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急な階段を緩やかにできる?古い家の階段リフォーム

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執筆:二級建築士 安藤勉
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「昔の家なので、階段が急で下りるのが怖い」
「年齢を重ねて、階段の上り下りが負担になってきた」
「階段をつくり直して、もっと緩やかにできないだろうか?」

古い戸建て住宅では、階段の1段が高かったり、足を載せる部分が狭かったりして、上り下りしにくいことがあります。

急な階段は、段数を増やす、階段のスペースを広げることで緩やかにできる場合があります。

ただし、必ず緩やかにできるわけではありません。

また、階段をつくり直すには、周囲の壁や柱、2階の床に影響することもあります。

この記事では、古い家の急な階段を緩やかにする方法、必要なスペース、工事前に確認しておきたい注意点を解説します。

急な階段を緩やかにするには、何を変える必要がある?

階段の急さは、主に1段の高さと、足を載せる部分の奥行きによって決まります。

まずは、現在の階段のどこに問題があるのか確認しましょう。

1段の高さを低くする

階段の1段の高さを「蹴上げ(けあげ)」といいます。

蹴上げが高い階段は、1段上るたびに足を大きく持ち上げなければなりません。

特に足腰に負担を感じる方にとっては、上り下りが大変になることがあります。

蹴上げを低くするには、1階から2階までの高さが同じなら、基本的に段数を増やす必要があります。

例えば、1階から2階までの高さが280cmの場合、蹴上げを計算すると次のようになります。

段の高さを分ける数1段の高さ
12約23.3cm
1420cm
1617.5cm

高さ280cmを均等に分けた計算例です。実際の階段では最上段と2階床の関係などを含めて設計します。

段数を増やせば、1段ごとの高さを低くできます。

ただし、段数を増やすと、その分だけ階段が長くなりやすくなります。

足を載せる部分を広くする

階段の足を載せる水平部分の奥行きを「踏面(ふみづら)」といいます。

踏面が狭い階段では、足全体を載せにくく、特に下りるときに不安を感じることがあります。

踏面を広げれば、足を置ける部分が増えます。

ただし、踏面を広げると、階段全体に必要な長さも増えます。

現在の階段スペースに余裕がない場合は、隣の廊下や部屋の一部を利用する必要が生じることがあります。

急な階段を根本的に改善するには、蹴上げを低くすることと、踏面を広くすることを組み合わせて検討するのが基本です。

急な階段を緩やかにするリフォームの方法

階段の勾配を変える方法は、現在の階段の形や周囲の間取りによって異なります。

1. 階段を長くして段数を増やす

現在の階段を撤去し、段数を増やして長い階段につくり直す方法です。

例えば、一直線に上がる階段で、1階の上り口付近に余裕がある場合は、階段を延ばせる可能性があります。

段数を増やすことで1段の高さを低くし、踏面も確保しやすくなります。

ただし、階段を長くすると、廊下や隣の部屋のスペースを使う必要があります。

また、階段の形によっては、2階の床の開口部を広げなければならないこともあります。

階段の上り口に余裕があるだけでは、必ず工事できるわけではありません。

2. 隣の廊下や部屋を使って階段を広げる

階段の周囲に廊下や収納、使っていない部屋がある場合は、その一部を階段スペースに取り込む方法があります。

例えば、階段の隣に押入れがあれば、押入れを撤去して階段を延ばせる可能性があります。

ただし、押入れや部屋との間にある壁が、建物を支える耐力壁になっている場合は、簡単に撤去できません。

また、階段を広げた結果、廊下が狭くなったり、部屋の出入り口が使いにくくなったりすることもあります。

階段だけでなく、周囲の生活動線も確認する必要があります。

3. 折り返し階段に変更する

一直線の階段を、途中で方向を変える折り返し階段に変更する方法です。

階段を同じ方向へ長く延ばせない場合でも、途中で向きを変えることで必要な段数や踏面を確保できる可能性があります。

また、途中に平らな踊り場を設ければ、方向転換する際に足を置けるスペースを確保できます。

ただし、折り返し階段は、一直線の階段より必ず省スペースになるわけではありません。

階段を折り返すための幅や踊り場が必要になるため、既存の階段スペースでは収まらないこともあります。

