・撤去を行うのか
- 配管や電気工事が必要なのか
によって、正式な工事費は変わります。
また、会社によって提案内容や工事に対する考え方も異なります。
今必要な工事だけを提案する会社もあれば、将来の暮らしやすさまで考えて提案する会社もあります。
そのため、概算見積りの金額だけでは、自分に合った会社かどうかを判断することはできません。
会社を選ぶ時は、現地調査後の正式見積りで、工事内容や金額を比較することが大切です。
正式見積りへ進む前に、良い見積りを引き出す依頼の仕方や、相見積りで会社を見極めるポイントも確認しておきましょう。
正式見積りでは何を比較すればいい?
正式見積りがそろったら、価格だけではなく、次のような点を確認しましょう。
- 使用する商品や設備は同じ条件になっているか
- 工事内容は同じ条件になっているか
見積書は、価格を比較するためだけの資料ではありません。
その会社が、どのような考え方で工事を行うのかを知るための資料でもあります。
また、相見積りは、一番安い会社を探すためだけに行うものではありません。
本当の目的は、
- 工事内容の違いを知ること
- 適正な価格を知ること
- 誠実な会社を見極めること
この3つです。
見積りを比較する時のポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
リフォームの依頼先で失敗を防ぐためには、会社選びも大切です。
リフォーム会社を選ぶときは、建設業許可・自社施工・見積り・保証の【4つの基準】の4つが特に重要だと考えています。
会社選びについて順番に知りたい方は、こちらをご覧ください。
まとめ
概算見積りは、正確な工事金額を決めるためのものではありません。
お客様と会社がおおよその予算感を共有し、リフォームの方向性を確認するための見積りです。
そのため、概算見積りと正式見積りの金額が変わること自体は珍しくありません。
大切なのは、金額だけを見るのではなく、なぜその金額になったのかという理由を確認することです。
概算見積りで予算の方向性が決まったら、正式見積りで工事内容や金額を比較しましょう。
概算見積りは予算を考えるため。正式見積りは会社を選ぶため。
この2つの違いを理解しておくことが、リフォームで後悔しない第一歩です。
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