トイレは、家族全員が毎日必ず使う場所です。こまめに掃除をしていても壁紙が剥がれてきたり、10数年過ぎると温水洗浄便座が動かなくなって修理や取替などのリフォームが必要になります。
ここでは、トイレリフォーム工事の費用や相場、工事日数、費用別の施工事例、業者選びのポイントをご紹介します。
トイレリフォームの費用相場と工事日数
トイレリフォームは、便器の取替、壁や床の張替え、収納の設置、手摺設置、断熱工事、まるごとリフォームなど様々です。リフォーム費用の相場と工事日数の目安を一覧にしています。ここで紹介する金額や工事日数はあくまで一般的な目安です。実際にリフォームする費用や工事日数は、お住まいの状況によって異なります。
施工別の早見表
施工内容 | 費用相場 | 工事日数 |
---|---|---|
トイレ取替(洋式便器の交換) | 15~30万円 | 半日~1日 |
温水洗浄便座の交換 | 8~20万円 | 1~2時間 |
和式トイレから洋式トイレに取替 | 30~50万円 | 3~5日 |
トイレの床貼り替え | 2~8万円 | 半日~2日 |
トイレの壁紙貼り替え | 3~5万円 | 1~2日 |
トイレに手すりを取付 | 3~8万円 | 2時間~1日 |
トイレの換気扇を交換 | 4~6万円 | 2時間~1日 |
トイレのドアを引戸へ交換 | 8~15万円 | 3~4日 |
トイレをまるごとリフォーム | 30~60万円 | 2~6日 |
トイレスペースを拡張 | 40~70万円 | 5~10日 |
ここからは、各トイレリフォームのポイントを解説します。
トイレ取替(洋式便器の交換)
洋式便器は、椅子のように座って使うトイレです。一般家庭のほとんどが洋式便器を採用しています。洋式便器を交換するには、既存の便器を外し、新しい便器を設置します。古い便器は汚水管の位置が現在の便器と違っているため、リフォーム専用の便器を使って交換します。
古い便器は形がデコボコしていましたが、最新の便器はコンパクトでお手入れしやすい形状です。トイレを流す水量も格段に減って環境に家計に優しいエコ便器になっています。最新の便器はデザイン性に優れ、まるで水を溜めるタンクが無いような収納付のトイレもあります。
便器の交換と一緒に立ったり座ったりが楽になる手摺の設置、トイレットペーパーや掃除用具の収納を考えておくことをオススメします。
温水洗浄便座の交換
温水洗浄便座は、用を足した後に温水によって洗浄する機能を持った便座のことです。ウォシュレットやシャワートイレとも呼ばれています。温水洗浄便座の交換は、給水を一旦止めて温水洗浄便座の本体を取り外し、新しい温水洗浄便座を取り付けて給水配管に接続します。
ホームセンターで温水洗浄便座を買って自分で交換することもできますが、慣れていないと水道の接続部分から水漏れしたり、便器に合わず無駄になってしまうことがあります。
和式トイレから洋式トイレに取替
1960年代から全国で洋式トイレが普及しはじめましたが、それまでは和式トイレが使われていました。和式トイレから洋式トイレに交換するには、和式便器の他、床や壁、天井、水道や汚水管を解体し、新しい洋式便器に合う位置に移動させます。床や壁を張った後に、洋式便器を設置します。
古い家の場合、床や壁の中に断熱材が入っていないことがあります。和式から洋式にリフォームする際は断熱材を敷き込むと快適になります。今後、手摺を付ける可能性も出てきますので、壁の中に手摺の下地を入れておくとをオススメします。
最新の温水洗浄便座は、コンパクトでお手入れしやすく、温風乾燥はもちろん、脱臭や自動で点灯するタイプもあります。
トイレの床貼り替え
トイレの床は、CFと呼ばれるクッションフロアやフローリング、タイルなど様々です。日々お手入れしていても気付かないうちに下地材が傷んでしまうケースも多くあります。床材がめくれたり、ブカブカしてきたら張り替えをオススメします。
