介護が必要な状態になっても、住み慣れた我が家で、いつまでも暮らしていたい。
…でも、玄関や部屋の出入りの段差が高くて気になったり、お風呂で滑りそうになったりと日々の生活の中で、様々な支障が増えていきます。
そこで、それらを解消し、安全で住みやすい環境にするリフォームが必要です。介護保険制度では、このような不都合から、生活しやすい住環境を整えるリフォーム費用の一部が給付される制度があります。ここでは、介護保険を使った住宅改修で気をつけたいポイントを説明します。
お住まいの環境を確認しましょう
まずは、お住まいの状態を確認する必要があります。何のために住宅改修が必要なのか、どの部分を改修するのかが見えてきます。一般的には、以下の事柄が中心になってきます。
1. 転倒事故を防ぐ
2. 本人が自立していくのを助ける
3. 介護をする人の負担を軽くする
これらの事例に詳しい、リハビリテーションの理学療法士や、ケアマネージャーといった専門家に相談し、改修内容をはっきりとさせておくことが大事です。
介護保険制度では、事前に申請が必要です
介護保険のリフォーム前に、市区町村の介護保険担当の窓口に申請が必要です。事前に申請をしないと、給付を受けられないことがあります。
制度の内容・しくみと注意点
1)住宅改修をする所在地は、介護保険証と同じ住所に限られます。異なる場合は、住所変更が必要です。
2)20万円(消費税込)を上限に9割が返還される仕組みです。
それ以上の部分については自己負担になります。原則として一生に1回、1人につき20万円が支給限度額になりますが、以下の場合は再度支給されます。
1. 要支援・要介護認定の区分が3段階以上あがったとき
2. 転居
また、同じ住居内に要介護者が2人いる場合は、それぞれに20万円ずつ使うことができます。
※事前にリフォーム費用を受け取ることはできません。
※市区町村により、独自の助成もありますので、利用できる制度があるか各市区町村に問い合わせてみましょう。
3)業者は自分で選びましょう。
現在、業者を指定する制度はありません。業者の良し悪しの判断は、自分で調べる事が必要です。手抜き工事や、見積もり以外の費用の請求などのトラブルがないよう、依頼する業者は慎重に選びましょう。
介護保険でできる住宅改修
この制度では、何でもできるというわけではありません。法的な決まりにより定められた、下の6つの改修を行うことができます。
? 手すりの取り付け
? 段差の解消
? 滑りの防止及び移動の円滑のための床材の変更
? 引き戸等への扉の取替え
? 和式から洋式トイレ等のリフォーム
? その他?~?のリフォームに付帯して必要となる工事
住宅改修手続きまでの流れ
(1)要介護(要支援)認定の申請をして、認定を受けます。
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(2)理学療法士やケアマネージャーと、改修についての打ち合わせをします。
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(3)改修することが決まれば、工事業者を選んだ後、ケアマネージャー等も同席してもらい、打ち合わせをします。
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(4)住宅改修事業者との打ち合わせ事業者に(見積書)と(工作図面)を作ってもらいます:工事や費用の面で不明な点があればこの時に解決し、契約をします。
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(5)市区町村の介護保険窓口に住宅改修の申請をします:申請書に必要な書類(下記)を用意して、窓口に提出します。(ケアマネージャーや工事業者により代わって申請することもできます。)
1. 介護保険住宅改修費受領委任払い同意書
2. 介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修事費前承認申請書(受領委任払い用)
3. 住宅改修費が必要な理由書
4. 見積書(工事費内訳書を含む)
5. 住宅改修の予定の状態が確認できる書類(平面図、改善前の撮影日のある写真)
6. 住宅改修を行う住宅の所有者が当該被保険者でない場合は、所有者の承諾書
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(6)市区町村から申請の結果が通知されます。
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(7)通知の結果:承認された場合、事前承認申請書類に基づいて工事業者及びケアマネージャー等と一緒に改修工事を始めます。その際、無断で追加工事をしていないか、見積通りに工事をしているかなどをチェックします。
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(8)リフォーム業者への支払い:リフォーム費用を業者に支払います。
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(9)市区町村の介護保健窓口に保険金を申請する:領収書、訳書、改修前後の写真など、窓口に提出する。(ケアマネージャーや工事業者による代理申請可)
1. 介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修費支給申請書(受領委任払い用)
2. 被保険者負担額に係る領収書
3. 住宅改修費内訳書
4. 住宅改修工事完了後の状態が確認できる書類(改修後・改修前の撮影日のある写真)
5. 介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修費支給申請書(受領委任払い用)
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(10)支給:書類を審査後、翌月末頃に、決定通知を通知の上、指定口座に福祉用具購入費として工事費の9割(限度額18万円)が振り込まれます。
便利な制度を利用しましょう
最後に「受領委任払い制度」についてご案内します。この制度は費用額の1割のみを工事業者に支払い、保険給付される9割分は、各市町村が利用者から受領に関する委任を受けた工事業者に直接支払うことにより、一時的な負担を避ける方法です。条件としては、「受領委任払い取扱事業者」として各市町村に登録された事業者でなければなりません。これには事前の申請が必要です。工事の開始後では、利用できません。前述の事前申請書類に含めて(受領委任払い用)の申請書を提出してください。
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