マイホームを建てた後、子どもが生まれたり、両親と同居のために間取り変更やリノベーションと呼ばれる改築や、部屋を増やす増築工事が必要になることがあります。ここでは、増築リフォームの基礎知識やメリットとデメリット、費用や相場、施工事例、業者選びのポイントをご紹介します。
増築するきっかけは「家が手狭になったのでリビングを広げたい」「両親と同居するため寝室とトイレを増やしたい」など様々です。家を広げる土地があっても勝手に増築することはできません。なぜなら、法律で建物の広さや高さが決められているからです。
土地の面積に対し建物が建っている部分の面積と、建物各階の床面積を合計した面積の上限がそれぞれ決められています。また、道路や隣地から一定以上離れて家を建てなければなりません。無断で増築すると違反建築物とみなされ、行政から厳しい行政指導や処分を受ける可能性があります。
また、木造住宅を10㎡以上増築する場合は役所に届け出が必要です。市や町の建築課へ届け出ることを一般的に建築確認申請と呼んでいます。都市部の防火地域、準防火地域に立つ住宅は、10m2以下の増築でも建築確認申請が必要になります。
増築は、敷地内の建物の床面積を増やすことです。増築は別名「建て増し」と呼ばれています。敷地内の建物とは別に家を建てることも増築です。建築基準法では、「既存建築物に建て増しをする、又は既存建築物のある敷地に新たに建築すること」と定義されています。
スケルトンリフォームやリノベーション、大規模リフォームなど住宅に関わる建築用語が沢山ある中で増築は昔からよく使われている建築用語です。増築と似た用語に、改築という建築用語があります。
増築は、建物の床面積を増やしてリフォームすることです。改築は、建物の一部、あるいは全体をリフォームするため建物の床面積は変わりません。
ここでは、増築リフォームのメリットとデメリットを解説します。
増築リフォームのメリットは、建て替えよりも費用が抑えられ、愛着のある建物を残し、住みながらリフォームできることです。
増築は、建て替えよりも費用が安くリフォームできます。家を建て替えるには、家全体の解体や廃材処分、建て替え中の仮住まいや引っ越し費用が必要になります。建物の状態が良好であれば増築をオススメします。
建物の一部を増築する工事であれば、住みながらリフォーム可能です。住みながらのリフォームは、仮住まいへの引っ越しのための手続きや費用が不要になります。ただし、増築しながら家全体をまるごとリフォームする場合は、住みながらリフォームは困難です。
増築は今の建物を残しながらリフォームできることがメリットです。子どもの頃から慣れ親しんだ愛着のある住まいが無くなってしまうのは寂しいものです。増築は既存の建物を生かしつつリフォームできます。
増築リフォームのデメリットは、建物を継ぎ足すため、元の建物と継ぎ足した建物とで耐久性や見た目が変わります。
建物の一部を増築した場合、建物を継ぎ足す工事のため、既存の部分と建て増しした部分と耐久性が異なってしまいます。増築リフォームの際は、既存の部分の外壁や屋根の塗装やメンテナンスが必要であれば同時にリフォームしておきましょう。
増築は建物を継ぎ足すため、どうしても既存の建物との間に隙間ができてしまいます。無理な増築をしてしまうと建物に負担が掛かったり、雨仕舞が悪くなったりするため雨漏りが発生することがあります。
増築の手順は、建て増しする部分の基礎を作り、土台や柱、屋根組をし、窓を取り付け、外壁を張って室内を仕上げていきます。さらに既存の建物と建て増し部分と行き来できるように改修します。ここからは、トイレや浴室などの水回りから2階や離れの増築リフォームの相場と工事日数の目安を解説します。
トイレの増築リフォーム |
費用相場:180~350万円 工事日数:1週間~10日 |
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浴室の増築リフォーム |
費用相場:250~450万円 工事日数:10日~2週間 |
