この記事は約3分で読めます】
執筆:二級建築士 安藤勉
→詳しいプロフィールはこちら
「ほとんど使っていない部屋がある」
「その部屋をなくしてLDKを広くしたい」
このように考える方は少なくありません。
結論からいうと、使っていない部屋をなくしてLDKに取り込むリフォームは可能です。
実際に、和室とDKをつなげてLDKにしたり、使っていない部屋を取り込んで一つの大きなLDKにしたりする事例があります。
ただし、部屋を使っていないからといって、壁を取り払えば簡単にLDKを広げられるとは限りません。
壁の中に柱や筋交いが入っていることもあります。
また、部屋をなくしたことで収納が減ったり、LDKの中を人が頻繁に通ったりすることもあります。
私たちは20年以上、全国のリフォーム会社の調査や、お客様からのご相談を受けてきました。
その経験をもとに、この記事では「使わない部屋をなくすときに、何を確認すればよいか」を分かりやすく解説します。
使わない部屋をなくしてLDKにできる?
使っていない部屋がLDKに隣接しているなら、間仕切りをなくして一体化する方法があります。
例えば、LDKの隣にある和室をなくして、リビング・ダイニングに取り込む方法です。
実際に、和室をなくして21.8帖のLDKにした事例もあります。
その事例では、撤去できない柱や筋交いを残しながら、LDKの一部としてデザインしています。
一方で、すべての部屋を同じように取り込めるわけではありません。
特に確認したいのが、壁や柱など建物を支える部分です。
壁の中に柱や筋交いが入っていたり、上階や屋根からの荷重を受けていたりする場合があります。
そのため、間取り図だけで「この壁は取れる」と判断するのは危険です。
また、部屋をなくした後に、
「収納が足りなくなった」
「LDKの中を家族が通るようになった」
ということも考えられます。
大切なのは、部屋をなくすことではありません。
「なくした後のLDKで、どのように暮らすか」まで考えて間取りを決めることです。
使わない部屋をLDKに取り込む3つの方法
使っていない部屋をなくす場合でも、すべてを完全に取り払う必要はありません。
暮らし方に合わせて、いくつかの方法があります。
隣の部屋をそのままLDKに取り込む
最も分かりやすいのが、隣接する部屋との間仕切りを撤去する方法です。
和室とLDKの間にある壁や建具をなくし、床や壁、天井の仕上げをそろえます。
部屋として区切られていた空間が一つにつながるため、LDKを大きくできます。
ただし、間仕切りの中に柱などがある場合は、そのまま撤去できないことがあります。
実際の施工事例でも、壁と柱を撤去した後、梁を新設して補強した例があります。
壁や建具を一部残してつなげる
完全に一体化せず、一部を残す方法もあります。
例えば、引き戸などで仕切れるようにしておけば、普段はLDKとして使い、必要なときだけ別の空間として使えます。
「広いLDKが欲しいけれど、個室として使える場所も残したい」という場合に検討しやすい方法です。
部屋の一部を収納などに作り替える
部屋を丸ごとなくすのではなく、一部を収納として残す方法もあります。
LDKを広げるときは、広さだけを優先すると収納不足につながることがあります。
そのため、
「部屋をなくす」
「LDKを広げる」
「収納を確保する」
を一緒に考えることが大切です。
間取り変更では、家族の動線だけでなく、物をどこにしまうかまで考えて計画することが重要です。
部屋をなくす前に確認したい4つのこと
「使っていないからなくしてしまおう」と決める前に、いくつか確認しておきたいことがあります。
その部屋は本当に将来も使わないか
現在使っていなくても、将来必要になる可能性があります。
例えば、
・来客時の部屋
・夫婦の寝室
・子どもや孫が泊まる部屋
・介護が必要になったときの部屋
・季節用品を置く場所
などです。
今の使い方だけでなく、数年後の暮らしも考えておきましょう。
特に一度LDKに取り込んでしまうと、元の個室に戻すには再び間仕切り工事が必要になります。
なくした部屋の収納をどうするか
見落としやすいのが収納です。
例えば、和室をなくすことで押し入れもなくなる場合があります。
LDKは広くなったのに、収納が足りなくなって物が出たままになると、使いやすさは下がってしまいます。
そのため、部屋をなくす前に、
「この部屋に置いている物はどこへ移すのか」
まで整理しておきましょう。
LDKの中を人が通らないか
もう一つ重要なのが生活動線です。
例えば、なくした部屋の奥にトイレや洗面所、玄関への通路がある場合があります。
その場合、部屋をLDKに取り込むことで、家族がリビングを横切る動線になることがあります。
「広いLDK」になっても、テレビの前を人が何度も通るようでは落ち着いて過ごしにくくなります。
間取り変更では、家族・家事・物の動きを一緒に考えることが重要です。
家具を置いた後の広さを考える
「LDKが○畳になる」という数字だけで判断するのもおすすめできません。
ソファ、ダイニングテーブル、テレビ、収納などを置いた後に、どの程度の通路が残るかを確認しましょう。
図面上では広く見えても、家具を配置すると動きにくくなることがあります。
リフォーム会社が現地で確認すること
使わない部屋をLDKにできるかどうかは、リフォーム会社による現地確認が重要です。