床を貼り替えるには、古くなった床材を剥がし、新しい床材を張ります。床材の下地板や根太が悪くなっていたら、新品に交換します。便器がまだ使える場合は、一度外し、床材を貼り替えた後に復旧します。クッションフロアであれば便器を付けたまま床を張り替えることができますが、便器を一旦外して床材を敷き込むことをオススメします。
トイレの壁紙貼り替え
トイレの壁は、手洗いの水が跳ねて防水性が高いビニールクロスを貼っていても継ぎ目がめくれやすくなります。壁紙を貼り替えるなら、汚れに強く、抗菌加工された壁紙がオススメです。
壁紙をリフォームするには、古くなったクロスを剥がし、クロスの下地を調整し、新しい壁紙を貼ります。防水性の高い耐水クロスの他、壁にパネルを張ると耐久性が向上し、メンテナンスが楽です。壁紙を貼り替えるときは天井のクロスも一緒に貼り替えをオススメします。
トイレに手すりを取付
小さなお子様やご年配の方が便器から立ち上がるときに手すりがあると便利です。トイレの手摺はI型やL型の他、紙巻器と一体になったものなどがあります。手摺を壁に固定するには下地が必要です。手すりを取り付けたい位置に下地が無ければ一旦壁を解体し、下地を入れた後に壁を復旧し、手すりを取り付けます。後付け用の部材を壁に張れば壁を壊さずに手摺を取り付けることができます。
トイレの換気扇を交換
トイレの換気扇は天井埋め込み型と壁付けタイプがあります。一般的に換気扇メーカーは後継機種を準備していますので、特殊な形状でない限りは、換気扇本体の交換だけで済みます。
換気扇が無いトイレに新規に設置するには、天井や外壁に穴を開けて換気扇の本体や雨水や虫が入らないようにベントキャップと呼ばれる蓋を取り付け、換気扇のスイッチ工事などを行います。
換気扇には、タイマーや人感センサー付きのタイプもあります。予算や使い勝手を考えながら選びましょう。
トイレのドアを引戸へ交換
トイレの入口ドアは、片開きのドアが多く、扉の開閉スペースを確保しなければなりません。開き戸から片引戸へリフォームするとスペースの確保が必要無くなり、戸の開閉が楽になります。引戸は、開いたときに扉の幅分、引きしろが必要です。扉を引いたところにトイレのスイッチがある場合は移設が必要です。
トイレのドアを片引き戸へ交換するには、片開き戸と枠を一旦解体し、片引き戸の枠や敷居を付け、扉を入れます。扉まわりの壁も改装するため、壁紙などの工事が必要です。廊下とトイレに段差がある場合は、段差解消の框を入れる必要があります。
トイレをまるごとリフォーム
便器本体を取替え、床材や壁紙をまるごとリフォームするためには約30万円~60万円の費用が必要です。CFと呼ばれる床材やビニールクロスであれば比較的短時間で貼り替えることができますが、床や腰壁がタイル張りの場合は、解体から仕上げまで4、5日必要です。
トイレは水まわりなので水はねや湿気によって下地が腐食していることがあります。トイレをまるごとリフォームするときは下地も新しいものへ交換がオススメです。最近はお手入れが楽なパネル式の床材や壁材がありますので予算に合わせて選びましょう。
トイレスペースを拡張
築30年以上前の住宅は、トイレの広さが畳1枚弱のスペースのため、介護するためにはトイレの拡張が必要です。既存の建物の中にトイレスペースが確保できなければ増築が必要です。また「2階にトイレを増やしたい」場合も同様です。トイレを増設するには、増築スペースの確保の他、給水や電気配線の他、空調や排水設備を考えなければいけません。
トイレまわりの部屋や廊下が使えるなら、拡張工事が可能ですが、壁の中に建物を支える重要な通し柱や筋交いが入っていた場合、解体できない可能性があります。トイレリフォームの経験豊富な工務店、リフォーム会社に相談しましょう。
