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家の中に「ちょっと座れる場所」は必要?50代から考える腰掛けスペース

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執筆:二級建築士 安藤勉
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50代を過ぎると、家の中で「少しだけ座りたい」と思う場面が増えてきます。

玄関で靴を履くとき。

料理の合間に少し休むとき。

洗濯物をたたむとき。

掃除の途中で一息つくとき。

こうした場面では、わざわざリビングまで移動して椅子に座るほどではありません。

だからこそ、家の中に「ちょっと座れる場所」があると意外と便利です。

これは、介護が必要になってから考えるものではありません。

今は元気に動けていても、50代から少し先の暮らしを考えて、腰掛けられる場所を用意しておくという考え方があります。

この記事では、家のどこに腰掛けスペースがあると便利なのか、リフォームでつくる場合の考え方を紹介します。

「ちょっと座れる場所」はなぜ便利?

家の中には、意外と「立ったまま作業する場所」がたくさんあります。

たとえば玄関です。

靴を履いたり脱いだりするとき、立ったまま片足を上げる姿勢になることがあります。

手すりがなくても問題ない今は気にならなくても、年齢を重ねると少し不安定に感じることがあります。

また、キッチンでも長時間立って作業することがあります。

料理をしながら少し休みたいと思っても、すぐ近くに座る場所がなければ、そのまま立ち続けることになります。

「わざわざ椅子を置くほどではない」

このような場所こそ、短時間だけ腰掛けられるスペースが役立ちます。

腰掛けスペースは「休むため」だけではない

腰掛けというと、「疲れたときに座る場所」と考えがちです。

しかし、用途はそれだけではありません。

たとえば、

  • 靴を履く
  • 荷物を整理する
  • 洗濯物をたたむ
  • 植物の手入れをする
  • 料理の合間に休む
  • 郵便物を整理する
  • 身支度をする