特に確認してもらいたいのが、次のような部分です。
壁・柱・梁などの構造
壁を撤去できるかどうかは、見た目だけでは判断できません。
柱や筋交いが入っていたり、上階や屋根を支えていたりする場合があります。
実際の間取り変更では、柱を撤去する代わりに梁を新設するなど、構造を補強して対応するケースもあります。
そのため、「壁を取れるか」だけではなく、「柱や梁はどうなるのか」まで確認することが大切です。
電気や設備の位置
部屋をLDKに取り込むと、照明やコンセントの位置も変わります。
さらにキッチンを移動する場合は、給排水や換気などの条件も確認が必要です。
間取りだけを先に決めると、後から設備の位置が問題になることがあります。
床や天井の仕上がり
元の部屋とLDKで、床材や天井の高さが違うこともあります。
例えば、畳の部屋を取り込む場合は、畳をフローリングに変更するだけでなく、床の高さを合わせる必要が出ることがあります。
完成後に段差や仕上げの違いが残らないか、事前に確認しておきましょう。
現在の家と図面が一致しているか
築年数が経った住宅では、新築時の図面と現在の建物が完全に一致しているとは限りません。
過去に増改築している場合もあります。
壁や天井の中など、目で確認できない部分もあるため、図面と現地の両方から判断することが重要です。
LDKを広くしたのに使いにくくなることもある
部屋をなくせば、必ず暮らしやすくなるとは限りません。
例えば、次のようなことがあります。
「LDKの中を家族が頻繁に通る」
「ソファを置く場所がなくなった」
「収納が減って物が出るようになった」
「キッチンが丸見えになった」
「個室が必要になったときに困る」
この中でも、特に注意したいのが「LDKが通路になる」ことです。
部屋を取り込んで空間が広くなる一方、玄関や洗面所、トイレなどへの移動経路がLDKを横切ることがあります。
そのため、間取りを考えるときは「何畳広くなるか」だけでなく、「誰がどこを通るか」を確認しましょう。
また、窓の位置や家具の配置によって、採光や風通しの感じ方も変わります。
間取り変更では、家族の動線、家事動線、収納、採光などをまとめて考えることが重要です。
「使わない部屋をなくせます」と言われたら何を確認する?
リフォーム会社に相談したとき、「この部屋をなくしてLDKにできます」と言われることがあります。
そのときは、「できます」という結論だけでなく、なぜできるのかを確認してみましょう。
例えば、次のように質問すると判断しやすくなります。
「この壁はなぜ撤去できるのですか?」
「柱や梁は残りますか?」
「撤去した場合、補強は必要ですか?」
「部屋をなくした後、収納は足りますか?」
「家族の動線はどう変わりますか?」
「家具を置いた場合、十分な通路幅は残りますか?」
「部屋を完全になくさない方法もありますか?」
特に重要なのは、「できるか、できないか」だけで終わらせないことです。
できる理由、残る部分、必要な補強、工事後の暮らしまで説明してもらいましょう。
また、複数の会社から見積りを取る場合は、金額だけを比較するのではなく、工事範囲や補強、仕上げまで確認することが大切です。
実際にリフォームを進めるときは、どの会社に依頼するかも大切です。
会社選びでまず確認したい4つのポイントをまとめています。
会社選びで大切なことを順番に知りたい方は、こちらをご覧ください。
使わない部屋をなくすなら「広さ」より「暮らし方」を考える
使っていない部屋をなくしてLDKを広げることは、間取りを見直す方法の一つです。
ただし、目的は「部屋を一つ減らすこと」ではありません。
大切なのは、その部屋をなくしたことで、これからの暮らしがどう変わるかです。
まずは、
「なぜLDKを広くしたいのか」
を考えてみましょう。
家族が集まる場所を広くしたいのか。
家具をゆったり置きたいのか。
キッチンから家族の様子を見たいのか。
掃除しやすい間取りにしたいのか。
目的によって、部屋を完全になくす以外の方法も考えられます。
例えば、壁の一部を残したり、引き戸で仕切ったり、収納を残したりする方法です。
「使わない部屋だからなくす」のではなく、「これからの暮らしに必要な空間へ作り替える」と考えると、間取りの選択肢が広がります。
リフォーム会社を選ぶときも、希望した工事をそのまま進めるだけでなく、暮らし方まで確認して提案してくれるかを見ておくと安心です。
まとめ
使わない部屋をなくしてLDKを広げるリフォームは可能です。
ただし、壁や柱などの構造、電気や設備、収納、生活動線まで確認する必要があります。
特に気をつけたいのは、「広くなったのに使いにくい」という結果です。
部屋をなくす前に、収納は足りるか、LDKが通路にならないか、家具を置いた後も十分な広さがあるかを考えておきましょう。
そして、リフォーム会社には「なぜできますか?」「何が残りますか?」「暮らし方はどう変わりますか?」まで確認することが大切です。
これからの暮らしに本当に必要な空間を考えたうえで、使っていない部屋をLDKに取り込むか判断すると、後悔しにくいリフォームにつながります。
会社選びで迷う方へ
リフォームで失敗しないための知識は「青本・赤本」にまとめています。

※NHKでも紹介された冊子です
※累計100万部発行