突然、訪問してきた業者から
「台風で壊れた屋根を火災保険の保険金で修理しませんか?」
このような話をもちかけられ、手出しがないならと契約することに。その業者が保険手続きも代行するというので依頼した。
しばらくして保険金が振り込まれたので工事が始まると思いきや、業者から「工事を始めるなら保険金を全額振込め。解約するなら保険金の50%を支払え!!」と事前に何も説明がないまま強引に要求されてしまい困り果ててしまった・・・。
このように火災保険を使ったリフォームトラブルが増加しています。
国民生活センターの発表によると、修理サービスに関する相談件数が年々増加しており、2013年には707件に達しました。相談の中には多額の解約金を請求されるなど悪質なケースも報告されています。
火災保険を利用した悪質リフォーム商法の事例
【事例1】故意に屋根材などを壊す
点検時に業者がわざと屋根を壊して、保険を使ったリフォームの勧誘をする。
【事例2】保険金が下りる前に工事を行う
「間違いなく保険金がおりますから!」などと勧誘し強引に工事を始める。
保険金が下りない場合は業者が施主に請求するケースも。
【事例3】法外な解約金や申請代行費用を請求する
何らかの理由で申請代行した会社以外で工事した場合、高額な解約金や申請代行費を請求する。クーリングオフができないと言う事例もある。
なぜ、このような事例が発生するのでしょうか?
理由の一つとして、保険金申請のノウハウさえ分かれば、誰でも簡単に始められるからです。さらに、正しい方法で申請すれば高確率で保険金が下りることも要因のひとつです。
火災保険とは?
火災保険は損害保険の一つで、建物や建物内に収容された物品(住宅内の家財用具、工場などの設備や商品の在庫など)の火災や風水害による損害を補填する保険です。
このように火事で家が焼けたときだけではなく、台風や暴風雨などの風災、大雪などの雪災による損害も補償の対象となります。
火災保険金を使えるのは、損害を受けた箇所を現状回復するケースのみです。
原状回復とは?
壊れたり傷んだりした部分に手を加えて、再び以前の状態に戻すこと。つまり、部材や設備の新品交換や追加をせず、再び本来の価値を回復する工事のことです。
原状回復とリフォームを混同しがちですが内容は全く異なります。
リフォームは、間取りの変更や、壁や床、天井の遮熱性、遮音性を高めたり、台所や浴室の設備を新しく替えることです。つまり、住まいをよりよい環境に整え、価値を高める工事のことです。 リフォームと原状回復の違いをしっかりと覚えておきましょう。
業者によって「保険会社とうまく交渉して水増し請求する」といった話をもちかけることも。
一般的に損害確認は、損害保険鑑定人が現場調査をして判断します。
彼らは専門家ですから損害箇所を見れば、損害か単純な劣化によるものなのかはすぐにわかります。業者が「保険金で修理できますよ!」と言われても火災保険の対象にならない部分は自己負担となります。
「トラブルに巻き込まれないためには」
訪問してきた業者の話を真に受けてすぐに契約をすることはやめましょう。
契約させられそうになったら「家族と相談しないと契約はできない」と言って一旦断わりましょう。「知り合いに業者がいるので相談します」と伝えてもいいでしょう。
実際に損害が発生している場合、保険会社に保険金の請求を行うわけですから、損害保険会社あるいは契約している保険代理店などにまず相談しましょう。
まともな保険代理店であればすぐに動いてくれるはずです。
災害があった直後は、被災地域に勧誘にくるケースもあるので特に注意が必要です。特に被災した場合、じっくり考えている気持ちの余裕がないことも。こんなトラブルもありうるということを、ぜひ日頃から認識しておきましょう。