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執筆:二級建築士 安藤勉
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対面キッチンのリフォームで、悩みやすいのが吊戸棚です。
「吊戸棚を取ってキッチンをすっきりさせたい」
「でも、収納が減るのは困る」
このように迷う人は少なくありません。
特に50代・60代になると、収納量だけでなく、
「高い場所の物を取り出しやすいか」
「10年後も無理なく使えるか」
という視点も大切になります。
吊戸棚は、取れば必ず使いやすくなるわけではありません。
反対に、残せば収納が増えて便利とも限りません。
大切なのは、現在何を収納しているのかを確認したうえで、自分の暮らしに合うか判断することです。
対面キッチンの吊戸棚を取るメリット
キッチンが明るく開放的になる
吊戸棚を撤去すると、キッチンとリビングの間に視界を遮るものが少なくなります。
対面キッチンの開放感を出したい場合には、大きなメリットです。
料理をしながらリビングを見渡しやすくなり、家族との会話もしやすくなります。
圧迫感が減る
吊戸棚が目線より高い位置にあると、キッチンが狭く感じることがあります。
撤去することで壁や収納の存在感が減り、すっきりした印象になります。
特にLDKを広く見せたい場合には効果を感じやすいでしょう。
高い場所の収納を減らせる
吊戸棚は便利な収納ですが、高い位置にあるため、物の出し入れがしにくいことがあります。
奥に入れた物が見えにくくなったり、踏み台が必要になったりすることもあります。
50代から先の暮らしを考えるなら、「収納できる量」だけでなく「無理なく取り出せるか」も確認したいところです。
吊戸棚を残すメリット
収納量を確保できる
吊戸棚の最大のメリットは、収納スペースを増やせることです。
食器や調理器具、保存容器など、キッチンには意外と多くの物があります。
収納場所が少なくなると、別の棚やカウンターを追加する必要が出てくることもあります。
使用頻度の低い物を収納できる
吊戸棚には、毎日使わない物を収納する方法もあります。
例えば、
- 来客用の食器
- 季節限定の調理器具
- 大きな保存容器
- 普段使わないキッチン用品
などです。
「毎日は使わないけれど、捨てる必要はない」
という物が多い家庭では、吊戸棚が役立ちます。
他の収納を増やさずに済む
吊戸棚を撤去すると、その分の収納を別の場所に用意する必要があります。
食器棚やカップボードを大きくすると、今度はキッチンの床面積を使います。
吊戸棚を残せば、床を占領せずに収納量を確保できます。
吊戸棚を取ると収納は足りなくなる?
ここは、リフォーム前に必ず確認したいポイントです。
「吊戸棚はいらないから撤去しよう」と先に決めるのではなく、中に入っている物を一度全部出してみましょう。
そして、
「毎日使う物」
「たまに使う物」
「ほとんど使っていない物」
に分けます。
ほとんど使っていない物が多ければ、吊戸棚を撤去しても困らない可能性があります。
反対に、日常的に使う物までたくさん入っているなら、撤去後の収納場所を先に決めておく必要があります。
50代からは「収納量」だけで決めない
若い頃は、「収納できる場所が多いほうが便利」と考えがちです。
しかし、年齢を重ねると、収納量が多いことよりも、
「取り出しやすい」
「何が入っているか分かる」
「片づけやすい」
ことが重要になる場合があります。
特に高い場所の収納は、使わない物をため込む場所になっていないか確認してみましょう。
吊戸棚を撤去することで、収納を減らすきっかけにもなります。
吊戸棚を取ったほうが向いている家庭
次のような家庭なら、撤去を検討しやすいでしょう。
キッチンを広く見せたい
LDKとの一体感を出したい場合です。
吊戸棚をなくすことで、視線がリビングまで抜けやすくなります。
収納する物が少ない
食器や調理器具を整理した結果、吊戸棚がなくても収納できるなら、無理に残す必要はありません。
高い場所の収納を使っていない
「何が入っているか分からない」
「何年も使っていない」
という状態なら、撤去をきっかけに整理する方法もあります。
すっきりしたキッチンにしたい
物を減らして、必要な物だけを使う暮らしにしたい人にも向いています。
吊戸棚を残したほうがいい家庭
反対に、次のような場合は残すメリットがあります。
キッチン用品が多い
料理が好きで、鍋や食器、調理器具などを多く持っている家庭です。
