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執筆:二級建築士 安藤勉
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「冬になるとフローリングが冷たく、足元が寒い」
「床暖房をつけたいけれど、今の床を全部剥がす必要がある?」
「リビングの一部分だけに床暖房を設置できる?」
床暖房は、戸建て住宅やマンションにも後付けできます。また、今の床を全部壊さずに設置できる方法もあります。
ただし、床の状態や構造によっては、既存の床を剥がす工事が必要です。
この記事では、床暖房を後付けする方法と、工事前に確認したい注意点を解説します。
床暖房を後付けする2つの方法
1. 今の床の上に重ねて設置する
既存のフローリングを残し、その上に床暖房用の薄いパネルと新しい床材を重ねる方法です。
床全体を剥がさずに施工できるため、解体工事や廃材を減らせるため、リフォーム費用を抑えることが可能です。
例えば、リンナイには、既存の床に重ねて設置できる温水式床暖房があります。床暖房パネルと仕上げ材を合わせた厚さは約12mmです。
ただし、すべての床に重ね張りできるわけではありません。
床の傷みが少なく、下地に十分な強度があることなどが条件です。
2. 既存の床を剥がして設置する
今の床を剥がし、床暖房パネルと新しい床材を施工する方法です。
床が傷んでいる場合や、床下の断熱材も交換したい場合などに選択肢になります。
重ね張りより工事範囲は広くなりますが、床下の状態を確認し、必要な補修を一緒に行えるメリットがあります。
また、床の高さを調整しやすい場合もあります。
電気式と温水式、どちらが後付けに向いている?
床暖房には、主に電気式と温水式があります。
| 種類 | 仕組み | 後付け時の注意点 |
|---|---|---|
| 電気式 | 床下の発熱体を電気で暖める | 専用回路や電気容量の確認が必要 |
| 温水式 | 床下のパネルに温水を循環させる | 熱源機や温水配管の工事が必要 |
電気式床暖房
電気式は、電気で発熱するパネルなどを床下に設置する方法です。
温水を循環させる配管が不要なため、比較的小さな範囲への後付けを検討しやすい方式です。
ただし、電気容量や専用回路の確認が必要です。
温水式床暖房
温水式は、ガスや電気などで温めた水を床下に循環させる方法です。
リビングなど、広い範囲を暖めたい場合の選択肢になります。
ただし、床暖房用の熱源機や配管が必要で、設置場所や既存設備によって工事内容が変わります。
どちらが適しているかは、使用する部屋の広さや利用時間、設備費用と光熱費を比較して判断しましょう。
今の床を壊さずに床暖房を設置できる条件
重ね張り工法を希望する場合は、特に次の点を確認します。
床が傷んでいないか
既存のフローリングに大きなたわみや床鳴り、腐食などがある場合は、そのまま重ね張りできないことがあります。
例えば、パナソニックの電気式床暖房では、既存の木質床材の厚さや下地構造、断熱材の有無などに施工条件が設けられています。
床の上から施工できるかは、使用する製品と住宅の構造によって判断します。
床の高さが上がっても問題ないか
重ね張りすると、床暖房パネルと新しい床材の厚さだけ、床が高くなります。
その結果、次のような問題が生じることがあります。
- 廊下との間に段差ができる
- ドアの下が床に当たる
- 掃き出し窓の下枠との高さが合わなくなる
- キッチンや収納扉が開きにくくなる
床を壊さずに施工できても、ドアの調整や周囲の床の補修が必要になる場合があります。
特に、将来の歩きやすさを考えるなら、新たな段差をつくらないことが重要です。
床下に断熱材があるか
床下の断熱が不十分だと、床暖房で発生した熱が下側へ逃げやすくなります。
そのため、床暖房を設置しても、期待した暖かさが得られなかったり、光熱費が増えたりする可能性があります。
重ね張りする前に、床下の断熱状態も確認しましょう。
リビングの一部分だけに床暖房を設置できる?
