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執筆:二級建築士 安藤勉
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「廊下のスペースがもったいない」
「ほとんど使っていない廊下をなくして、リビングや部屋を広くできる?」
このような間取りの悩みは、廊下を隣の部屋に取り込むリフォームで解決できる可能性があります。
ただし、廊下は単なる「余ったスペース」ではありません。
廊下は、玄関から各部屋とつなぐ通路として使われています。間取りによっては廊下を無くすと、リビングを通らなければ移動できなくなるため、注意が必要です。
そのため、廊下をなくすリフォームでは、「廊下をなくした後も暮らしやすいか」を考えることが大切です。
この記事では、廊下をなくして部屋を広くする方法と、間取り変更の前に確認したいポイントを解説します。
廊下をなくして部屋を広くできる?
結論からいうと、廊下をリビングなどの居住スペースに取り込むことは可能です。
例えば、廊下とリビングの間にある壁を撤去して、廊下だった部分をリビングとして使う方法です。
一点、注意しなければならないのは、例えば
玄関 → 廊下 → 洗面所
という動線を、
玄関 → リビング → 洗面所
に変更するようなケースです。
この場合、リビングが通路になります。
廊下をなくすリフォームでは、家全体の動線を組み直せるかが重要になってきます。
廊下をなくす前に確認したい4つのこと
廊下を部屋に取り込む前に、まず現在の間取りを確認しましょう。
廊下はどの部屋へ行くために使われているか
最初に確認したいのが、廊下を誰がどこへ移動するために使っているかです。
例えば、
・玄関からリビングへ行く
・玄関からトイレへ行く
・寝室から洗面所へ行く
・2階へ上がる
など、家族が普段どのように廊下を使っているかを書き出してみます。
廊下をなくすことで、これらの移動がリビングを通ることになるなら、家具の配置やプライバシーにも影響します。
「廊下がなくなったら誰がどこを通るのか」を考えることが重要です。
廊下にあるドアをどうするか
廊下には、各部屋のドアが面していることがあります。
廊下をなくす場合、それらのドアの位置も見直す必要があります。
例えば、寝室のドアがリビング側に直接開く間取りにすると、家族が集まっている場所を通らなければ寝室へ行けなくなることがあります。
ドアの位置を変更する場合は、壁の新設や建具の変更なども必要になります。
廊下をなくすだけでなく、各部屋への出入り方まで含めて考えることが大切です。
玄関から室内が見えすぎないか
廊下をなくして玄関とリビングを直接つなぐ間取りにすると、玄関からリビングが丸見えになってしまう場合があります。
家族だけなら気にならなくても、来客時にはリビングを見られたくないこともあります。
その場合は、完全に開放するのではなく、家具や建具、部分的な壁などで視線を調整する方法もあります。
廊下にあった収納をどうするか
廊下に収納がある場合は、廊下をなくすことで収納まで減ってしまう可能性があります。
例えば、掃除機や日用品などを収納していた場所がなくなると、リフォーム後に物の置き場に困ることがあります。
廊下を部屋に取り込むなら、収納も一緒に計画することが大切です。
廊下をなくして部屋を広くする3つの方法
廊下をなくす方法は、家の間取りによって異なります。
代表的なのは次の3つです。
廊下とリビングを一体化する
廊下とリビングの間にある壁を撤去して、廊下だった部分をリビングに取り込む方法です。
廊下とリビングが隣接している場合に検討しやすい方法です。
ただし、廊下を通っていた人の動線がリビング内に移るため、家具の配置まで考える必要があります。
廊下をダイニングに取り込む
廊下に隣接しているのがダイニングなどの場合は、廊下の一部をその空間に取り込む方法もあります。
例えば、壁を移動してダイニング側を広げることで、テーブルを置きやすくする方法です。
「廊下を全部なくす」のではなく、必要な通路幅を残して部屋を広げる考え方もあります。
間取り変更で動線をまるごと変更する
間取りを大きく変更できる場合は、廊下そのものをなくし、リビングなどを家の中の移動経路として使う方法もあります。
ただし、この方法では「リビングが新しい廊下になる」可能性があります。
例えば、玄関から洗面所やトイレへ行く人が、毎回リビングを通るような間取りです。
廊下の面積を減らすことだけを目標にせず、家族がどこを通るのかを図面上で確認しておきましょう。
リフォーム会社は現地で何を確認する?
