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執筆:二級建築士 安藤勉
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「キッチンが不便な場所にあるから移動したい」
「キッチンが暗いから、何とかしたい」
毎日使うキッチンだからこそ、快適に使える場にしたいところです。
たとえば、壁付けキッチンを対面式にしたり、キッチンを隣の部屋へ移したりすることも可能です。
ただし、どこへでも自由に移動できるわけではありません。
今回は、キッチンを移動できる距離の考え方と、配管で注意したいポイントを分かりやすく解説します。
キッチンの移動で一番重要なのは排水管
キッチンの移動には、「何mまでなら可能」という一律の基準はありません。
同じ2mの移動でも、住宅の構造や床下の高さによって、できる場合と難しい場合があります。
キッチンには、給水、給湯、排水、電気、ガス、換気など、さまざまな設備がつながっています。
この中でも、場所を移動するときに特に問題になりやすいのが排水です。
給水や給湯、電気や空調ダクトは、配管や配線を延ばすことで、位置の変更が可能です。一方、排水管は、きちんと流れるように勾配(こうばい)を取らなければなりません。
そのため、移動距離が長くなるほど、排水管を通すためのルートと、高さが必要になります。
つまり、キッチンを移動できるかどうかは、単純な距離ではなく「移動先まで排水をどう通すか」で考えることが大切です。
排水管の距離が長くなると何が問題?
たとえば、キッチンを現在の位置から離れた場所へ移動するとします。
新しい位置から排水管を床下に通し、既存の排水管へ接続することになります。
このとき、配管の距離が長くなるほど、必要な高さ、勾配を確保しなければなりません。
床下に十分な空間があれば対応できますが、床下が低い住宅では、排水管のルートを確保できないことがあります。
その場合は、
- 床を一部高くする
- キッチンの位置を少し近づける
- 排水ルートを変更
- 移動先そのものを見直す
といった検討が必要になります。
「床を上げれば必ず移動できる」というわけでもありません。床の高さが変わることで、段差や天井の高さにも影響するためです。
戸建てとマンションでは条件が違う
キッチンの移動は、戸建てとマンションでも考え方が変わります。
戸建ての場合は、床下に十分な空間があれば、排水管のルートを確保しやすくなりますが、マンションでは、排水管やパイプスペースの位置が大きな制約になります。
特に、共用部のパイプスペースまでの距離が長くなると、排水の勾配を確保するために床を上げる工事が必要になります。
管理規約や構造によっても条件が変わるため、事前の確認が必要です。
キッチンを移動するときに確認したい5つのこと
リフォーム会社にキッチンの移動で相談するときは、次の5点を確認しましょう。
1.排水管を通せるか
キッチンを移動しても、排水に問題が発生しないか?まずは確認しましょう。
また古い戸建て住宅の場合、汚水桝にトラップが付いていることがあるため、うまく排水できないこともあります。
2.床を上げる必要がないか
排水管を通すために、床を高くする工事が必要になる場合があります。
その場合は、現在の床との段差がどうなるかも確認しましょう。
3.給水・給湯を移動できるか
水道だけでなく、お湯の配管も新しいキッチンまで移動する必要があります。
築30年以上経っている場合は、配管が劣化しているかもしれません。このままで大丈夫か?配管の引き直しをした方がいいか?アドバイスをもらいましょう。
4.レンジフードの排気をどうするか
キッチンには換気扇が付いています。新しい位置に移す場合、屋外までの排気ルートを確認します。
離れた場所に移動する場合は、ダクトのルートが工事の制約になることがあります。
5.電気やガスを移動できるか
IHなら電気、ガスコンロならガス配管も関係します。
電子レンジや食洗機などの使用も考え、必要なコンセントや電源容量も確認しておきましょう。
キッチンの移動は「距離」だけで決めない
キッチンの移動は「何mまで」という距離よりも、不具合なく排水が流れるか?使い勝手が良くなるかがポイントです。
特に重要なのが、排水管の勾配を確保できるか?床下の高さ、給水・給湯、換気ダクト、電気、ガス、住宅の構造なども確認が必要です。
見積りを取るときは、キッチン本体の価格だけでなく、配管や床、電気、換気などの付帯工事まで含めた金額を確認しましょう。
価格だけで工事会社を決めず、キッチンを移動した場合のメリットやデメリットをわかりやすく説明してくれる会社を選ぶことが重要です。
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