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執筆:二級建築士 安藤勉
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以前はリビングでテレビを見ることが多かったのに、子どもが独立すると、夫婦それぞれが好きなことをして過ごす時間が増えてきます。
「大きなテレビとソファがあるリビングのでままでいいの?」と感じられるはずです。
結論からいうと、リビングを無理に変える必要はありません。
ただし、これからの暮らしを考えるなら、テレビ以外にもくつろげる場所をつくっておくと、リビングの使い方はもっと自由になります。
この記事では、50代・60代からのリビングの使い方と、リフォームで間取りを見直すときの考え方を紹介します。
テレビ中心のリビングを変える必要はある?
まず考えたいのは、「テレビを見ることが悪いわけではない」ということです。
テレビを見るのが好きなら、これまで通りテレビを中心にしたリビングでも問題ありません。
大切なのは、テレビを見ること以外の過ごし方を選べるかどうかです。
たとえば、
- 本を読みたい
- 夫婦で会話をしたい
- 音楽を聴きたい
- 庭を眺めたい
- 趣味を楽しみたい
- 少し横になって休みたい
このような時間を過ごしたいと思っても、リビングが「テレビを見る場所」である場合、ほかの使い方がしにくいことがあります。
そこで、これからのリビングは「テレビを見る部屋」ではなく、「家の中で一番くつろげる場所」と考えてみるのがおすすめです。
50代・60代でリビングの使い方が変わる理由
子どもが独立すると、家族が集まる時間は以前より少なくなります。
家族4人でテレビを見ることを前提に置いていたソファや家具も、夫婦2人の暮らしでは大きく感じるかもしれません。
また、仕事をしている間は家で過ごす時間が限られています。
定年後などで家にいる時間が長くなると、リビングの使い勝手が以前より気になることもあります。
「テレビを見る」
「食事をする」
「会話をする」
だけでなく、家で過ごす時間そのものが増えるからです。
そのため、50代・60代のリフォームでは、「何畳のリビングにするか」だけでなく、「そこで何をして過ごすのか」を考えることが重要になります。
テレビ以外の「くつろぎ方」を考えてみる
リビングを見直すときは、まず「テレビをなくすかどうか」から考えないようにしましょう。
先に考えたいのは、テレビ以外にどんな時間を過ごしたいかです。
読書をする場所
読書が好きなら、テレビの正面にソファを置く必要はありません。
窓際に一人掛けの椅子を置くだけでも、テレビとは違う落ち着いた場所になります。
自然光が入る場所なら、昼間に読書をする場所としても使いやすくなります。
夫婦で会話する場所
テレビをつけたまま過ごしていると、夫婦の会話が減ってしまうことがあります。
テレビに向かって家具を並べるのではなく、椅子やソファを少し向かい合わせにするだけでも、会話をしやすい空間になります。
大きな間取り変更をしなくても、家具の向きを変えるだけで印象が変わることがあります。
趣味を楽しむ場所
絵を描く、手芸をする、パソコンを使うなど、家で楽しみたい趣味があるなら、そのための小さな場所をリビングにつくる方法もあります。
専用の部屋を新しくつくらなくても、壁際に机を置いたり、収納の一部を作業スペースにしたりできます。
「趣味の部屋を増やす」より、「リビングの一角を趣味に使う」と考えると、間取り変更を小さく抑えられる場合があります。
リビングに「複数の居場所」をつくる
50代・60代のリビングを考えるとき、重要なのが「一つの場所に全員が集まる」間取りからの見直しです。
夫婦2人だからといって、いつも同じ場所で同じことをするとは限りません。
夫はテレビを見る。
妻は本を読む。
片方はパソコンを使う。
もう片方は音楽を聴く。
このように、それぞれが違うことをしながら同じ空間にいることもあります。
そのため、リビングの中に小さな「居場所」を複数つくる方法があります。
たとえば、
- テレビを見る場所
- 本を読む場所
- 夫婦で話す場所
- 趣味を楽しむ場所
- 窓の外を眺める場所
などです。
すべてをつくる必要はありません。
自分たちがよく使う場所を2~3カ所つくるだけでも、リビングの使い方は変わります。
間取りを変える前に家具配置を見直す
リビングの使い方を変えたいからといって、すぐに壁を壊す必要はありません。
まずは家具の配置を変えてみましょう。
テレビを置く位置、ソファの向き、ダイニングとの境界などを見直します。
たとえば、今までテレビに向けていたソファを少し斜めに配置すると、会話をしやすい場所ができることがあります。
大きなソファを小さな椅子に変えるだけで、空いた場所を読書や趣味に使えることもあります。
実際の暮らしで試してみて、それでも使いにくい場合に間取り変更を考える。
この順番がおすすめです。
リフォームでできる「くつろぎ方」の変更
家具配置だけでは解決しない場合は、リフォームによってリビングの使い方を変える方法もあります。
一部を仕切って小さな居場所をつくる
リビングの一角を、引き戸などで仕切れるようにする方法があります。
普段は開けて広く使い、集中したいときだけ閉める使い方ができます。
完全な個室にするよりも、生活に合わせて使い方を変えやすいのが特徴です。
リビングの一角にカウンターをつくる
壁際にカウンターを設ければ、読書やパソコン、趣味などに使えます。
新しい部屋を増やさなくても、リビングの中に別の居場所をつくれます。
ただし、コンセントの位置や照明なども一緒に考えておくことが大切です。