廊下をなくせるかどうかは、間取り図だけでは判断できないことがほどんどです。
リフォーム会社には、実際の建物を確認してもらいましょう。
撤去する壁や柱の役割
廊下と部屋の間にある壁が、単なる間仕切りなのか、構造上重要な壁なのかを確認します。
柱や梁、耐力壁などが関係している場合は、撤去方法や補強方法の検討が必要です。
間取り変更では、柱・梁・耐力壁などの構造条件によって変更できる範囲が変わります。
「廊下だから撤去できる」とは限らない点に注意しましょう。
配線や設備の位置
廊下には、照明やスイッチ、コンセントなどが設置されていることがあります。
壁を撤去する場合、それらの位置変更が必要になることがあります。
また、廊下に収納や設備がある場合は、それらをどこへ移すのかも考えます。
間取り変更では、壁だけでなく電気や設備まで含めて確認することが重要です。
床や天井の仕上がり
廊下とリビングで床材が違う場合、壁を撤去した部分に境目が残ることがあります。
また、天井の高さや仕上げが異なる場合もあります。
そのため、「壁をなくした後、床と天井はどう仕上げるのか」まで確認しておきましょう。
廊下をなくせば「広くなった」と感じるとは限らない
廊下の面積をリビングなどに取り込めば、数字上の面積は増えます。
しかし、実際の暮らしでは、必ずしも広く感じるとは限りません。
その理由は、通路として必要なスペースが残るからです。
例えば、リビングの中央を玄関から洗面所へ向かう動線として使う場合、その部分には家具を置きにくくなります。
結果として、「リビングは広くなったけれど、ソファの前を人が頻繁に通る」ということも考えられます。
そのため、間取りを考えるときは、家具を置くだけでなく、家族が実際に歩く経路まで図面に書き込んでみると分かりやすくなります。
廊下をなくすときに見落としやすいこと
間取り図だけでは気づきにくいポイントもあります。
トイレや洗面所への行きやすさ
廊下をなくしてリビングを通路にすると、トイレや洗面所へ行くたびにリビングを横切ることがあります。
家族が集まっている時間帯や来客時には、不便に感じる可能性があります。
特に夜間にトイレへ行く家族がいる場合は、寝室からトイレまでの動線も確認しましょう。
生活音やプライバシー
廊下をなくすと、部屋同士の距離が近くなります。
リビングのテレビの音や会話が寝室まで届きやすくなることもあります。
反対に、個室からリビングが近くなることで、家族の気配を感じやすくなるという面もあります。
「開放感」と「プライバシー」のどちらを重視するか、家族で考えておくと安心です。
冷暖房の効き方
廊下だった空間までリビングに取り込むと、空調する範囲が広くなります。
現在のエアコンをそのまま使えるのか、能力や設置位置を見直した方がよいのか確認しておきましょう。
将来の暮らし方
今は夫婦2人で暮らしていても、将来、親との同居や来客などで部屋が必要になる可能性があります。
一度なくした廊下を元に戻すのは簡単ではありません。
今だけでなく、数年後の使い方まで考えておくと、間取り変更の判断がしやすくなります。
「廊下をなくせます」と言われたら何を確認する?
リフォーム会社から「廊下をなくせます」と提案された場合は、次のことを聞いてみましょう。
「廊下をなくした後、玄関から各部屋へどう移動しますか?」
「リビングが通路になりませんか?」
「撤去する壁や柱に構造上の問題はありませんか?」
「収納は減りませんか?」
「廊下にある照明やスイッチ、コンセントはどうしますか?」
「トイレや洗面所への動線はどう変わりますか?」
「床や天井の仕上げはどうなりますか?」
「廊下を全部なくす以外に、部分的に減らす方法はありますか?」
特に重要なのは、「廊下をなくした後、人がどこを通るのか」を図面やパースなどで説明してもらうことです。
廊下をなくすこと自体はできても、その代わりにリビングが通路になるなら、当初の目的である「広くて使いやすい部屋」とは違う結果になるかもしれません。
工事が可能かだけでなく、完成後の生活まで説明してくれるかを確認しましょう。
実際にリフォームを進めるときは、どの会社に依頼するかも大切です。
会社選びでまず確認したい4つのポイントをまとめています。
会社選びで大切なことを順番に知りたい方は、こちらをご覧ください。
間取り変更の見積りで確認したいこと
廊下をなくすリフォームでは、壁の撤去だけで工事が終わるとは限りません。
例えば、
・壁の撤去
・柱や梁の補強
・床の補修
・天井の補修
・壁紙の張り替え
・ドアや建具の変更
・照明やスイッチの移設
・コンセントの移設
・収納の新設
などが必要になる場合があります。
そのため、見積りを見るときは「廊下をなくす工事はいくらか」だけでなく、その結果として必要になる工事まで含まれているかを確認しましょう。
複数の会社から見積りを取る場合も、同じ工事範囲になっているかを確認しないと、金額だけでは比較できません。
間取り変更の見積りについては、【見積りの確認方法】も参考になります。
廊下をなくすなら「面積」より「動線」を見る
廊下をなくして部屋を広くするリフォームは、限られた住宅の面積を有効に使う方法の一つです。
ただし、廊下には「人が移動する」という役割があります。
そのため、廊下をなくすときに一番確認したいのは、「なくした廊下を、誰がどこを通るようになるのか」です。
リビングを通路にするのか。
別の場所に新しい動線をつくるのか。
廊下の一部だけを部屋に取り込むのか。
この違いによって、リフォーム後の暮らしは大きく変わります。
また、構造、収納、ドア、照明、コンセント、床、天井なども確認が必要です。
「廊下をなくして広くする」という方法だけにこだわらず、家族の動きに合わせて間取り全体を見直してみましょう。
リフォーム会社を選ぶときも、なくした後の動線やデメリット、別の方法まで提案してくれるかを確認すると依頼先を判断しやすくなります。
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