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階段の位置は変えられる?間取り変更で動かすときの注意点

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執筆:二級建築士 安藤勉
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「廊下の階段をリビングの中に移動したい」
「階段の位置を変えて、1階の間取りを使いやすくしたい」

階段は、建築後の住宅でも別の場所に移動できる場合があります。ただし、希望する場所に自由に設置できるわけではありません。

階段を移動するには、新しい設置場所を確保するだけでなく、2階の床に開口部を設け、必要に応じて梁や床の補強を行う必要があります。

また、現在の階段を撤去した場所も、床や天井をつくり直さなければなりません。

この記事では、階段の位置を変更する方法、移動できる条件、構造上の注意点、工事前に確認したいことを解説します。

階段を移動できるか判断する3つの条件

階段の移動では、新しい場所に階段が収まるかだけでなく、建物の強度や2階の間取りに問題がないかが重要です。

特に次の3つを確認する必要があります。

1. 新しい階段を設置するスペースがある

階段には、1階から2階まで安全に上り下りできる長さと幅が必要です。

必要なスペースは、階段の形や1階と2階の高さによって変わります。

例えば、一直線に上がる直階段と、途中で方向を変える折り返し階段では、必要な床の形が異なります。

また、階段本体が収まっても、その前後に十分な通路がなければ使いにくくなります。

新しい階段の位置を検討する際は、階段本体の寸法だけでなく、1階と2階の出入り口や廊下の位置も確認しましょう。

2. 柱や耐力壁が階段の妨げにならない

新しい階段を設ける場所に、柱や耐力壁がある場合もあります。

耐力壁とは、地震や風による横方向の力に抵抗する壁のことです。

階段を設けるためにこれらを撤去すると、建物の強度に影響するおそれがあります。

特に木造住宅では、柱や筋交い、構造用の面材などが建物を支えている場合があります。

階段の位置を変更するために、これらを自由に撤去することはできません。

必要な強度を確保できるか検討したうえで、階段の位置を調整したり、別の場所を選んだりすることになります。

3. 階段→廊下→各部屋につなげられるか?