トイレリフォームで失敗しないポイント
一度トイレをリフォームすると15年以上使い続けることがほとんどです。折角お金をかけてリフォームしたはずが使い勝手が悪くなってしまっては無駄になってしまいます。ここでは、トイレリフォームで失敗しないポイントをまとめています。
トイレの不満点を洗い出す
毎日使うトイレを快適にするには、見積依頼の前に現在の不満点、改善したい点を洗い出し、まとめましょう。パートナーや家族にも聞いておくと参考になります。
リフォームの優先順位を決める
不満点や改善したいことを一覧にすると本当にしたいリフォームが見えてきます。一覧の中からリフォームの優先順位を決めますが「費用がどれだけ必要か?」わからない場合は、建築のプロに見積りを依頼しましょう。トイレのリフォーム経験が豊富な担当者であれば、的確なアドバイスや提案を頂けるはずです。
イメージできなければ実物を触って確認する
見積りや、メーカーのカタログだけではリフォーム後のイメージを掴むことは難しいので、近くにトイレを展示しているメーカーショールームがあれば実物を確認しましょう。床材、壁材なども実物と同じ素材で作られたサンプル帳で確認しましょう。耐久性や、お手入れ方法についても確認しましょう。
予算別トイレリフォームの施工事例
トイレリフォームの事例を予算別に紹介します。工事日数や施工前と施工後の写真付きです。
ご自宅のトイレリフォームの前に参考にしてください。
10万円以下のトイレリフォーム
10万円以下のトイレリフォームは、温水洗浄便座の交換や、内装の貼替工事などです。リフォーム前後の写真付きで紹介します。
トイレの壁紙と床を貼り替えた施工事例です。壁紙は明るいホワイト系に、床は木目調のクッションフロアに貼り替えました。壁紙やCFは模様が沢山あり、選ぶのが大変です。メーカーのカタログなどを参考に好みのカラーにコーディネートしましょう。
古くなった手洗い器を外し、収納付のシンプルな手洗い器に交換した施工事例です。これまでは給水管や排水管が見えていましたが、扉付のタイプでスッキリした印象になりました。埋め込み式の手洗い器や、水道や排水の位置が新しい手洗い器に合わない場合は移設工事が必要になります。
トイレに手すりがあると座ったり立ち上がったりが楽になります。手摺を取り付けるときは、メインで手すりを使う方に合わせて位置を決めましょう。壁の中に手すりを付けるための下地がない場合は、下地工事が必要になります。
10万円~30万円のトイレリフォーム
10万円~30万円のトイレリフォーム事例を一覧にしています。部分的なトイレリフォームから、便器の取替、内装工事まで可能です。便器は長く使うものなので、使い心地やお手入れしやすさも考えながら選びましょう。リフォーム前後の写真付きで紹介します。
手洗い付きの洋式便器と温水洗浄便座を交換した施工事例です。最新の温水洗浄便座は、コンパクトでお手入れしやすく高機能です。古い便器の形状は凹凸があり、掃除が大変でしたが、新しい便器はスッキリしたデザインになりました。高機能な温水洗浄便座は、壁付リモコンで大小流すことも可能です。
手洗い無しの洋式便器にリフォームした場合は、トイレの入口付近に手洗い器が必要です。また、タンクレストイレへリフォームする場合も新たに手洗い器の設置が必要になります。手洗い器は給水と排水の他、自動水栓のタイプは電源工事が必要になります。
埋め込み型の手洗い器であれば、出っ張りが少なくトイレ空間を広く使うことができます。手洗い器と一緒に掃除用具やトイレットペーパーなどの収納も設置すると便利です。
30万円以上のトイレリフォーム
30万円を超えるトイレリフォーム事例を紹介します。便器本体や内装の他、紙巻器やタオル掛けなどトイレまるごとリフォームしたり、和式から洋式トイレへリフォームしたり、ハイグレードなトイレへ交換などが対象です。
