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執筆:二級建築士 安藤勉
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外壁塗装では、「10年保証付き」という言葉を見て安心する方も多いと思います。
しかし、実際には保証書の内容によって、保証される範囲は大きく異なります。中には、
「下地が原因の場合は保証対象外」
「著しい場合のみ保証」
といった条件が書かれていることもあります。
そのため、保証年数だけで判断すると、工事後に保証を受けられず後悔することもあります。
私どもは20年以上にわたり、全国のリフォーム会社の調査や、お客様からのご相談を受けてきました。その中でも、
「保証対象外と言われた」
「保証があると思っていたのに対応してもらえなかった」
といった相談は少なくありません。
今回は、保証書の免責事項から見えてくる「会社の責任に対する考え方」について解説します。
そもそも外壁塗装の保証とは?
外壁塗装の保証とは、工事ミスが原因で発生した不具合を、工事店が無償で補修する約束です。
例えば、塗料が十分に密着しておらず、数年後に膨れや剥がれが発生した場合などです。
これは車のリコールと似ています。工事ミスであれば、本来は工事店が責任を負うべきものです。
そのため、保証書を見る時は、何年保証かだけでなく、どのような場合に保証されるのかを確認することが大切です。
免責事項とは?
免責事項とは、簡単に言うと「保証しない条件」のことです。
保証書には、どのような場合に保証するのかだけでなく、どのような場合に保証しないのかも書かれています。例えば、
- 自然災害による損傷
- 第三者による破損
- 経年劣化
などです。免責事項があること自体は珍しいことではありません。
大切なのは、どのような内容が書かれているのかを確認することです。
「下地が原因」はなぜ注意?
保証書の中で、特に確認したいのが「下地が原因の場合は保証対象外」という内容です。
下地とは、塗装する前の外壁や屋根のことです。この文言があると、塗装後に不具合が発生した際、「もともとの外壁や屋根が原因なので保証対象外です」と言われる可能性があります。
もちろん、本当に下地が原因の場合もあります。
しかし、本来、下地の状態は塗装前の現地調査で確認すべきことです。
外壁塗装の現地調査では、下地の状態や補修の必要性、塗装に適した状態かどうかも確認します。現地調査で何を確認しているのかについては、こちらで詳しく解説しています。
信頼できる会社は、工事前に下地の状態を調査し、必要があれば補修や交換を提案します。また、このまま塗装しても十分な耐久性が期待できない場合は、そのリスクやデメリットも契約前に説明します。
例えば、劣化が進んだ外壁材や屋根材の場合、塗装をして見た目がきれいになっても、数年後に不具合が発生する可能性があります。
そのような場合は、塗装ではなく交換を提案することもあります。そのため、工事後に「下地が原因なので保証対象外です」と言われる前に、契約前にどのような調査や説明が行われたのかを確認することが大切です。
本来は、工事後に下地を理由にするのではなく、工事前に説明されるべき内容なのです。
実際にあった相談事例
私どもには、他社で外壁塗装を行った後に、不具合や保証に関するご相談が寄せられることがあります。
その中には、塗装後わずか数か月で、外壁に膨れや剥がれが発生したというケースもありました。
お客様が業者へ連絡すると、「もともとの下地が原因なので保証できません」と言われたそうです。
しかし、後日、別の塗装会社に確認してもらったところ、本来必要な下地処理が行われていなかった可能性を指摘されたそうです。
もちろん、すべてのケースが工事ミスとは限りません。
しかし、このようなトラブルを見るたびに感じるのは、工事の責任で不具合が起こった可能性があっても、「下地が原因」と言われると、お客様には判断が難しくなってしまうということです。
だからこそ、工事後の保証内容だけでなく、工事前にどのような調査を行い、どのような補修や下地処理が必要なのかを説明してくれる会社かどうかも重要です。
「著しい場合のみ保証」はなぜ注意?
もう一つ注意したいのが、「著しい場合のみ保証」という文言です。
例えば、色あせやチョーキング(壁を触ると白い粉が付く現象)は、年月とともに発生する経年劣化です。そのため、本来は保証の対象になりません。しかし、中には
「色あせも保証」
「チョーキングも保証」
と説明する会社もあります。
一見すると手厚い保証に見えますが、保証書を見ると、「症状が著しい場合のみ保証」と書かれていることがあります。
問題なのは、「著しい」の基準が曖昧なことです。
お客様が「かなり色あせている」と感じても、会社が「保証対象となるほどではありません」と判断すれば、保証されないことがあります。
また、そもそも塗り替え工事とは、経年劣化した塗装を10〜15年ごとに補修する工事です。
そのため、経年劣化まで無料で保証するという説明には注意が必要です。
「色あせも保証」と聞くと安心しやすいですが、実際には保証されないケースもあり、見せかけの保証になっていることもあります。
本来は、どのような状態が保証対象なのか、契約前に具体的な説明を受けることが大切です。
信頼できる会社は問題を未然に防ぐ
私どもが信頼できる会社だと感じるのは、
問題が起きた時に免責事項で逃げる会社ではなく、問題を起こさないための調査や提案に力を入れている会社です。例えば
- 現地調査を丁寧に行う
- 劣化状況を写真で説明する
- 補修が必要な理由を説明する
- リスクやデメリットも説明する
といった対応です。
信頼できる会社は、工事後に責任の範囲を説明するよりも、工事前に不具合を防ぐことを重視しています。
また、仮に保証書へ免責事項が書かれていたとしても、その内容や理由を契約前に分かりやすく説明してくれることが多いでしょう。
本当に確認したいのは保証年数ではない
保証書を見る時、つい「10年保証」「15年保証」といった年数に目が向きがちです。
しかし、本当に確認したいのは保証年数ではありません。
- 工事ミスに責任を持つのか
- 逃げ道となる免責事項がないか
- 問題が起きた時に相談できる仕組みがあるか
こうした点から、会社の考え方が見えてきます。
保証の長さよりも、どこまで責任を負うのかが大切です。
ここまでの内容は、塗装会社選びで確認したいことの一部です。
建設業許可・自社施工・見積り・保証の【4つの基準】をあわせて見ると、会社を判断しやすくなります。
リフォーム会社にも、塗装会社にも共通する会社選びの基本を、順番に知りたい方はこちらをご覧ください。
まとめ|免責事項を見ると会社の考え方が見える
保証書の免責事項を見る時は、「保証対象外になる条件」だけを見るのではなく、
なぜその内容が書かれているのかを考えてみましょう。特に、
- 下地が原因の場合
- 著しい場合のみ保証
などの文言は、トラブルにつながることがあります。
大切なのは、問題が起きた時に免責事項を持ち出す会社なのか、契約前にリスクやデメリットを説明してくれる会社なのかです。
保証年数よりも、どこまで責任を負う会社なのかを見ることが大切です。
免責事項を見ると、その会社が工事後に何を大切にしているのかが見えてくることがあります。
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