新しい階段の上り口が1階に収まっても、2階の降り口が適切な位置になければ使いにくくなります。

2階の部屋に直接つながらないように、間取り変更が必要になります。

階段から、それぞれの部屋につながる廊下にデッドスペースができないプランを考えましょう。

階段は1階の間取りだけで決めず、2階の各部屋への移動も考えて計画する必要があります。

階段を移動するときに特に注意したい工事

階段の移動は、一般的な間仕切り壁の変更とは異なり、上下階にまたがる工事になります。

新しく階段を設ける場所だけでなく、古い階段を撤去する場所にも注意が必要です。

2階の梁を切断できるとは限らない

階段を移動するために2階の床を開口する際、梁が邪魔になることがあります。

梁は、床や上階の重さを支える重要な部材です。

階段の開口部をつくるために梁を切断すると、床の強度や建物全体の構造に影響する場合があります。

補強によって対応できることもありますが、すべての住宅で可能とは限りません。

特に、梁の配置や寸法が分からない状態で床を切り開くことは避ける必要があります。

工事前には、既存図面や現地調査で梁の位置を確認し、必要な構造検討を行います。

階段の上に十分な頭上の高さが必要

階段は、平面図で必要なスペースを確保できても、それだけでは設置できません。

階段を上るときに、頭が天井や梁にぶつからない高さが必要だからです。

特に、階段の途中から2階の床が張り出すような位置関係では、頭上の空間が不足する場合があります。

そのため、階段の形と2階の床の開口位置を合わせて検討する必要があります。

図面上で階段が収まっていても、実際に安全に上り下りできる高さが確保できなければ、設置場所や階段の形を変更しなければなりません。

工事中は2階が使えないことも

階段を撤去する工事では、工事期間中の2階への移動方法も問題になります。

新しい階段が完成する前に古い階段を撤去すると、2階へ安全に出入りできなくなります。

また、2階の床を開口する工事では、転落防止などの安全対策も必要です。

住みながらリフォームを行う場合は、工事の順序や生活への影響を事前に確認しましょう。

工事内容によっては、一時的に仮住まいに引っ越す場合もあります。

階段の移動では、階段の幅・勾配にも注意する

階段の位置を変える際は、今の階段より急になったり、幅が狭くなったりしないよう注意が必要です。

建築基準法には階段の寸法に関する基準がある

建築基準法施行令第23条では、住宅の階段について、次のような寸法基準が定められています。

項目一般的な戸建て住宅の階段の基準
階段の幅75cm以上
蹴上げ(1段の高さ)23cm以下
踏面(足を載せる奥行き)15cm以上

ただし、これらは最低限の法的基準であり、この寸法なら誰にとっても上り下りしやすいという意味ではありません。

特に、踏面(ふみづら )が狭く蹴上げ(けあげ)が高い階段は、足を踏み外す危険につながります。

新しい階段を設ける際は、法令への適合だけでなく、日常的な上り下りのしやすさも考えることが大切です。

階段の勾配を急にしてスペースを節約しない

階段を小さなスペースに収めようとすると、1段の高さが高くなったり、足を載せる部分が狭くなったりすることがあります。

こうした階段は、特に下りる際に使いにくくなる場合があります。

また、荷物を持って上り下りするときにも負担が増えます。

階段を移動する目的が間取りを広くすることでも、階段自体の使いやすさを犠牲にしないことが重要です。

回り階段に変更する場合は足元に注意する

限られたスペースに階段を設けるため、途中で方向を変える回り階段を採用することがあります。

回り階段は、曲がる部分の踏面が扇形になるため、内側と外側で足を載せられる奥行きが異なります。

特に、曲がる部分の内側は踏面が狭くなりやすいため注意が必要です。

階段の形を決める際は、上り下りの動作を考慮し、手すりの位置も合わせて検討しましょう。

階段の位置変更には建築確認申請が必要?

階段を移動する工事では、建築確認申請が必要になる場合があります。

ただし、階段を移動する工事だからといって、必ず必要になるわけではありません。

2025年4月から、2階建ての木造戸建て住宅でも、主要構造部の過半を改修する大規模な修繕・模様替えを行う場合は、建築確認手続きが必要になっています。

建築基準法上の主要構造部には、壁、柱、床、梁、屋根、階段が含まれます。

階段の移動だけで必ず建築確認が必要になるわけではない

例えば、階段の一部を変更する工事と、主要構造部の過半に及ぶ改修では、法令上の扱いが異なります。

ただし、階段の移設では、既存階段の撤去に加えて、2階の床や梁の改修が必要になる場合があります。

そのため、階段だけでなく、関連する構造部分をどの程度改修するか確認する必要があります。

また、確認申請が不要な場合でも、建築基準法に適合した安全な工事を行う必要があります。

間取りを大きく変更する場合は事前に確認を

階段の移動と同時に、壁や床などを広い範囲で改修する場合は、建築確認の対象となる可能性があります。

また、住宅の構造や築年数、既存の図面の有無によって、調査や設計で確認する内容も変わります。

階段移設の計画段階で、建築士に建物の構造と建築確認の要否を確認してもらうことが重要です。

階段を移動するリフォームの費用は何で変わる?

階段の移動費用は、新しい階段本体の価格だけでは決まりません。

2階の床を開口する工事や、古い階段を撤去した場所の復旧なども必要になるためです。

主に費用に影響する工事は、次のとおりです。

工事内容費用が変わる主な理由
既存階段の撤去階段の形状、周囲の壁や床の状態
新しい階段の設置階段の種類、寸法、材料
2階床の開口梁の位置、必要な構造補強
古い階段部分の床復旧床組みの新設、仕上げ材
間取り変更間仕切り壁の撤去・新設、建具の変更
内装工事床・壁・天井の補修範囲
設計・申請構造検討、建築確認手続きの要否

例えば、既存の階段の近くに新しい階段を設ける場合でも、梁の補強や床の改修が必要になれば工事範囲が広がります。

一方、階段を離れた場所に移動する場合でも、構造上の制約が少なく、上下階の間取りを変更しやすければ、計画を進めやすいことがあります。

つまり、階段を何メートル移動するかよりも、建物のどの部分に手を加える必要があるかが重要です。

見積もりを依頼する際は、階段の新設費用だけでなく、古い階段の撤去、床の復旧、構造補強、内装仕上げまで含まれているか確認しましょう。

階段を移動する前に確認したいこと

階段の移動を検討する場合、まずは現在の間取りの何を改善したいのか整理することが大切です。

例えば、リビングを広げたい場合と、2階への移動を便利にしたい場合では、適した階段の位置が異なります。

工事前には、次の点を確認しましょう。

  1. 階段を移動する目的は何か
  2. 新しい階段を設けたい場所に十分なスペースがあるか
  3. 2階の床を開口できる構造になっているか
  4. 梁や柱、耐力壁に影響しないか
  5. 新しい階段の幅や勾配を適切に確保できるか
  6. 2階の廊下や各部屋への移動が不便にならないか
  7. 古い階段を撤去した場所を何に使うか
  8. 建築確認などの手続きが必要か
  9. 工事中も自宅で生活できるか

特に、既存住宅の図面が残っている場合は、リフォーム会社に見せると構造を確認する際の参考になります。

ただし、図面があっても実際の建物が図面どおりとは限りません。必要に応じて、現地調査や天井・床の一部を開けて確認する調査が必要になります。

リフォーム会社には、次のような質問をしてみましょう。

「階段を移す場合、建築確認申請は必要ですか?」
「新しい階段は、今の階段より急になりませんか?」
「1階と2階の両方で、どの程度の間取り変更が必要ですか?」
「見積り以外で、追加が発生することはありませんか?」

