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執筆:二級建築士 安藤勉
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「リビングをもう少し広くしたい」
そう感じたとき、隣の部屋を取り込むリフォームが選択肢になります。
例えば、リビングに隣接する和室や洋室との間仕切りをなくし、一つの空間として使う方法です。
ただし、隣の部屋を取り込めるかどうかは、壁を撤去できるかだけでは決まりません。
壁の中に柱や筋交いが入っていたり、建物を支える構造壁だったりする場合があります。
また、壁を撤去できても、床の段差や収納、照明、エアコンなどを考えないと、広くなったのに使いにくいこともあります。
この記事では、隣の部屋を取り込んでリビングを広くする方法と、リフォーム会社に確認したいポイントを分かりやすく解説します。
隣の部屋を取り込んでリビングを広くできる?
結論からいうと、隣の部屋との間仕切りをなくして、リビングを広げられるケースはあります。
特に、部屋を仕切るためだけにつくられた間仕切り壁であれば、撤去できる可能性があります。
一方で、見た目だけでは「撤去できる壁」かどうか判断できません。
木造住宅では、壁の中に柱や筋交いが入っていることがあります。
柱が上階などからの荷重を受けている場合は、柱を撤去する代わりに梁などで補強する工事が必要になることもあります。
実際の施工事例でも、間仕切り壁と柱を撤去した後、梁を新設して補強し、別の場所に耐力壁を設けています。
マンションも同じです。
柱と梁で建物を支えるラーメン構造では間仕切り壁を変更しやすい一方、壁で建物を支える壁式構造では、構造壁を撤去できない場合があります。
そのため、
「隣の部屋とつながっているから、壁を壊せる」
とは考えないことが大切です。
まずは、壁が建物の中でどんな役割を持っているのかを確認しましょう。
隣の部屋を取り込む3つの方法
リビングを広くする方法は、壁をすべて撤去するだけではありません。
家の構造や、これからの暮らし方によって選択肢が変わります。
壁を撤去して一つの部屋にする
もっとも分かりやすいのが、リビングと隣室の間にある壁を撤去する方法です。
隣室が和室なら、畳をフローリングに変更してリビングと一体化する方法です。
完全につながった広い空間にしたい場合に向いています。
壁の一部を残して開放感を出す
壁をすべてなくさず、一部を残して空間をつなげる方法もあります。
例えば、構造上残す必要がある柱などを活かしながら、開口部を広げる方法です。
完全な一体化が難しい場合でも、視線や動線をつなげることで、以前より広く感じられることがあります。
「壁を全部なくしたい」と決める前に、どこまで開けられるかを確認すると選択肢が広がります。
引き戸で「広くも分けても」使う
「普段は広いリビングにしたいけれど、必要なときは隣室として使いたい」という場合は、引き戸などを使う方法があります。
扉を開ければ一体的な空間として使い、閉めれば個室として使えます。
実際に、リビングと隣室の間に大きな引き戸を設け、開けたときは一続きの空間として使える施工事例があります。
将来、客間や仕事部屋などとして使う可能性があるなら、完全に部屋を取り込む前に検討したい方法です。
リフォーム会社は現地で何を確認する?