段差のある和式トイレから洋式トイレへリフォームした事例です。和式便器の他、床や壁を解体し、洋式便器を設置するために水道や排水の移動が必要になります。和式から洋式便器にリフォームすると立ったり座ったりが楽になる他、温水洗浄便座も設置できるため便利です。トイレが使えない期間があるので、他にトイレが無ければ仮設のトイレが必要になります。
一般的な洋式トイレを高機能なトイレへリフォームした事例です。リフォーム専用のトイレであれば、給水や排水を動かすことなく1日でリフォーム可能です。ハイグレードなトイレは、大小の水量も格段に減って環境に家計に優しいエコ便器で、室内暖房付で快適になります。
トイレをまるごとリフォーム
便器本体を収納一体型トイレに取替え、床材や壁紙をまるごとリフォームした事例です。収納一体型のトイレはタンクが見えなくなり、上部のカウンターには小物を置くことができます。リフォーム専用のトイレは、トイレ本体から分岐した給水と排水をカウンターの手洗い器に繋げることができます。
トイレリフォームの費用を抑える方法
一度トイレをリフォームすると10年以上使い続けることがほとんどです。折角お金をかけてリフォームしたはずが使い勝手が悪くなってしまっては無駄になってしまいます。ここでは、トイレリフォームの費用を抑える方法をまとめています。
便器や内装を比較検討する
トイレのリフォームの中で最も金額を締めるのが便器本体や洗浄便座です。機能が充実した商品は定価が高くなります。高級グレード品になると割引率も低くなります。リフォーム費用を抑えるには、商品のグレードを下げたり、他メーカーで同等品を探したりしながら比較検討してみてください。
壁や天井もまとめてリフォームする
便器の取替え、壁や天井の貼り替えなどを別々に行うと割高になります。リフォーム費用を抑えるには、便器の取替と壁紙や天井、床材をまとめてリフォームするとトータルコストが安くなります。
定期的に点検する
トイレは、毎日使う場所です。劣化を放置しておくと、壁や床の下地が傷んで大がかりなリフォームが必要になります。水道配管から水漏れがないか?排水管から漏水がないか?定期的に点検しましょう。
トイレリフォームの業者選びのポイント
トイレリフォームの依頼先は、家を建てたハウスメーカーや工務店、地元のリフォーム会社、最近では家電量販店やホームセンターなど様々です。トイレのリフォームで失敗しないためには業者選びが重要になります。ここでは、トイレのリフォームの業者選びのポイントをまとめています。
実積豊富なリフォーム会社を選ぶ
トイレのリフォーム実績が豊富な業者であれば、プロとして的確なアドバイスや提案をしてくれます。見積り依頼の際は、過去の施工実績をホームページや担当者に聞いて確認しましょう。
担当者の対応が丁寧でわかりやすいか?
信頼できる担当者は誠実で説明もわかりやすいのが特徴です。数ある商品の中からお客様の立場で使い勝手を考えながら提案してくれます。見積書、契約内容、工事の流れや、保証についてもわかりやすく説明してくれます。
工事後のアフターフォローや保証が充実しているか
トイレをリフォーム後、しばらく快適に使えていても、年数が経過すると不具合が出てくることがあります。また、操作方法や、メンテナンス方法がわからなくなったときに、相談できるリフォーム会社がオススメです。地元の工務店やリフォーム会社であれば小回りがきいて安心です。
まとめ
トイレリフォームのポイントや施工事例を元に費用相場、リフォーム業者選びについて紹介しました。トイレは、家族全員が毎日必ず使う重要な部屋です。トイレリフォームで失敗しないためには、信頼できる工務店やリフォーム会社に依頼することが最も重要です。
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