大きな収納家具を置きたくない
床に置く収納を増やすと、キッチンが狭くなることがあります。
吊戸棚なら、床を使わず収納量を確保できます。
使用頻度の低い物を収納したい
毎日は使わない物を収納する場所として、吊戸棚を活用できます。
ただし、出し入れのしにくさを考えると、頻繁に使う物を高い場所へ収納するのは避けたほうがよいでしょう。
「全部取る」以外の方法もある
吊戸棚は、残すか全部撤去するかの二択ではありません。
例えば、一部だけ撤去する方法があります。また、吊戸棚の高さや大きさを見直す方法もあります。
収納量を確保しながら、圧迫感を減らせる場合があります。
キッチンの形状によっては、吊戸棚ではなくカップボードや引き出し収納を充実させる方法もあります。
重要なのは、吊戸棚をなくすことではなく、必要な収納をどこで確保するかです。
撤去する前に確認したいこと
吊戸棚を取る場合は、見た目だけで判断しないことも重要です。
中に入っている物を確認する
まず、現在の収納量を確認しましょう。
撤去後に何をどこへ移すのかまで決めておくと安心です。
壁や下地の状態を確認する
吊戸棚を撤去すると、壁の補修や仕上げが必要になる場合があります。
撤去すれば、そのままきれいな壁になるとは限りません。
照明の位置を確認する
吊戸棚をなくすことで、キッチン周辺の照明計画が変わる場合があります。
手元が暗くならないよう、照明の位置も確認しましょう。
レンジフードとの関係を確認する
吊戸棚だけを撤去する場合でも、レンジフードなど周辺設備との納まりを確認する必要があります。
キッチン全体の配置を見ながら計画しましょう。
50代・60代のキッチンは「10年後」を想像する
吊戸棚を残すか迷ったら、今の自分だけでなく、10年後の使い方も考えてみましょう。
今は踏み台を使えば問題なくても、将来も同じように使えるとは限りません。
また、物が増え続ければ、収納スペースが多くても片づきにくくなります。
逆に、料理を続けたい人なら、収納量を確保しておくことで使いやすさを保てる場合もあります。
「収納を減らすこと」が目的ではありません。
自分がよく使う物を、無理なく取り出せる場所に置くことが大切です。
まとめ
対面キッチンの吊戸棚は、取るべきとも残すべきとも一概には言えません。
撤去すれば、キッチンが明るく開放的になり、圧迫感も減らしやすくなります。
一方で、収納量が減るため、食器や調理器具の収納場所を別に確保する必要があります。
50代・60代からのリフォームでは、「どれだけ収納できるか」だけでなく、
「何をどこに収納するか」
「無理なく取り出せるか」
「10年後も使いやすいか」
という視点で判断しましょう。
吊戸棚を撤去する場合も、全部なくす必要はありません。
一部だけ残したり、別の収納へ置き換えたりする方法もあります。
現在のキッチンに入っている物を整理してから、撤去するか残すかを決めると、後悔しにくくなります。
リフォームでは、吊戸棚だけを見るのではなく、キッチン全体の収納量と動線を合わせて考えることが大切です。
キッチンリフォームを依頼するときは、希望だけを伝えるのではなく、現在の収納の使い方や不便に感じている点も業者に伝えましょう。
FAQ
Q. 対面キッチンの吊戸棚は取ったほうがいいですか?
必ずしも取る必要はありません。
収納量を減らしてでも開放感を優先したいのか、収納スペースを確保したいのかで判断しましょう。
Q. 吊戸棚を撤去するとキッチンは広く見えますか?
視界を遮る収納がなくなるため、リビング側まで視線が抜けやすくなります。
そのため、実際の面積が変わらなくても、開放的に感じやすくなります。
Q. 吊戸棚には何を収納するといいですか?
使用頻度の低い食器や調理器具などが向いています。
高い場所なので、毎日使う物は出し入れしやすい場所に収納したほうが便利です。
Q. 吊戸棚を撤去したら収納が足りなくなりませんか?
可能性があります。
撤去前に中身を確認し、必要な物をどこへ移すか決めておきましょう。
カップボードや引き出し収納などで補える場合もあります。
Q. 50代からのキッチンリフォームで収納を減らしても大丈夫ですか?
現在使っていない物が多いなら、収納を整理する良い機会になる場合があります。
ただし、今後も使いたい物まで減らす必要はありません。
「収納量」より「必要な物を取り出しやすいこと」を意識しましょう。
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