「壁を撤去できるか」は、リフォーム会社に現地で確認してもらう必要があります。
ここでは、見た目だけでは分からない確認ポイントを紹介します。
柱や筋交いが入っていないか
木造住宅の場合、壁の中に柱や筋交いが入っていることがあります。
特に柱を撤去する場合は、上からの荷重をどのように支えるのか検討が必要です。
施工事例では、撤去した柱の代わりに梁を新設して補強しています。
そのため、「この壁は取れますか?」だけでなく、
「柱や筋交いはありませんか?」
「撤去する場合、どのように補強しますか?」
まで確認すると判断しやすくなります。
耐力壁ではないか
耐力壁とは、地震や風などの力に抵抗するための壁です。
耐力壁を減らす場合は、建物全体のバランスを考える必要があります。
場合によっては、別の場所に耐力壁を設けるなどの対応が必要になります。
マンションでは、壁式構造の構造壁が撤去できないケースもあります。
配線や設備が通っていないか
壁の中には、電気配線などが通っていることがあります。
壁を撤去することで、コンセントやスイッチの移動が必要になる場合もあります。
隣室にエアコンや収納などがある場合は、それらをどうするかも確認します。
壁だけでなく、周辺の設備まで含めて計画することが大切です。
広くした後に困らないために確認したいこと
壁を撤去できると分かっても、すぐに工事を決めるのはおすすめできません。
「広くなった後の暮らし」を考える必要があります。
床は自然につながるか
リビングがフローリングで、隣室が和室なら、床の仕上げが異なります。
また、部屋の間に敷居があり、床に段差がある場合もあります。
和室を取り込む施工では、フローリングに変更して段差を解消した事例もあります。
壁をなくすだけでなく、床をどうつなげるのか確認しましょう。
収納は減らないか
隣室に押し入れやクローゼットがある場合、それもリビングに取り込むことがあります。
部屋が広くなっても、収納が減れば物を置く場所に困るかもしれません。
「何畳広くなるか」だけでなく、「収納をどこに残すか」も考えておきましょう。
家具を置いても使いやすいか
リビングが広くなった後、
- ソファはどこに置くか
- テレビはどこに置くか
- ダイニングテーブルは置けるか
- 通路は十分確保できるか
を考えてみます。
面積が増えることと、暮らしやすくなることは同じではありません。
現在使っている家具を置いた状態まで想像しておくと、完成後の失敗を減らせます。
エアコンや照明は足りるか
部屋が広くなると、エアコンの空調範囲も変わります。
これまで隣室と別々に使っていた場合は、エアコンの台数や位置を見直す必要が出ることがあります。
照明も同様です。
一つの大きな空間にするなら、照明の位置や数もリフォーム後の家具配置に合わせて考えましょう。
費用や工事期間は何で変わる?
隣の部屋を取り込むリフォームは、「壁を撤去する費用」だけでは考えにくい工事です。
例えば、
- 間仕切り壁の撤去
- 柱や梁の補強
- 耐力壁の追加
- 床の張り替え
- 壁紙や天井の補修
- 建具の変更
- 照明やコンセントの変更
- 収納の新設
- エアコンの移設や追加
など、必要な工事によって費用や工期が変わります。
実際、壁と柱の撤去だけでなく、梁による補強、耐力壁の新設、クロス張り替えなどを組み合わせが必要です。
一方、間仕切り壁の撤去と床・クロスの補修を中心に行った事例では、工事内容を絞って施工しているケースもあります。
そのため、相見積りで比較するときは総額だけでなく、「壁の撤去以外に、どんな工事が含まれているか」を確認することが重要です。
「広くできます」と言われたら何を確認する?
リフォーム会社から「隣の部屋は取り込めますよ」と言われたら、次のことを確認してみましょう。
「この壁は構造上、撤去して問題ありませんか?」
「柱や筋交いは入っていませんか?」
「撤去する場合、補強は必要ですか?」
「床や天井はどこまで補修しますか?」
「隣室の収納は残せますか?」
「エアコンや照明は変更した方がよいですか?」
「壁を全部撤去する以外の方法はありますか?」
特に大切なのは、「できます」という結論だけで終わらせないことです。
例えば、構造上柱を残す必要があるなら、「柱を残したまま部屋をつなげる」という方法も考えられます。
また、完全に一つの部屋にする必要がなければ、引き戸でつなげる方法もあります。
希望するリフォームをそのまま工事するだけでなく、家の状態に合わせて複数の方法を説明してくれるかどうかは、リフォーム会社を見るときの判断材料になります。
実際にリフォームを進めるときは、どの会社に依頼するかも大切です。。
会社選びでまず確認したい4つのポイントをまとめています。
会社選びで大切なことを順番に知りたい方は、こちらをご覧ください。
まとめ:リビングを広くするなら「壁」だけを見ない
隣の部屋を取り込んで、リビングを今より広くできる可能性はあります。
ただし、確認するのは壁だけではありません。
まず、
- 壁や柱が構造上どんな役割を持つか
- 床を自然につなげられるか
- 収納をどうするか
- 家具を置いた後も使いやすいか
- エアコンや照明をどうするか
を考えます。
そして、完全に一つの部屋にする方法だけでなく、一部を残したり、引き戸で仕切ったりする方法も比較しましょう。
大切なのは、「リビング広くする」ことではなく、どうリフォームしたら快適なリビング空間になるか?から考えることです。
リフォーム会社には、リビングを広くするために必要な条件、構造上の理由や補強方法、代替案まで説明してもらいましょう。
そのうえで、見積りの内容や工事範囲を比較すると、リフォームで失敗を防ぎやすくなります。
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