床暖房は、部屋全体ではなく、一部分に設置することも可能です。
例えば、リビングで長く座って過ごす場所や、ダイニングテーブルの周辺だけを暖める方法があります。
ただし、家具の配置には注意が必要です。
床暖房の上に置けない家具や敷物があるため、メーカーの使用条件を確認しましょう。
また、暖房する面積が小さい場合、床暖房だけでは部屋全体が十分に暖まらないことがあります。
エアコンなどと組み合わせて使用する方法も検討しましょう。
床暖房を後付けするときの注意点
床暖房に対応した床材を選ぶ
床暖房は、通常のフローリングなら何でも使えるわけではありません。
熱によって床材が反ったり、隙間が生じたりすることがあるためです。
新しい床材は、床暖房に対応したフローリングを選びましょう。
古い家では床下の状態も確認する
築年数の古い木造住宅では、床下の断熱材が不足していたり、床を支える木材が傷んでいたりする場合があります。
このような状態で床暖房を重ね張りすると、不具合の原因になる可能性があります。
床に大きなたわみや床鳴りがある場合は、床下の補修を優先しましょう。
光熱費と将来の交換費用も考える
床暖房は、設置後も電気代やガス代などがかかります。
また、故障した場合は、床材を剥がして修理や交換を行う必要が生じることもあります。
初期費用だけでなく、光熱費や将来の維持管理費用も確認しましょう。
床暖房の後付け費用は何で変わる?
費用は、設置面積や床暖房の方式、床を剥がす必要があるかによって変わります。
| 工事内容 | 費用が変わる理由 |
|---|---|
| 床暖房パネル | 電気式・温水式、設置面積 |
| 床材の施工 | 重ね張りか、張り替えか |
| 電気・配管工事 | 専用回路や温水配管の必要性 |
| 熱源機の設置 | 既存設備を利用できるか |
| 床下補修・断熱 | 木材の傷み、断熱材の状態 |
| ドア・段差の調整 | 床の高さが変わる範囲 |
例えば、既存の床が良好で重ね張りできる場合と、床下の補修や断熱工事が必要な場合では、費用が異なります。
見積もりでは、床暖房本体だけでなく、床材や電気・配管工事、段差の調整まで含まれているか確認しましょう。
床暖房が後付けできない場合の代替案
床下の断熱を改善する
足元が寒い原因が床下の断熱不足であれば、断熱材の追加や交換で改善できる場合があります。
床下に作業スペースがあれば、床を大きく剥がさずに施工できることもあります。
窓の断熱性能を改善する
窓から冷気が入り、足元が寒く感じられる場合もあります。
内窓の設置や窓の断熱リフォームによって、室内の寒さを軽減できる可能性があります。
内窓のリフォーム工事は、国や地方自治体から補助金がもらえる制度があるので、利用されることをおすすめします。
床暖房を設置する前に、寒さの原因を確認することも大切です。
床暖房を後付けする前に確認したいこと
工事前には、次の点を整理しましょう。
- 今の床にたわみや床鳴りがないか
- 既存の床に重ね張りできるか
- 床の高さが上がっても問題ないか
- 床下に断熱材があるか
- 電気式と温水式のどちらが適しているか
- 部屋全体と一部分、どちらを暖めたいか
- 光熱費や将来の修理費用はどの程度か
リフォーム会社には、次の3つを確認しましょう。
「今のフローリングを剥がさずに、床暖房を設置できますか?」
「床暖房にすると今より何mm高くなりますか?段差やドアに影響しますか?」
「床下の断熱工事も必要ですか?」
床暖房の後付け工事でよくある質問
Q1. 今のフローリングを剥がさずに床暖房を後付けできますか?
はい。既存の床の状態や構造が製品の施工条件を満たせば、重ね張り工法で設置できます。
ただし、床に傷みがある場合や、対応していない床構造の場合は、張り替えが必要になることがあります。
Q2. 床暖房を後付けすると、床に段差ができますか?
重ね張り工法では、床暖房パネルと仕上げ材の厚さだけ床が高くなります。
ドアや建具、家具などが干渉しないか?段差を調整する範囲を事前に確認しておきましょう。
周囲の床も含めてバリアフリー施工する方法もあります。
Q3. 床暖房だけでリビング全体を温められますか?
床暖房の設置面積や住宅の断熱性能によって異なります。
設置範囲が小さい場合や断熱性能が低い住宅では、床暖房だけで部屋を温めることができない可能性があります。
床下や壁の断熱工事、または必要に応じてエアコンなどとの併用を検討しましょう。
まとめ|床暖房の後付けは床の状態で決まる
床の状態や構造が条件に合えば、今のフローリングを剥がさずに重ね張りで設置することも可能です。
ただし、重ね張りすると床の高さが上がるため、廊下との段差やドアの開閉に注意が必要です。
また、床下の断熱が不十分な場合は、床暖房の効果を十分に得られないことがあります。
まずは、今の床に重ね張りできるか、床下の断熱状態に問題がないかを確認してもらいましょう。
リフォーム会社には、床暖房本体だけでなく、床の高さや断熱、光熱費まで考えた提案をしてもらうことが大切です。
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