階段移設では、間取りの提案だけでなく、構造や安全性について具体的に説明してもらうことが重要です。

✓ 会社選びで大切なこと

実際にリフォームを進めるときは、どの会社に依頼するかも大切です。

会社選びでまず確認したい4つのポイントをまとめています。

階段を移動できない場合の代替案

建物の構造や間取りによっては、階段を希望する場所に移動できない場合があります。

そのようなときは、階段の位置を変えずに不便さを改善する方法も検討しましょう。

階段の向きや形を変更する

階段全体を離れた場所へ移動しなくても、上り始める向きや階段の形を変更することで、間取りを改善できる場合があります。

例えば、階段の上り口を変更することで、廊下の使い方や部屋への動線が改善する可能性があります。

ただし、向きを変える場合も、2階の床の開口位置や階段の勾配との関係を確認する必要があります。

階段まわりの壁を見直す

階段がリビングを狭く感じさせている場合は、階段の位置を変えずに周囲の間仕切り壁を変更する方法があります。

例えば、構造上重要でない壁を撤去し、階段まわりを開放的にする方法です。

ただし、壁を撤去すると、階段からの転落を防ぐための手すりや柵が必要になることがあります。

また、上下階への音の伝わり方や冷暖房への影響も考慮しましょう。

階段下のスペースを有効活用する

階段の位置が邪魔になっていると感じても、階段下の空間を使えていないだけの場合もあります。

例えば、階段下に収納を設けたり、収納の位置を変更したりすることで、部屋全体の使い勝手を改善できることがあります。

ただし、階段下には構造部材や配線などがある場合があります。

収納をつくる際も、階段を支える部材に影響しないか確認が必要です。

→階段下を収納にできる?使える家・使いにくい家の違い【3分で読む】

階段を移動せずに隣接する部屋の間取りを変える

階段の位置を変える目的がリビングの拡張であれば、周囲の部屋の間取り変更で解決できる場合もあります。

例えば、リビングと隣の和室を一体化することで、階段を移動せずに広い空間を確保できる可能性があります。

ただし、間仕切り壁の撤去には構造上の制約があるため、工事前の確認が必要です。

階段の移動は工事範囲が大きくなりやすいため、ほかの方法で目的を達成できないか比較してみましょう。

階段の位置変更リフォームのよくある質問

Q1. 木造2階建て住宅の階段は、後から別の場所へ移動できますか?

木造2階建て住宅でも、構造上の条件が合えば階段を移動できる可能性があります。

ただし、新しい階段を設ける場所に十分なスペースがあり、2階の床を開口できることが必要です。

また、梁や柱、耐力壁に影響する場合は、構造補強が必要になったり、希望する場所への移動が難しくなったりすることがあります。

まずは1階と2階の間取り図をもとに、家の構造に詳しい建築士に確認してもらいましょう。

Q2. 階段を移動すると、2階の部屋は狭くなりますか?

新しい階段を設置する場所によっては、2階の部屋や廊下が狭くなる場合があります。

例えば、2階の寝室の一部を階段の降り口に変更する場合、その分だけ部屋として使えるスペースが減ります。

一方、古い階段を撤去した場所に床を新設すれば、別の場所で使える床が増える可能性もあります。

階段移動後の1階と2階の間取りを、両方確認することが大切です。

Q3. 階段の移動リフォームは、住みながら工事できますか?

工事の内容や順序によっては、住みながら階段を移動できる場合があります。

ただし、既存階段を撤去する期間や2階の床を開口する期間は、安全に移動できなくなる可能性があります。

また、工事中は大きな音やほこりが発生するほか、階段まわりへの立ち入りを制限する必要があります。

新しい階段を先に設置できるか、工事中も2階を使用できるかなどを確認しましょう。

安全な生活動線を確保できない場合は、工事期間中の仮住まいを検討する必要があります。

まとめ|階段の移動は1階と2階の構造を確認して判断する

階段は、建築後の戸建て住宅でも別の場所に移動できる場合があります。

ただし、新しい階段を設けるには、2階の床を開口し、必要に応じて梁や床を補強する工事が必要です。

また、現在の階段を撤去した場所にも床を新設するなど、上下階にまたがる工事になります。

特に重要なのは、次の3つです。

  • 新しい階段を設置できるスペースがあるか
  • 2階の梁や柱、耐力壁に問題がないか
  • 移動後も安全で使いやすい階段にできるか

階段を移動することで、リビングを広げたり、部屋の配置を変更したりできる可能性があります。

一方、階段の勾配が急になったり、2階の部屋が使いにくくなったりするなら、移動しない方がよい場合もあります。

まずは、階段を移動することで何を改善したいのか整理しましょう。

そのうえで、建物の構造を確認し、階段を移動する方法と、現在の位置を活かして間取りを改善する方法を比較することが大切です。

リフォーム会社に依頼する際は、間取りの提案だけでなく、構造補強や階段の安全性、建築確認まで説明してもらいましょう。

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