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執筆:二級建築士 安藤勉
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家を建てて10年、15年ほど経つと、ハウスメーカーから、
「そろそろ外壁塗装が必要です」
と案内されることがあります。
ところが、見積りを見て、
「外壁塗装って、こんなに高いの?」
「近所の塗装会社なら、もっと安いと聞いたけど……」
「でも、他社に頼んだら家の保証が切れるのでは?」
と迷われる方もいらっしゃるでしょう。
私たちは20年以上、全国のリフォーム会社の調査や、お客様からのご相談に携わってきました。
その中でも、ハウスメーカーで建てた方から、
「外壁塗装の見積りが思った以上に高かった」
「他社で塗装すると保証に影響すると言われた」
といったご相談をいただくことがあります。
結論からいうと、ハウスメーカーの保証内容を確認したうえで、信頼できる塗装専門店とも比較してみることをおすすめします。
外壁塗装は、必ずしも家を建てたハウスメーカーへ依頼しなければならない工事ではありません。
この記事では、ハウスメーカーと塗装専門店の違いを、費用・工事・保証の面から分かりやすく解説します。
ハウスメーカーの外壁塗装はなぜ高い?
ハウスメーカーへ外壁塗装を依頼すると、地域の塗装専門店などと比べて見積りが高くなることがあります。
理由の一つは、工事を行う仕組みの違いです。
ハウスメーカーが外壁塗装を受注しても、実際の施工は協力会社や下請けの塗装会社が行うケースがあります。
ハウスメーカーは、お客様との打ち合わせや工事管理、アフターサービス、保証などを行い、その費用も含めて工事代金を設定します。
また、大手ハウスメーカーでは、営業や設計、アフターサービスなど、会社全体を維持するための費用も必要です。
一方、塗装専門店へ直接依頼すれば、お客様 → 塗装専門店という比較的シンプルな形になります。そのため、同程度の塗料や工事内容でも、価格に差が出ることがあります。
もちろん、ハウスメーカーの価格が高いから悪いということではありません。
住宅の仕様を把握していることや、工事管理、アフターサービスなど、ハウスメーカーへ依頼するメリットもあります。
大切なのは、価格差だけを見るのではなく、工事内容や保証、アフターサービスまで含めて比較することです。
ハウスメーカーと塗装専門店の違い
大まかな違いを整理すると、次のようになります。
| 比較 | ハウスメーカー | 塗装専門店 |
|---|---|---|
| 費用 | 高くなる傾向 | 抑えられることが多い |
| 得意分野 | 住宅全体を把握 | 外壁・屋根塗装を専門に扱う |
| 施工 | 協力会社などが施工することも | 自社施工・直接施工の会社も多い |
| 安心感 | 建てた会社という安心感 | 会社によって差がある |
| 保証 | 住宅全体の保証との関係を確認 | 塗装工事の保証が中心 |
| 注意点 | 保証条件・価格を確認 | 技術力・保証・経営状態を確認 |
ハウスメーカーには、「家を建てた会社へそのまま任せられる」という安心感があります。
一方、塗装専門店は外壁や屋根の塗装を日常的に行っているため、塗料や施工方法について詳しく、ハウスメーカーを介さず直接依頼することで費用を抑えられる可能性があります。
ただし、塗装専門店ならどこでも安心というわけではありません。
会社によって技術力や施工管理、保証内容などに差があるため、安さだけで選ばないことが大切です。
ハウスメーカー以外で外壁塗装すると保証は切れる?
ここを心配される方は多いと思います。
ハウスメーカーから、「他社で工事すると保証に影響します」などと説明されると、不安になりますよね。
ただし、他社で外壁塗装をしたら、住宅に関するすべての保証が自動的になくなる、と単純に考える必要はありません。
住宅の保証には、構造、防水、設備などさまざまなものがあり、保証内容や条件はハウスメーカーによって異なります。
そこで確認していただきたいのが、
「他社で外壁塗装をした場合、具体的にどの保証が、どのような理由で対象外になるのか」
という点です。
「保証が切れます」と言われただけで判断せず、保証書や保証約款を確認し、分からない場合は具体的に説明してもらいましょう。
長期保証だから安心とは限りません
ハウスメーカーでは、
「30年保証」
「60年保証」
など、独自の長期保証を設けていることがあります。
長期間保証されると聞くと安心ですが、注意したいのは保証を延長するための条件です。
長期保証の中には、一定の時期に点検を受け、必要と判断された有料のメンテナンス工事を行うことが、保証延長の条件になっているものがあります。
つまり、
何もしなくても30年、60年保証してもらえる
とは限りません。
もちろん、住宅を長持ちさせるために必要なメンテナンスを行うこと自体は大切です。
ただし、
「保証を延長するためには今回の工事が必要です」
と言われた場合は、少し立ち止まって考えてみましょう。
確認したいのは、
- 何が保証されるのか
- いつまで保証されるのか
- 保証延長の条件は何か
- 今回の工事は本当に必要なのか
- 今後もどのような有料メンテナンスが必要になるのか
という点です。
例えば、保証を維持するために今後数百万円の有料メンテナンスが必要になるのであれば、
「その保証には、それだけの費用をかけて維持する価値があるのか」
という視点でも考えてみるとよいでしょう。
保証期間の長さだけでなく、保証によって得られる安心と、保証を維持するための費用の両方を見ることが大切です。
ハウスメーカーの見積りが高いと感じたら比較してみましょう
ハウスメーカーから外壁塗装の見積りをもらい、
「少し高い気がする」
と思ったら、すぐに契約する必要はありません。
信頼できる塗装専門店にも建物を見てもらい、見積りを比較してみる方法があります。
ただし、総額だけを比べるのはおすすめできません。
同じ「外壁塗装」でも、
- 塗料の種類
- 塗装する範囲
- 塗装回数
- 下地処理
- シーリング工事
- 付帯部分の塗装
- 足場
- 保証内容
などが違えば、金額も変わります。
例えば、
「ハウスメーカーは200万円、塗装専門店は140万円だから塗装専門店の方が安い」
というだけでは、正確な比較にはなりません。
何をどのように施工する見積りなのかを確認して比較することが大切です。
結局、ハウスメーカーと塗装専門店どちらがおすすめ?