また、階段の方向を変えることで、2階の降り口の位置も変わる場合があります。

4. 階段の形を変更して上り下りしやすくする

現在の階段が途中で大きく曲がる形になっている場合は、曲がり部分を見直す方法があります。

例えば、曲がり部分に三角形の段が連続している階段では、足を置ける幅が場所によって異なります。

この部分を平らな踊り場に変更できれば、方向転換しやすくなる場合があります。

ただし、踊り場を設けるにはスペースが必要です。

既存の階段と同じ範囲では収まらず、階段全体の段数や形を変更しなければならないこともあります。

また、曲がり部分だけを変更しても、階段全体の勾配が緩やかになるとは限りません。

急な勾配そのものを改善したい場合は、階段全体を含めて検討する必要があります。

今の階段と同じスペースで緩やかにできる?

急な階段をリフォームする際、特に気になるのが設置スペースです。

「壁を壊さず、今の階段と同じ場所で緩やかにしたい」と考える方もいるでしょう。

しかし、現在の階段スペースに余裕がなければ、大幅に緩やかにすることは難しい場合があります。

なぜ階段を緩やかにすると長くなるの?

1階から2階までの高さが変わらない場合、1段の高さを低くすると、段数を増やす必要があります。

さらに、足を載せる部分を広くすると、階段全体の長さも必要になります。

例えば、1階から2階までの高さが280cmある住宅で、次の2つの階段を比較してみましょう。

階段の勾配と必要な長さの比較例

比較項目改修前改修後
蹴上げ約23.3cm17.5cm
踏面20cm25cm
踏面の数1115
水平長さ約220cm約375cm

1階から2階までの高さ280cmの仮想例です。直階段の水平部分のみを比較したもので、踊り場や上下階の通路は含みません。実際の設計寸法ではありません。

この例では、改修後の方が階段の水平長さが約155cm長くなります。

つまり、階段を緩やかにするには、今より広いスペースが必要になることが分かります。

ただし、実際の住宅では階段の形や階高によって必要な寸法が変わります。

2階の床を広げたり、開口したりする場合がある

階段を長くすると、上り下りする際に必要な頭上の空間も変わります。

そのため、階段の上にある2階の床が邪魔になる場合があります。

この場合は、2階の床を一部開口したり、梁を補強したりする工事が必要になることがあります。

ただし、2階の床や梁を自由に切断できるわけではありません。

建物の構造によっては、階段を希望する形に変更できないこともあります。

古い家の階段をリフォームするときの注意点

築年数の経った住宅では、階段本体だけでなく、周囲の構造や劣化の状態にも注意が必要です。

階段を支える壁や柱を撤去できない場合がある

階段を広げるために周囲の壁を撤去したい場合、その壁が耐力壁かどうか確認する必要があります。

耐力壁とは、地震や風による力に抵抗する壁です。

階段の周囲にも、筋交いなどが入った耐力壁が設けられていることがあります。

また、階段の近くにある柱が、2階や屋根の重さを支えている場合もあります。

こうした部分を撤去すると、住宅の強度に影響するおそれがあります。

壁や柱を残したまま階段を改修できるか、別の部分を補強する必要があるかを検討します。

古い階段の下地が傷んでいることがある

古い木造住宅では、階段の踏板や階段を支える木材が劣化している場合があります。

階段を歩いたときに大きくきしむ、踏板がたわむといった状態であれば、下地の確認が必要です。

特に、階段下に湿気がこもっている場合などは、木材の腐食が発生している可能性もあります。

階段の勾配を変更する工事では、既存の階段を撤去することが多いため、解体後に下地の補修が必要になる場合があります。

段の高さが途中で変わらないようにする

階段では、1段ごとの高さがそろっていることも重要です。

例えば、階段の一部だけを改修し、特定の段だけ高くなったり低くなったりすると、足を踏み外す原因になることがあります。

特に、1階の床や2階の床を張り替える場合は、階段の最初と最後の段の高さが変わることがあります。

階段のリフォームでは、途中の段だけでなく、上下階の床との取り合いまで確認する必要があります。

階段の幅や手すりも確認する

階段の勾配を緩やかにしても、幅が狭すぎると使いにくい場合があります。

また、手すりがない階段では、足元が不安定になったときに体を支えにくくなります。

手すりを取り付ける場合は、使いやすい高さと、しっかり固定できる壁の下地を確認しましょう。

階段をつくり直すなら、勾配だけでなく、幅や手すりの配置も一緒に検討することが大切です。

階段を緩やかにする場合の建築基準法の基準は?