など、座って行ったほうが楽な作業があります。

そのため、腰掛けスペースは「休憩場所」というより、「立って行っていた作業を座ってできる場所」と考えると分かりやすいでしょう。

50代から考えたい「腰掛けスペース」の場所

すべての部屋に椅子を置く必要はありません。

普段の生活を振り返って、座りたいと思う場所を探してみましょう。

玄関

腰掛けスペースをつくる場所として、まず考えたいのが玄関です。

靴を履くときに腰掛けられるだけでも、姿勢が安定しやすくなります。

ベンチタイプの収納なら、座る場所と収納を兼ねることもできます。

ただし、玄関は限られたスペースなので、通行の邪魔にならない大きさにすることが重要です。

「座れること」だけを優先して、通路を狭くしてしまわないよう注意しましょう。

キッチン

キッチンでは、作業の途中で少し腰掛けたいことがあります。

キッチンカウンターの一部にスツールを置けるスペースをつくる方法もあります。

ただし、コンロやシンクの近くに椅子を置く場合は、調理作業の邪魔にならない位置を考える必要があります。

また、座った状態で作業したい場合は、カウンターや作業台の高さも確認しておきましょう。

洗面所

洗面所も、実は座れる場所があると便利なところです。

身支度や洗濯など、細かな作業が多いからです。

収納を兼ねたベンチなどを設ければ、限られたスペースを有効に使えます。

ただし、洗面所は水がかかる可能性があるため、素材や掃除のしやすさも考えておきたい場所です。

廊下

廊下に大きな椅子を置く必要はありません。

壁際に小さなベンチを設けたり、収納と一体になった腰掛けをつくったりする方法があります。

ただし、廊下は家の中でも特に「通るための場所」です。

腰掛けを設置することで通路が狭くなるなら、本来の目的から外れてしまいます。

「椅子を置く」と「腰掛けをつくる」は違う

腰掛けスペースをつくる方法は、リフォームだけではありません。

まずは椅子やスツールを置いて試してみる方法があります。

実際に生活してみて、

「ここに座ることが多い」
「この場所は使わない」

と分かってから、造作家具やベンチなどを検討してもよいでしょう。

最初から造り付けにすると、後から使い方を変えにくくなります。

50代からのリフォームでは、「便利そうだからつくる」のではなく、「本当に使うかを試してからつくる」という順番も大切です。

腰掛けスペースを収納と兼用する

限られた家の中で腰掛け場所をつくるなら、収納と組み合わせる方法があります。

たとえば玄関なら、「下駄箱+ベンチ」「収納+腰掛け」といった形です。

座るためだけの家具を置くよりも、場所を有効に使いやすくなります。

ただし、収納を大きくしすぎると、座る場所が狭くなったり、圧迫感が出たりすることがあります。

「収納を増やすこと」が目的にならないよう注意しましょう。

50代からは「立ってできる」だけで考えない

今は立ったままで問題なくできることでも、10年後、20年後には感じ方が変わるかもしれません。

だからといって、家中をバリアフリー仕様にする必要があるわけではありません。

まずは、毎日の生活の中で、「ここは少し座れたら楽なのに」と思う場所を探してみましょう。

その小さな不便を一つずつ減らしていくことが、これからの住まいを考えるきっかけになります。

腰掛けをつくるときに注意したいこと

便利な腰掛けスペースでも、つくり方によっては使いにくくなることがあります。

通路を狭くしない

最も注意したいのが通路です。

ベンチや椅子を置くことで、人が通りにくくなってはいけません。

特に玄関や廊下では、家具を置いた状態での動線を確認しましょう。

高さだけで決めない

「座れればいい」と考えて、高さだけを適当に決めるのも避けたいところです。

実際に座ったり立ったりしてみて、自分たちにとって使いやすい高さか確認しましょう。

造作する場合は、使う人の身長や用途を伝えて、設計してもらうことが大切です。

立ち上がる場所も考える

腰掛けをつくるときは、「座る場所」だけを見てはいけません。

座ったあと、どこに足を置いて、どちら側に立ち上がるのかまで考えます。

近くに家具や壁があると、立ち上がりにくいことがあります。

「座れる」だけでなく、「座ってから動ける」ことまで確認しましょう。

腰掛けスペースを増やしすぎない

「将来のために」と考えて、家のあちこちに椅子やベンチを置く必要はありません。

家具が増えれば、掃除する場所も増えます。

また、物を置く場所になってしまうこともあります。

腰掛けスペースは、

「実際によく使う場所」
「立ったまま作業することが多い場所」
「座れると便利な場所」

に絞るのがおすすめです。

数を増やすことより、使う場所を見極めることが重要です。

リフォームでは「座る場所」だけを依頼しない

リフォーム会社に、「玄関にベンチをつくってください」とだけ伝えるのではなく、

「靴を履くときに少し座りたい」
「荷物を置ける場所もほしい」
「将来も通りやすい玄関にしたい」

というように、目的を伝えましょう。

目的が分かれば、ベンチ以外の方法を提案してもらえる可能性があります。

たとえば、収納の一部を腰掛けにする方法や、家具を置くだけで対応する方法も考えられます。

良いリフォームは、依頼したものをそのままつくることだけではありません。

「何のために必要なのか」を聞いて、別の方法も含めて考えてくれることが大切です。

50代からの住まいは「少し休める」が意外と大切

家の中で暮らしていると、「座る場所はリビングにあるから十分」と思うかもしれません。

しかし、生活は部屋から部屋へ移動しながら行います。

玄関、キッチン、洗面所、廊下など、それぞれの場所で短時間だけ座りたいことがあります。

そのため、50代からのリフォームでは、「部屋をどう変えるか」だけでなく、「家の中でどう動くか」も考えてみましょう。

腰掛けスペースは大きなリフォームではありません。それでも、毎日の小さな不便を減らすきっかけになります。

まずは家の中を歩きながら、「ここで少し座れたら便利」と思う場所を探してみてください。

そして、椅子を置いて試してみる。

それで本当に必要だと分かった場所だけ、収納や造作家具などを含めてリフォームを検討する。

この順番なら、必要以上に工事を増やさず、これからの暮らしに合った住まいを考えやすくなります。

リフォーム会社を選ぶときも、「ベンチをつくれるか」だけでなく、暮らし方を聞いたうえで必要な工事と不要な工事を整理してくれるかを確認しましょう。

✓ 会社選びで大切なこと

実際にリフォームを進めるときは、どの会社に依頼するかも大切です。

会社選びでまず確認したい4つのポイントをまとめています。

まとめ

50代からの住まいでは、「ちょっと座れる場所」があると便利なことがあります。

ただし、家中に椅子やベンチを増やす必要はありません。

大切なのは、普段の生活の中で「少し座りたい」と感じる場所を見つけることです。

ポイントは次の5つです。

  • 玄関やキッチンなど生活動線から考える
  • まずは椅子を置いて使い勝手を試す
  • 収納と腰掛けを兼用すると場所を有効に使える
  • 座るだけでなく立ち上がる動作も確認する
  • 必要な場所だけをリフォームする

「将来のために大きく変える」のではなく、「今の小さな不便を減らしながら、将来も使いやすくする」これが50代からの住まいを考えるときの一つの方法です。

リフォームを検討するときは、工事内容を先に決めるのではなく、「これから家でどう過ごしたいのか」を整理してから会社に相談しましょう。

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