ハウスメーカーには、
- 建物のことを把握している
- 窓口が分かりやすい
- 大手ならではの安心感がある
というメリットがあります。
一方、塗装専門店には、
- 外壁や屋根の塗装を専門にしている
- 施工する職人との距離が近い会社も多い
- 費用を抑えられる可能性がある
というメリットがあります。
そのため、最初からどちらか一方に決める必要はありません。
まずはハウスメーカーへ、
「他社で塗装した場合、どの保証に影響するのか」
を確認してみましょう。
そのうえで、信頼できる塗装専門店にも相談し、工事内容・金額・保証を比較することをおすすめします。
外壁塗装だけで考えれば、信頼できる塗装専門店へ直接依頼する方法は、費用と工事内容のバランスを取りやすい有力な選択肢だと思います。
ただし、ハウスメーカーより安いという理由だけで塗装会社を決めるのはおすすめできません。
大切なのは、安心して工事を任せられる塗装会社を見つけることです。
ハウスメーカー以外へ外壁塗装を頼む場合、「では、どの塗装会社なら安心して任せられるの?」 と迷われる方もいらっしゃると思います。 外壁塗装では、見積りの金額だけでなく、塗料と工事内容、保証、工事後の対応まで確認して会社を選ぶことが大切です。 契約前に確認していただきたいポイントを、こちらで分かりやすくまとめています。
依頼する会社を検討する際は、外壁塗装全体の進め方も知っておくと安心です。現地調査から見積り、会社選び、契約、工事完了までの流れはこちらでまとめています。
→ 外壁塗装は何から始める?
よくある質問
Q1.ハウスメーカー以外で外壁塗装をすると保証は切れますか?
一概には言えません。
ハウスメーカーの保証にはさまざまな種類があり、他社で外壁塗装をした場合にどの保証へ影響するかは、会社や契約内容によって異なります。
「他社で工事すると保証が切れます」と言われた場合は、何の保証が、なぜ対象外になるのかを保証書や保証約款で確認しましょう。
Q2.ハウスメーカーの外壁塗装はどのくらい高いですか?
建物の大きさや外壁の状態、使用する塗料、補修内容などによって異なるため、一概に何万円高いとは言えません。
ハウスメーカーでは、実際の施工を協力会社などが行い、工事管理やアフターサービスなどの費用も含まれるため、塗装専門店へ直接依頼する場合より高くなることがあります。
金額だけでなく、塗料・塗装範囲・下地処理・シーリング・保証など、工事内容をそろえて比較することが大切です。
Q3.ハウスメーカーの家でも塗装専門店に頼めますか?
多くの場合は相談できます。
ただし、ハウスメーカーの住宅には、難付着性サイディング※1など塗装に注意が必要な外壁材や、目地にガスケット※2が使われている住宅など、独自の仕様が採用されていることがあります。
こうした住宅では、外壁材や目地の仕様を正しく確認し、それに合った塗料や施工方法を選ぶことが大切です。
塗装専門店へ依頼する場合は、ハウスメーカー住宅の施工経験があり、外壁材や目地の仕様まで確認したうえで施工方法を説明できる会社を選ぶと安心です。
※1 難付着性サイディング
表面に汚れ防止などの特殊なコーティングが施され、塗料が密着しにくいサイディングです。塗装する場合は、外壁の種類を確認し、適した下塗り材を使用する必要があります。
※2 ガスケット
外壁材の継ぎ目などに使用されるゴム状の目地材です。一般的なシーリングとは異なるため、状態や材質に合わせた施工が必要です。
Q4.ハウスメーカーの長期保証は残した方がいいですか?
保証内容と、保証を維持するために必要な費用を確認してから判断することをおすすめします。
長期保証の中には、定期点検や指定された有料メンテナンスを行うことが延長の条件になっているものがあります。
「30年保証」「60年保証」という年数だけを見るのではなく、何が保証されるのか、保証を維持するために今後いくらかかるのかまで確認しましょう。
Q5.ハウスメーカーと塗装専門店、どちらで見積りを取ればいいですか?
迷っている段階なら、両方から見積りを取って比較してみるとよいでしょう。
ただし、総額だけを比較するのではなく、塗料、施工範囲、下地処理、シーリング、付帯部分、保証などの違いも確認してください。
同じような工事内容で比較することが、適正な価格を判断するポイントです。
まとめ
ハウスメーカーへ外壁塗装を依頼するメリットは、家を建てた会社ならではの安心感や、窓口を一本化できることです。
一方、実際の施工を協力会社などが行う場合には、塗装専門店へ直接依頼するより費用が高くなることがあります。
また、
「長期保証があるから」
「他社で工事すると保証が切れるから」
という理由だけで依頼先を決めるのもおすすめできません。
まず、
- 何の保証なのか。
- 他社で塗装すると、どの保証に影響するのか。
- 保証を維持するために何が必要なのか。
- そのために今後どのくらいの費用がかかるのか。
を確認してみましょう。
そのうえで、ハウスメーカーと信頼できる塗装専門店の見積りや工事内容を比較すれば、自分に合った依頼先を選びやすくなります。
外壁塗装は決して安い工事ではありません。
「家を建てた会社だから」という理由だけで決めず、費用・工事内容・保証を確認し、納得できる会社へ依頼することが大切です。
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