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執筆:二級建築士 安藤勉
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「家のことは自分でできるうちは自分でやりたい」そう考える人は少なくありません。
ただし、問題は「何歳までできるか」ではありません。
今はできている脚立作業や高い場所の掃除を、これからも安全に続けられるとは限らないからです。
私たちは20年以上、全国のリフォーム会社の調査や、お客様からのお悩み相談を受けてきました。
その経験をもとに、この記事では、50代、60代から考えておきたい「高い所に登らなくても家を維持できる」住まいのつくり方を解説します。
「何歳まで自分でやる?」に年齢の答えはない
家のメンテナンスを自分で行う年齢に、決まった基準はありません。
同じ60歳でも、体力や住まいの条件は人によって違います。
大切なのは年齢で線を引くことではなく、
「脚立に上る必要があるか」
「バランスを崩したときに安全に対応できるか」
「無理な姿勢になっていないか」
を考えることです。
消費者庁も、高所作業では脚立やはしごの使用を極力控え、年齢や体力を考慮して無理な作業をしないよう呼びかけています。
家のメンテナンスで「高い所」は意外と多い
家の中だけでも、高い場所の作業はいくつもあります。
- 高い窓の掃除
- 照明器具の交換
- エアコンの上部の掃除
- 収納棚の上の掃除
- 吹き抜けの照明や窓の掃除
屋外なら、
- 雨どいの掃除
- 外壁や軒天の確認
- 庭木の剪定
- 屋根まわりの点検
などがあります。
特に屋根や雨どいのように、脚立やはしごを使う作業は、「今までできたから」と続けるのではなく、専門業者に任せることをおすすめします。
過去の消費者庁の事故分析では、脚立・はしごからの転落事故で50歳以上が7割強を占め、庭木の剪定や屋根修理など住宅まわりの作業中に多く発生しています。
これからは「自分で直す」より「上らなくていい家」
50代・60代からの住まいでは、メンテナンスの方法そのものを変えるという考え方があります。
たとえば、「高い窓を脚立で掃除する」のではなく、「脚立を使わなくても手が届く窓にする」という発想です。
これは、メンテナンスを業者任せにするという話ではありません。
自分でできる作業は続けながら、危険な作業だけを減らしていく考え方です。
高い所の作業を減らす4つの方法
①手が届く高さに変える
収納棚や物干しなどは、使う人が無理なく手を伸ばせる高さを考えます。
「収納量を増やすために上まで使う」のではなく、「毎日使う物は無理なく取れる場所に置く」ことが重要です。
②掃除しやすい設備に変える
照明や換気設備なども、交換や掃除の方法まで考えて選びます。
高い場所に設置する設備ほど、「壊れたらどうするか」まで確認しておきましょう。
③外まわりは点検しやすくする
屋根や雨どいそのものを自分で修理するのではなく、外から状態を確認しやすい家にしておくことも大切です。
ただし、屋根に上って確認する必要はありません。
屋根や高所の点検・修理は、無理に自分で行わず専門業者に相談しましょう。
④「脚立を使う場所」をなくしていく
家の中を一度見回して、「ここは毎回、脚立を使っている」という場所を探してみましょう。
その場所こそ、リフォームで改善できる可能性があります。
物干し、収納、照明、窓など、日常的に使う場所ほど効果を感じやすくなります。
50代・60代のリフォームは「今」だけで決めない
リフォームでは、「今は問題ないから」と後回しにしがちです。
しかし、家は10年、20年と使い続けます。
今は脚立に上れるとしても、将来も同じように作業できるとは限りません。
だからこそ、
「今できるか」ではなく
「これからも無理なくできるか」
という視点で考えてみましょう。
特に毎年行う掃除や、定期的に必要になるメンテナンスは、先に負担を減らしておく意味があります。
リフォーム会社には「高い所が嫌」だけでなく具体的に伝える
リフォーム会社に相談するときは、
「年末の掃除で毎回、脚立を使っているから不安」
「照明の交換が自分では難しい」
「雨どいの掃除をどうするか不安」
など、実際に困っている作業を具体的に伝えましょう。
その内容が分かれば、設備の位置や収納の高さ、窓の選び方など、工事以外の方法も含めて検討できます。
大切なのは、「これから自分で続けられない作業は何か」を整理してから、必要な部分だけリフォームすることです。
まとめ|「何歳まで」ではなく「上らなくていい家」へ
家のメンテナンスを自分で行うのは何歳まで、という明確な答えはありません。
大切なのは、年齢や体力に合わせて、危険な高所作業を少しずつ減らしていくことです。
特に脚立やはしごを使う作業は、今できることだけを基準にせず、将来も安全に続けられるかを考えてみましょう。
リフォームをするときも、「何を新しくするか」だけでなく、「将来、自分でできなくなる作業は何か」から考えると、長く暮らしやすい家につながります。
リフォーム会社を選ぶときも、将来の負担を改善する提案まで考えてくれる会社か確認することが大切です。
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