階段をつくり直す場合は、建築基準法に定められた寸法などの基準を確認する必要があります。

階段の蹴上げと踏面には基準がある

建築基準法施行令第23条では、一般的な戸建て住宅の屋内階段について、次のような寸法基準が定められています。

項目法令上の代表的な基準
階段の幅75cm以上
蹴上げ23cm以下
踏面15cm以上

これらは、一般的な住宅内階段に関する代表的な基準です。個々の住宅では適用条件や寸法の測り方なども確認する必要があります。

ただし、法律上の最低限の寸法を満たしていることと、上り下りしやすいことは同じではありません。

例えば、踏面が15cmあっても、足の大きさや体の状態によっては狭く感じる場合があります。

階段をつくり直す際は、法令に適合させるだけでなく、家族にとって無理のない勾配や踏面を検討しましょう。

階段の架け替えでは建築確認が必要になる場合がある

2025年4月から、2階建て木造戸建て住宅などで大規模な修繕・模様替えを行う場合には、建築確認手続きが必要になっています。

国土交通省は、階段の架け替え工事を、こうした大規模なリフォームに該当する例として挙げています。

そのため、古い階段をすべて撤去して新しくつくり直す場合は、建築確認申請の要否を事前に確認することが重要です。

一方、手すりの設置や滑り止めの取り付けなど、階段の一部を改善する工事が直ちに建築確認の対象になるわけではありません。

実際の判断は建物の規模や工事範囲などによって異なるため、計画段階で建築士などに確認してもらいましょう。

✓ 会社選びで大切なこと

実際にリフォームを進めるときは、どの会社に依頼するかも大切です。

会社選びでまず確認したい4つのポイントをまとめています。

急な階段を緩やかにするリフォームの費用は何で変わる?

階段の勾配を変更する費用は、現在の階段をどこまで解体し、周囲の間取りをどの程度変更するかによって変わります。

工事内容費用が変わる主な理由
既存階段の解体・撤去階段の形状、周囲の壁や仕上げ材
新しい階段の設置段数、形状、材料、手すり
階段スペースの拡張隣の壁や収納の撤去、構造補強
2階の床の改修開口部の変更、梁の補強
内装工事壁・床・天井の補修範囲
設計・申請構造検討や建築確認手続きの要否