テレビを主役から外す
テレビをリビングの中心に置く必要があるとは限りません。
壁面に設置したり、家具の配置を変えたりすることで、テレビ以外の場所にも視線が向くリビングにできます。
ただし、テレビを壁掛けにすると、後から位置を変えにくくなる場合があります。
リフォームの段階で、将来の家具配置まで考えておきましょう。
「テレビをなくすリフォーム」には注意
テレビ中心の暮らしを変えたいからといって、テレビを撤去することだけを目的にするのはおすすめできません。
今はテレビをあまり見なくても、将来また見るようになる可能性があります。
また、夫婦のどちらかはテレビを見るのが好きということもあります。
そのため、「テレビをなくす」よりも「テレビがなくても過ごせる場所をつくる」と考えたほうが柔軟です。
テレビを見る人と、別のことをする人が同じ空間で過ごせるようにする。
これも50代・60代のリビングを考えるうえで大切な視点です。
年齢を重ねたときの動きやすさも考える
50代・60代では、現在の使いやすさだけでなく、これからの暮らしも考えておきたいところです。
リビングに家具を増やしすぎると、通路が狭くなることがあります。
特にソファ、テーブル、収納家具などを詰め込むと、人が通る場所が限られてしまいます。
リフォームするときは、家具を置いた後にどこを通るのかまで確認しましょう。
「家具が入るか」だけではなく、
「歩きやすいか」
「掃除しやすいか」
「将来も使いやすいか」
まで考えることが大切です。
広いリビングが必ずしも快適とは限らない
リビングは広ければ広いほど良いとは限りません。
広い空間でも、家具がテレビに向かって並んでいるだけなら、実際に使っている場所は一部だけかもしれません。
反対に、それほど広くなくても、
「ここで本を読む」
「ここでお茶を飲む」
「ここでテレビを見る」
といった居場所があるほうが、暮らしやすいことがあります。
リフォームでは「何畳にするか」だけを考えるのではなく、「その広さをどう使うか」まで考えることが重要です。
リビングのリフォームで業者に伝えたいこと
リフォーム会社に相談するときは、「テレビを見ないリビングにしたい」とだけ伝えるのではなく、具体的な暮らし方を伝えましょう。
たとえば、
「夫婦それぞれ好きなことをして過ごしたい」
「テレビを見ながら食事をする生活を変えたい」
「読書できる場所がほしい」
「庭を眺めながら過ごしたい」
「将来も家具を動かしやすくしたい」
などです。
こうした希望を伝えることで、単純に壁を壊して広いLDKにするだけではない提案を受けやすくなります。
逆に、「リビングをおしゃれにしたい」だけでは、見た目を中心とした提案になってしまうことがあります。
リフォーム会社には、「何を変えたいか」だけでなく「どう暮らしたいか」を伝えることが大切です。
リフォーム会社選びでは「複数の方法」を提案してくれるかを見る
リビングのリフォームでは、同じ希望でも方法が一つとは限りません。
家具の配置変更で解決できることもあれば、収納の変更や間仕切りの追加で解決できることもあります。
場合によっては、間取りそのものを変える必要があるかもしれません。
だからこそ、最初から大規模な工事だけを勧める会社より、
「まずはこの方法を試してみましょう」
「この工事なら費用を抑えられます」
「将来を考えるなら、この方法もあります」
と複数の選択肢を説明してくれる会社のほうが、暮らしに合ったリフォームを考えやすくなります。
リフォーム会社を選ぶときは、工事内容だけでなく、「こちらの暮らしを理解して提案してくれるか」も確認しましょう。
50代・60代のリビングは「何を置くか」より「どう過ごすか」
テレビ中心のリビングを変えるとき、テレビを撤去する必要はありません。
大切なのは、テレビ以外にも自分たちがくつろげる場所があるかどうかです。
50代・60代になると、家族構成だけでなく、家での過ごし方も変わってきます。
だからこそ、
「今までこうだったから」
という理由だけでリビングを使い続ける必要はありません。
まずは、普段リビングで何をしているのかを書き出してみましょう。
そして、
「これから家で何をして過ごしたいか」
を考えてみてください。
その答えによって、家具配置を変えるだけで済むのか、収納や間仕切りを変えるのか、間取りそのものを見直すのかが見えてきます。
リフォームは、部屋を新しくすることだけが目的ではありません。
これからの暮らしに合わせて、「家でどう過ごすか」をつくり直すことでもあります。
リフォーム会社を選ぶときも、工事の大きさだけで判断せず、自分たちの暮らし方を聞いたうえで複数の方法を提案してくれる会社かどうかを確認しましょう。
リフォーム会社選びで失敗しないための判断基準は、こちらの「失敗しないリフォーム会社選び」で詳しく紹介しています。
まとめ
テレビ中心のリビングを変えるときは、テレビをなくすことから考える必要はありません。
大切なのは、50代・60代からの暮らしに合わせて、リビングの使い方を見直すことです。
ポイントは次の5つです。
- テレビ以外に何をして過ごしたいか考える
- 夫婦それぞれの居場所をつくる
- まずは家具配置を見直してみる
- 間取り変更では将来の動きやすさも考える
- 暮らし方を聞いて複数の方法を提案する会社を選ぶ
「リビングをどう変えるか」ではなく、「これから家でどう過ごしたいか」から考える。
この順番で考えると、必要以上に大きなリフォームをしなくても、自分たちに合ったリビングをつくることが可能です。
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