キッチンの増築リフォーム |
費用相場:300~450万円 工事日数:10日~2週間 |
洋室の増築リフォーム |
費用相場:300~500万円 工事日数:10日~2週間 |
和室の増築リフォーム |
費用相場:300~500万円 工事日数:2週間~3週間 |
2階の増築リフォーム |
費用相場:250~1200万円 工事日数:1~2ヵ月 |
離れの増築リフォーム |
費用相場:1坪あたり50~80万円 工事日数:10日~1.5ヵ月 |
サンルームの増築リフォーム |
費用相場:30~200万円 工事日数:5日~10日 |
ガレージの増築リフォーム |
費用相場:150~350万円 工事日数:10日~2週間 |
ベランダ・バルコニーの増築リフォーム |
費用相場:40~350万円 工事日数:3日~2週間 |
費用相場:180~350万円
工事日数:1週間~10日
「両親と同居のために寝室の隣にトイレを増設」の場合、既存の建物の中にトイレスペースが確保できなければ増築が必要です。また「2階にトイレを増やしたい」場合も同様です。トイレを増築するには、増築スペースの確保の他、給水や電気配線の他、空調や排水設備を考えなければいけません。
費用相場:250~450万円
工事日数:10日~2週間
30年以上前の住宅の場合、浴室が1坪未満で建てられていることが多く、足を伸ばして湯船に浸かることができません。お風呂は一日の疲れを癒す空間です。ゆったり足を伸ばしてストレス解消するには1坪以上の広いお風呂がオススメです。間取りの中で浴室を広げられない場合は増築して快適な浴室空間を作りましょう。
費用相場:300~450万円
工事日数:10日~2週間
子どもが増えたり2世帯で住むことになればこれまでの住居スペースでは食事の支度が難しく、キッチンの増設が必要になります。洋室や和室を解体してキッチンにできなければ、建て増しが必要になります。キッチンを増築するためには、電気や水道や排水はもちろん、お湯の配管、ガスコンロを使われていればガスの配管などの工事も必要です。
費用相場:300~500万円
工事日数:10日~2週間
テレワーク勤務で仕事部屋が必要になったり、同居人が増えた場合、居住スペースを広げるために洋室や寝室を増さなければなりません。趣味の道具やコレクションを保管する部屋や書斎などが必要になれば部屋の増築が不可欠です。動線や日当たりなど考えながら増築する部屋をどこに設けるか?じっくり考えながら決めましょう。
費用相場:300~500万円
工事日数:2週間~3週間
親や子どもと同居する場合、和室を増築するのも手段のひとつです。畳のある和室空間は、日本人にとって安らぎ落ち着く空間です。また畳は吸音や防音に優れ、強い衝撃を吸収してくれます。
本格的な和室から、モダンな雰囲気の和室、和洋折衷の空間など多岐にわたります。ご自宅に合うデザインで増築しましょう。
費用相場:250~1200万円
工事日数:1~2ヵ月
2階の増築は、トイレの増設から平屋を2階建てにするなど多岐に渡ります。水まわりを増やす場合は水道や排水、空調などの工事が必要になります。平屋を二階建てにするには確認申請の手続が必要です。また、耐震補強工事や、仮住まいの手配なども考えなければなりません。
費用相場:1坪あたり50~80万円
工事日数:10日~1.5ヵ月
水回りの設備がない趣味の部屋や店舗、倉庫、キッチンとトイレを備えた店舗であれば離れの増築ができます。離れは、住居とは離れた空間のため、趣味や仕事に集中できる部屋です。木造やプレハブ造の他、ユニットハウスなど様々な種類の離れをつくることができます。
費用相場:30~200万円
工事日数:5日~10日
サンルームは、別名ガーデンルームと呼ばれ、第2のリビングとして、梅雨時期には洗濯物干し場として使われています。新築後、サンルームを増築される方が多く、大きさやデザインも様々です。柱と屋根、パネルで囲まれたサンルームは増築扱いになりますので、10㎡以上増築する場合は確認申請の手続が必要です。