例えば、今の階段スペースを利用して勾配を改善できる場合と、隣の部屋まで取り込んで階段をつくり直す場合では、必要な工事が異なります。

また、古い階段の解体後に木材の腐食などが見つかれば、予定していなかった補修工事が必要になることもあります。

見積もりを依頼する際は、階段本体の費用だけでなく、周囲の壁や床の補修、必要な構造補強まで含まれているか確認しましょう。

階段を緩やかにできない場合の改善方法

周囲に十分なスペースがない場合や、建物の構造上、階段の勾配を変更できない場合もあります。

その場合でも、現在の階段を使いやすくする方法があります。

手すりを新しく取り付ける

手すりがない階段や、片側にしか手すりがない階段では、使いやすい位置への追加を検討できます。

ただし、手すりは体重をかけることがあるため、壁の下地に確実に固定する必要があります。

また、両側に手すりを付ける場合は、階段の通行幅が狭くならないか確認しましょう。

踏板に滑り止めを取り付ける

階段の踏板が滑りやすい場合は、滑り止め材を取り付ける方法があります。

特に、靴下で階段を利用する住宅では、踏板の表面が滑りやすく感じられることがあります。

ただし、滑り止め材が浮いたり、端部がめくれたりすると、かえってつまずく原因になる場合があります。

製品の仕様に合わせて適切に取り付けることが大切です。

階段の照明を改善する

階段の段差が見えにくい場合は、照明を改善する方法があります。

例えば、階段の上部だけでなく、足元にも光が届くように照明を配置する方法です。

また、段の先端が分かりにくい場合は、踏板との色の違いが分かる滑り止め材などを使う方法もあります。

階段の勾配自体は変わりませんが、段差を認識しやすくすることで、踏み外しの危険を減らすことにつながります。

階段昇降機を設置する

階段の上り下りが身体的に難しい場合は、階段昇降機の設置を検討する方法もあります。

階段昇降機とは、階段に沿って設置したレールを利用し、座った状態で上下階を移動する設備です。

ただし、階段の幅や形状によっては設置できないことがあります。

また、昇降機を設置すると、家族が階段を歩いて利用する際のスペースにも影響するため、事前の確認が必要です。

急な階段をリフォームする前に確認したいこと

急な階段を緩やかにしたい場合は、まず現在の階段の寸法と、周囲に利用できるスペースがあるかを確認しましょう。

特に、次の点が重要です。

  1. 現在の階段の蹴上げと踏面は何cmか
  2. 階段の幅と、1階から2階までの高さはどのくらいか
  3. 階段の上り口や周囲に広げられるスペースがあるか
  4. 階段の周囲に撤去できない柱や耐力壁がないか
  5. 2階の床や梁の変更が必要になるか
  6. 新しい階段の勾配や段数はどう変わるか
  7. 建築確認申請が必要になるか
  8. 工事中に2階へ安全に移動できるか

リフォーム会社には、次のように質問すると、工事内容を比較しやすくなります。

「この階段を緩やかにするには、段数を何段増やす必要がありますか?」
「階段を延ばすために、どのくらいのスペースが必要ですか?」
「壁や柱を撤去せずに改善できる方法はありますか?」
「2階の床や梁を変更する必要がありますか?」
「階段をつくり直せない場合、ほかにどのような改善方法がありますか?」

現在の階段と改修後の階段について、蹴上げ・踏面・勾配を図面で比較してもらうことが大切です。

階段の形がどう変わるのか、周囲の部屋にどの程度影響するのかも確認しましょう。

急な階段を緩やかにするリフォームのよくある質問

Q1. 古い家の急な階段は、段数を増やすだけで緩やかにできますか?

段数を増やすことで、1段あたりの高さを低くすることはできます。

ただし、段数を増やすと階段全体が長くなりやすいため、設置スペースに余裕が必要です。

また、足を載せる部分が狭いままでは、上り下りしにくさが十分に改善されない場合があります。

蹴上げを低くすることと、踏面を広くすることを合わせて検討しましょう。

Q2. 急な階段をリフォームする際、壁を壊さずに緩やかにできますか?

既存の階段スペースに余裕があれば、周囲の壁を大きく壊さずに勾配を改善できる可能性があります。

ただし、現在の階段が限られたスペースに設けられている場合は、段数を増やすための長さを確保できないことがあります。

その場合は、隣の廊下や収納などを利用する必要が生じます。

また、壁を壊さなくても、階段本体の解体や内装補修は必要になる場合があります。

Q3. 階段の勾配を緩やかにするリフォームは、介護保険の対象になりますか?

介護保険の住宅改修では、条件を満たす方について、手すりの取り付けや段差の解消などが給付対象となる場合があります。

ただし、階段全体を解体して、勾配を緩やかにする工事がそのまま介護保険の対象になるとは限りません。

一方、階段の勾配を緩和する工事は、一定の要件を満たす場合、住宅のバリアフリー改修に関する税制上の優遇措置の対象として扱われることがあります。

制度によって対象工事や申請条件が異なるため、工事を契約する前に自治体や担当窓口へ確認しましょう。

まとめ|急な階段を緩やかにするには、段数と設置スペースの確認が重要

古い家の急な階段は、段数を増やしたり、踏面を広くしたりすることで、緩やかにできる場合があります。

ただし、階段の勾配を改善するには、現在より広い設置スペースが必要になることが多くなります。

そのため、階段の周囲に廊下や収納などの余裕があるか、2階の床や梁を変更できるかが重要です。

また、古い住宅では階段を支える木材が傷んでいる場合もあるため、構造や劣化の状態を確認する必要があります。

階段をつくり直すことが難しい場合でも、手すりや滑り止め、照明などを改善する方法があります。

まずは、今の階段のどこが使いにくいのかを整理しましょう。

1段の高さが高いのか、足を載せる部分が狭いのか、曲がり部分が怖いのかによって、適した工事が変わります。

リフォーム会社に依頼する際は、現在と改修後の階段の寸法を比較し、必要な工事と安全性について説明してもらうことが大切です。

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