リフォーム営業会社は表向きは建築会社ですが中身は完全に営業の会社です。その営業マンは契約を取るためのセールス技術はあっても施工の経験が全くありません。ですから木材の性質や収め方を熟知している営業マンもほとんどいません。
驚いたことに一人で現場を調査できないような素人営業マンも実は少なくありません。この場合、素人営業マンは下請け業者の人を従えて現場を調査します。そして下請け業者が見積書を作成して、これを営業マンにファックスで送ります。営業マンはこの送られてきた下請け業者の金額に30~40%の利益を上乗せして見積書を作り直し、お客様に提出するのです。
このように一人で現場を調査できないような営業マンのいる会社は、単なるブローカーつまり上乗せ業者なので注意が必要です。下請け業者と一緒に現場調査をするような営業マンや、「今度もう一度、うちの技術の者に見せてから見積りを出します」と言うような営業マンと契約しても、それは所詮、素人との契約なのですから高額で質の低いリフォームになるだけなのです。これに対して工事店であれば、現場に関する確かな知識と豊富な経験を併せ持った建築のプロが、最初のご提案から最後の引き渡しまで責任を持って担当してくれます。
また、リフォーム工事では当初の予定通りに工事が終わることは稀で、大半の場合は工事途中で仕様が変更になったり追加工事が発生したりします。工事店の場合は社長さんが自らお客様を担当しますので、こういった変更にも瞬時に対応できますし、職人に対する指示も的確な上に工事の進行もスムーズです。しかしリフォーム営業会社の場合は全て
「お客様 ⇔ 営業マン ⇔ 下請け業者の現場管理者 ⇔ 職人」
という、まるで伝言ゲームのようなやり取りになってしまいます。そのため、お客様のご要望が工事を担当する職人にまで正確に伝わりにくく、この弊害がトラブルに発展するケースも多々あります。そればかりか年季の入った下請けの職人や現場管理者に押されて、まともに指示も出せずお客様との板挟みに遭っているような営業マンも決して少なくないので、この点は注意が必要です。
それからリフォーム営業会社と下請け工事店との関係では、どうしても元請けであるリフォーム営業会社の方が立場が強くなります。そのためリフォーム営業会社が無理な値引きをして契約に至った場合などには、その値引き分がそのまま下請け工事店のコストの切り詰めにつながり、適切な工事をする上で到底不可能と思えるような金額でのリフォーム工事を余儀なくされます。こうなると下請けの職人さん達は手間や材料を省かざるを得なくなり、これが手抜き工事につながっているケースも決して少なくないのです。
このように見てみると、建築のプロである工事店の方が価格力、提案力、技術力、現場管理力のどれを取っても、一般的にリフォーム営業会社よりも優っていることが分かります。しかし逆に、リフォーム営業会社の優位点もあります。それはサービスです。
工事店が建築会社であるのに対して、リフォーム営業会社は営業の会社でありリフォーム業を「サービス業」と捉えています。そのためリフォーム営業会社の方がサービスは充実しています。担当の営業マンが一緒にメーカーのショールームに同行してくれたり、こまめにお礼の葉書を書いてくれたり、また営業マンの対応もとても丁寧です。こういったリフォーム営業会社のサービスに金額や提案力や技術力の差を解消するだけのメリットがあるかどうかは、消費者一人一人の判断になります。きめ細やかなサービスや接客を求めるのであれば、リフォーム営業会社を選択すればいいですし、自分の家を工事するリフォーム会社の営業マンのように、決して安くない中間マージンを無意味と思う人は工事店に直接お願いすればいいのです。