費用相場:150~350万円
工事日数:10日~2週間
ガレージは、自家用車を雨風や直射日光から守るために屋根と壁で囲まれた建物のことです。カーポートに比べ防犯性が高く、DIYや趣味の作業場、子どもが遊ぶスペースとしてガレージを増築される方が増えています。ガレージは木造の他、ユニットやプレハブといった工場で生産された建物を設置するタイプもあります。
一度増築リフォームすると10年以上使い続けることがほとんどです。折角お金をかけてリフォームしたはずが使い勝手が悪くなってしまっては無駄になってしまいます。同じリフォーム内容でも工夫をすればリフォーム費用を節約できます。ここでは、増築リフォームの費用を抑える方法をまとめています。
キレイな扉やこだわりのデザイン、機能が充実したキッチンやシステムバスは定価が高く、高級グレード品になるほど割引率も低くなります。リフォーム費用の中でキッチンやシステムバスなどの水まわりは、全体の金額に占める割合が多く、費用を抑えるには、商品のグレードを下げたり、他メーカーで同等品を探したりしながら比較検討しましょう。
予算オーバーした場合は、リフォームの優先順位を家族でしっかり考えプランを決めましょう。プロにコスト削減のアドバイスを相談も有効なテクニックです。
補助金制度は、国や地方公共団体が推進する「高性能な住宅」を普及させるため、リフォームの一部を補助する支援制度です。補助金は、玄関ドアや断熱、省エネ設備を使ったリフォームの他、バリアフリー改修も適用されます。
補助金が適用される建材や設備が決められています。検討中の増築リフォームが基準を満たしているか、補助金事業のウェブサイトや窓口に問い合わせてみましょう。
また、補助金対象のリフォームを行うと税金の控除や減税の対象になることがあります。補助金や減税制度を活用してお得にリフォームしましょう。
増築リフォームの事例を施工前と施工後の写真付きで紹介します。ご自宅の増築リフォームの前に参考にしてください。
ダイニングキッチンを増築
工事日数:1ヵ月
キッチンやダイニングスペースが狭い間取りだったため、ダイニングキッチンを増築した施工事例です。これまではコンパクトなセクショナルキッチンでしたが、広々としたカウンターのシステムキッチンへ改装しました。手元が明るくなるようにシンクの前には出窓を取り付けました。
玄関を増築
工事日数:1ヵ月
白いタイル壁だった玄関まわりを解体し、屋根はいぶし瓦、木目を生かした和風の玄関に増築したリフォーム事例です。庇のあるデッキ付のスペースと腰壁に張った木製の板と漆喰壁、格子デザインの引戸が玄関を引き立てています。家の顔でもある玄関は、お客様を最初に迎える大切な場所です。玄関はもとより、アプローチも含めてトータルでプランされることをオススメします。
増築リフォームの依頼先は、家を建てたハウスメーカーや工務店、地元のリフォーム会社など様々です。増築のリフォームで失敗しないためには業者選びが重要になります。ここでは、増築のリフォームの業者選びのポイントをまとめています。
増築は、新築に比べ建築の知識、施工技術、施工経験が必要なリフォーム工事です。既存の家の構造や状態を把握し、耐震性の確保、最適な間取りや仕上げ材をプラン、選定します。また、増築は建築基準法の他、様々な手続きが必要です。増築リフォームの実績が豊富な工務店やリフォーム会社へ依頼しましょう。
信頼できる担当者は誠実で説明もわかりやすいのが特徴です。数ある商品の中からお客様の立場で使い勝手を考えながら提案してくれます。見積書、契約内容、工事の流れや、保証についてもわかりやすく説明してくれます。
リフォーム後、しばらく快適に使えていても、年数が経過すると不具合が出てくることがあります。メンテナンスの方法がわからなくなったときに、相談できるリフォーム会社がオススメです。地元の工務店やリフォーム会社であれば小回りがきいて安心です。
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