理想のお住まいを実現するために、戸建住宅の構造について知っておきたいものです。 戸建の住宅の構造は、大きくわけると木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)の3つになります。構造は使用する材料でわけられ、工法は建て方の違いと言えます。
どのようなお住まいにしたいのか、敷地の地盤はどうか、工期とコストはどのくらいかけられるのか。そういった点を考慮して、どのような構造と工法を選ぶのが良いか検討しましょう。
戸建住宅で最も多い構造は木造住宅です。木造住宅で代表的な工法は在来軸組工法とツーバイフォー工法になります。
在来軸組工法
在来軸組工法は“木造軸組工法”とも呼ばれる、柱と梁(はり)の軸組による工法です。とても簡単に表現するなら、木材で骨組みを作る工法です。昔ながらの工法なので伝統工法と呼ばれることもあります。
お住まいのレイアウトの自由度が高く、部屋の間口を広くとれて、さらに将来的に間取りの変更や増築が比較的容易という特徴があります。また、素材としての木の良さ(木目、風合い)を活かせますし、木が持っている湿度を調整する機能も期待できます。
ほとんどの工務店や建設会社が対応できます。
昔は柱や梁などを大工さんが作業場でノミやノコギリで加工したものを現場に持ち込んで組み上げていました。専門的な技術と高い知識を併せ持つ大工さんであれば、質の高い住宅が可能です。そのため工期は長めで、大工さんの手間やコストがかかっていました。
最近では、大工さんが手作業でしていたものを工場の機械で加工する「プレカット」と呼ばれるもので一括加工し、現場に持ち込むことが多くなりました。そのため、手間やコストが抑えられるようになりました。
木造住宅の法廷耐用年数は22年とされていますが、それは実際の住宅の寿命とは違います。歴史的建造物を見ればわかりますが、木材自体の寿命は長く、一般住宅に使われる木材も100年くらいは持つと言われています。ただし湿気や雨漏り、害虫の対策はきちんとしなければなりません。
工期と予算に余裕があり、メンテナンスもきちんとできれば、職人の技を活かせる在来軸組工法は優れた工法だと言えます。
ツーバイフォー工法
ツーバイフォーという言葉はよく耳にすると思いますが、それがどういうものか知ってる方は意外と少ないかもしれません。ツーバイフォーは2×4とも表記され、2インチ×4インチの規格化された木材を構造に使います。
この工法をわかりやすく言い表すと、サイコロのような6面体を組み立てるように住宅を建てる工法です。
屋根、4面の壁、床が一体となって強固な立体が構成されるので、地震や台風に強い構造になります。 在来軸組工法との対比で「枠組壁工法」と言われることもあります。
工法がマニュアル化しているので工期が短く、また職人さんの高度な技術も必要ないので仕上がりの質も均一です。耐震性、防火性に優れており、また気密性、断熱性が高いので空調効率が良く省エネにもなります。
その反面、将来的な間取りの変更は難しく、木を活かしたデザインも困難、気密性が高いので高温多湿な地域には向かないといった性質もあります。
現在では、ツーバイフォーを発展させたツーバイシックス工法もあります。2インチ×6インチの角材を使用し、強度や断熱性が高まります。
さらに「枠組壁工法」を進化させた「木質パネル工法」というものもあります。
壁や床を、あらかじめパネルのような状態で工場生産し、それを現場で組み立てる工法です。ツーバイフォーの考え方を発展させ、現場での作業や求められる技術を減らし、より短い工期で安定した品質の住宅を建てることができます。さらにツーバイフォー、ツーバイシックスより気密性、断熱性、耐風性などが優れています。
もっとも現場では手間も作業時間も減らせますが、工場での生産段階でそれなりの時間は必要となります。
鉄骨造とは、その名の通り鉄骨を骨組みにしている工法です。鋼鉄(Steel)の略でS造とも呼ばれます。
柱と梁で組まれているため、在来軸組工法と同じ考え方になります。
鉄骨には、厚さ6mm未満の軽量鉄骨と、6mm以上(9mmや12mm)の重量鉄骨があります。重量鉄骨のほうが柱の数を少なくできるので間取りの自由度が増しますが、重量が重いので地盤の強さが必要になります。
工場生産の鉄骨を使うため高い精度と安定した品質で、現場での職人の技術に左右されません。耐用年数は木造より長く耐久性に優れており、耐火性や耐震性も高いメリットがあります。
反面、鉄骨は規格化された工場生産品のため、間取りなどの自由度が低く、リフォームや増改築が困難な面もあります。また夏は暑く冬は寒いというデメリットがあり、空調にコストがかかると言われています。
3階建て以上のお住まいをお考えの場合は、鉄骨造が適しています。
鉄筋とコンクリートが一体となった構造で、よくRC造と略して呼ばれます。
コンクリートは圧縮には強いが引っ張りに弱い、鉄筋は圧縮に弱く引っ張りに強い、という互いの特性を一体化することで互いを補い合い高い強度を持ちます。また、火に弱く錆びやすい鉄筋をコンクリート(不燃材料です)で覆うことで、耐火性と耐久性も高めています。
耐用年数が長く、100年以上持つと言われています。地震や火事に強く、気密性と断熱性にも優れています。また遮音性が高いので、外部の騒音をシャットアウトしてくれます。
一方、材料が高価なので建築費は木造に較べて坪単価で約20万円ほど高くなります。また建物が重くなるので強固な地盤が必要になります(鉄骨造と較べても数倍重くなります)。
気密性が高いので、結露の対策も必要です。鉄骨と同様、夏は暑く冬は寒いので空調のコストがかかることがあります。
マンションやビルでよく用いられる工法で、一般的な戸建住宅ではそれほど使われない工法です。
いかがでしょうか?いろいろな構造、工法があることがおわかりいただけたかと思います。それぞれにメリットとデメリットがあり、どれを選ぶかは、どのようなお住まいを求めているか次第です。木の安らぎを感じる日本家屋が良いのか、機能性や耐久性を重視した近代的なお住まいが良いのか。また敷地の地盤や周辺環境、もちろん工期や予算も大きな判断基準になります。ある程度の考えをまとめて、実現可能かどうかも含めて信頼できる建築のプロにご相談ください。
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