戸建住宅の屋根材とメンテナンスについて

屋根は、雨風から大切な我が家を守る構造のひとつです。しかし、重要な部分でありながら普段見ないためあまり意識していません。家を建てるときやメンテナンス時期または新築の際の参考にするため、以下の要点から屋根材選ぶことをおすすめします。

屋根材の種類と特徴

・厳しい自然環境から、住まいを守る屋根材には多種多様なものがあります。
外観にも影響を与える、屋根材の種類と特徴を説明します。
屋根材は、大きくわけて4つに分類されます。選ぶ際は、素材の特徴を理解した上で、メリットとデメリットを比較・検討し選択することをおすすめします。

粘土系瓦

・粘土を主な原料とした屋根材です。一般的に瓦屋根のことを指します。
瓦は、古くから日本の家屋に多く使われ、粘土を焼いて作られたものです。この製造工程の違いから、表面に釉薬(ゆうやく)が塗られた釉薬瓦と塗られていない無薬瓦の2つに分かれます。

釉薬瓦(陶器瓦)と無薬瓦とは?
(陶器瓦)… 瓦の素地に、水の浸み込みを防ぐために釉薬(ゆうやく~うわぐすり)を
施し窯で焼かれた瓦です。表面はガラス状で、水が浸透しにくく、耐久性に優れ、変色や退色(色あせ)もありません。色数も豊富で、和風・洋風に関係なく様々な外観の建物に使うことができます。
(無釉瓦)… 無釉瓦は、表面に釉薬をかけず窯で焼いた瓦のことです。
この種類には、代表的な「いぶし瓦」と「素焼き瓦」があります。
「いぶし瓦」~ 窯の中で煙を発生させ、いぶします。昔は、松の枝や葉を使っていましたが
現在では、灯油や水を使い素地全体に炭素の膜を塗布します。瓦全体が深い銀色に発色し、本格的な和風住宅には最適な外観になります。
「素焼き瓦」~ 釉薬やいぶしを施さず、粘土の生地をそのままに自然な風合いを生かした瓦です。色は、朱色なので「赤瓦」と呼ばれています。明るい色調で、特に洋風住宅とマッチします。

粘土系瓦は、他の屋根材より重量が重く、耐震性を考慮に入れながら慎重に選ぶ必要があります。断熱性や遮音性に特に優れ耐久年数も長いのが特徴です。

(メンテナンス)… 瓦の表面は、耐久性が高く基本的にはメンテナンスは不要です。強い風などにより瓦がずれたり、飛んでしまった場合は差し替えすることができます。ただ、瓦が劣化した場合、葺き替えになるので他の屋根材よりも高価だと考えておいた方がよいでしょう。

セメント瓦

・セメント瓦のことを指します。セメントと砂(骨材)を一定の割合で混ぜ、成形・着色して作られた瓦です。日本瓦に比べ、材質が均質なため形が一定にそろい、仕上がりの外観が美しくなります。ただ、セメントの強度は低く、塗装の劣化が進むと地震や突風などの振動で割れてしまうことがあります。
(メンテナンス)…
瓦表面の劣化状態が、ポイントになります。劣化によりセメント部分がムキ出しになると、成分であるカルシウムが流れ出るため、表面に砂が吹き出てきます。ここまで劣化が進行すると、もう回復はできません。そのため、定期的に塗料の色あせを確認し、早期に再塗装をする必要があります。
時期としては、15年~20年程度といわれています。

セメント瓦は、製造の方法により次のように分類されます。
(プレスセメント瓦)… セメントと砂(細骨材)のモルタルが原料の瓦です。
スレートと比較して瓦が厚いので、厚形スレートとも呼ばれます。この中でも、無塗装品と塗装品に分けることができます。形状には、様々な種類がありますが住宅の洋風化が進み、最近では洋瓦型や平型が多くなっています。
(コンクリート瓦)… プレスセメント瓦よりもセメントの割合が少なく、硬いモルタルを混ぜて作られた瓦です。オーストラリアの会社と共同開発を行い、その後日本に導入されたことで、社名から「モ二エル瓦」とも呼ばれています。一般的に、形状から「洋瓦」とも呼ばれ、その名のとおり洋風の住宅に向いています。

スレート瓦

・スレートとは、自然石の一種である「粘板岩=ねんばんがん」と言われる石を薄板に加工したものです。屋根材に利用されるものには、天然のものと人造のものがあり、日本瓦に比べて軽量なため、建物の耐震性に低下がなく、トタン屋根よりも耐久性があります。また、温度差によっても収縮の度合いが少なく、価格も比較的に安価です。

(メンテナンス)
スレートは、特に塗装によりその機能が保たれていますので、手間とコストが掛かります。
定期的な塗装が必要です。時期としては、10年~15年毎がよいでしょう。

化粧スレート/人造

セメントに繊維を混ぜることで、強度を高くした素材です。一般的に、カラーベストやコロニアルといった商品名で呼ばれています。特徴としては、劣化しにくく軽量で、施工が簡単です。色数やデザインも豊富ですが、仕様により価格に大きな差があります。
(天然スレート)…
主に玄昌石(げんしょうせき)を材料にした、本来のスレートです。経年による、色あせ
もなく、自然な色合いや素朴な感じが魅力です。高価な素材でもあります。

金属系

・軽量で加工がしやすく、複雑な形状の屋根にも対応できるなど、金属の特性を活かした
素材です。
(トタン屋根)…
亜鉛をメッキ(表面に金属の膜を施すこと)した、薄い鋼鈑屋根材のことをいいます。
雨などで、サビを防ぐためメッキ処理をしています。「トタン」という意味も、亜鉛メッキ鋼鈑からきています。トタンは、非常に薄く瓦やスレートに比べ軽量で、耐震性に優れています。
短所としては、サビの発生で腐食が進みやすくなるため、短期間で雨漏りが起きてしまいます。
断熱性があまり無いので、室内の温度が上がりやすく、夏季の電気代に負担を掛けます。
また、雨天時には金属特有の音があり、気になります。
最近では、既存の屋根の上から重ねて葺ける、リフォーム向けの素材としても扱われています。
(メンテナンス)… 5年~8年毎に、サビを取り再塗装が必要です。

ガルバリウム鋼鈑

アルミや亜鉛などで鉄板を両面から加工した鋼板です。70年代にアメリカで開発された新しい金属素材です。トタン屋根と比べて、大変腐食に強い性質を持っています。また、この鋼鈑の色は元来銀色であるため熱をよく反射し、また耐熱性のあるアルミを含んでおり、この相乗効果により熱に対し非常に強い素材になっています。従来から、金属の屋根材が持っていた欠点をかなりの程度克服した画期的な製品です。
(メンテナンス)… 10年~15年程度で、再塗装が必要
*石粒ガルバリウム鋼鈑については、基本的に塗装は不要です。

銅板屋根

日本では古くから錆びない屋根材として使われているのが銅板です。銅は、経年で緑青(ろくしょう=銅にできる緑色のサビ)が発生して、緑色に変化するとそれ以降は50年~80年と長期にわたり、耐久性を保ちます。

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