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執筆:二級建築士 安藤勉
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「今は2階の寝室でも困っていない」
「でも、年齢を重ねたら階段が負担になるかもしれない」
50代、60代になると、そんなことを考える機会が増えてきます。
今は問題なく階段を上り下りできても、将来も同じように生活できるとは限りません。
そこで選択肢になるのが、寝室を1階に移すことです。
寝室を1階に移せば、階段を使わずに寝室へ行けるようになります。
ただし、1階に寝室をつくれば必ず暮らしやすくなるとは限りません。
トイレや浴室までの距離、断熱性、防犯、収納なども考える必要があります。
この記事では、50代・60代のうちに考えておきたい「1階の寝室」について解説します。
寝室を1階に移すメリット
階段を使わずに寝られる
最大のメリットは、寝室へ行くために階段を使わなくてよくなることです。
現在は問題なくても、将来、階段の上り下りが負担になる可能性があります。
1階に寝室があれば、生活の中心を1階にまとめやすくなります。
夜間の移動が楽になる
夜中にトイレへ行くとき、2階の寝室から階段を下りる必要がなくなります。
特に夜間は照明が暗く、寝起きで足元が不安定になることもあります。
寝室とトイレを近づけておけば、夜間の移動を短くできます。
将来の生活を考えやすい
寝室を1階に移すことで、
「寝るためだけに2階へ上がる」
という生活を減らせます。
将来的に1階だけで暮らす必要が生じた場合にも、対応しやすくなります。
寝室を1階に移すデメリットもある
一方で、1階を寝室にすることで、リビングなどの生活スペースが狭くなる場合があります。
例えば、1階に空いている部屋がなく、LDKの一部を寝室に変更すると、家族が集まる場所が狭くなる可能性があります。
また、1階は道路や隣家からの視線が気になったり、防犯面への配慮が必要になったりすることもあります。
「1階なら安心」と決めつけず、実際の家の環境を確認することが大切です。
1階のどこを寝室にする?
1階に寝室をつくる場合、いくつかの方法があります。
和室を寝室にする
使っていない和室があるなら、寝室として活用できます。
畳の上に布団を敷く方法もありますが、ベッドを置きたい場合は、畳からフローリングへの変更を検討できます。
押し入れをクローゼットに変更すれば、衣類も収納しやすくなります。
空いた子ども部屋を活用する
子どもが独立して、1階に使っていない部屋があるなら、寝室に変更する方法があります。
ベッドを置き、収納や照明を見直すだけでも寝室として使いやすくできます。
ただし、子どもの荷物が残っている場合は、リフォーム前に本人と相談しておきましょう。
間取りを変更する
1階に適した部屋がない場合は、間取り変更によって寝室をつくる方法もあります。
例えば、使っていない和室とリビングを見直して、寝室スペースを確保する方法です。
ただし、壁を撤去する場合は注意が必要です。
壁の中には住宅の構造を支えているものもあるため、撤去できる壁なのかを専門家に確認する必要があります。
寝室からトイレまでの動線が重要
1階に寝室をつくるなら、部屋の広さだけでなく、トイレまでの距離を確認しましょう。
例えば、
「寝室は1階になったけれど、トイレは家の反対側」
では、せっかく寝室を移しても夜間の移動が長くなります。
できれば、
寝室 → トイレ
の移動を短くできる間取りが理想です。
さらに、洗面所や浴室までの動線も確認しておくと、将来の生活をイメージしやすくなります。
1階の寒さ・暑さも確認する
古い住宅では、1階が冬に寒く、夏に暑くなることがあります。
特に、これまであまり長時間過ごしていなかった部屋を寝室にする場合は注意が必要です。
確認したいのは、
- 窓から冷気が入らないか
- 床が冷たくないか
- 隙間風がないか
- 夏に暑くなりすぎないか
などです。
必要であれば、内窓を設置するなど、断熱性を高める工事も検討できます。
寝室は長時間過ごす場所だからこそ、間取りだけでなく室内の温熱環境も確認しましょう。
防犯とプライバシーにも配慮する
1階の寝室では、防犯面も忘れてはいけません。
道路や隣家から寝室が見えやすい場合は、カーテンや目隠しなどを検討しましょう。
窓の位置によっては、防犯対策が必要になることもあります。
特に、夜間に寝室の窓を開けることがあるなら、周囲の環境も確認しておきましょう。
50代・60代なら「今すぐ」ではなく将来を考える
「老後のために、今すぐ寝室を1階へ移したほうがいい」
とは限りません。
今、2階で快適に生活できているのであれば、無理に生活を変える必要はないでしょう。
大切なのは、将来、1階だけで暮らせる選択肢があるかを考えておくことです。
例えば、
「1階の和室を寝室にできる」
「トイレが寝室の近くにある」
「1階に収納を確保できる」
という状態なら、将来の生活を変えやすくなります。
まだ元気に階段を使える50代・60代だからこそ、余裕を持って考えることができます。
1階の寝室にするなら将来の使いやすさも考える
寝室をリフォームする際は、現在の使いやすさだけでなく、10年後、20年後も考えてみましょう。
例えば、
- ベッドの周囲に十分なスペースを確保する
- 夜間に足元を照らせる照明を設置する
- スイッチをベッドから操作しやすくする
- コンセントを使いやすい位置に設置する
- 必要に応じて手すりを設置できる下地を準備する
などです。
最初から「介護のための部屋」と考える必要はありません。
将来、使い方を変えられる余裕を残しておくことがポイントです。
すべてを一度にリフォームする必要はない
寝室を1階に移すために、大規模なリフォームが必要とは限りません。
例えば、
「空いている和室にベッドを置く」
「押し入れをクローゼットにする」
「照明を変更する」
といった小さな変更から始めることもできます。
一方で、1階に適した部屋がない場合は、間取り変更を検討することになります。
その場合は、耐震性や断熱性、水まわりの位置なども含めて計画しましょう。
今すぐ必要な工事と、将来に備える工事を分けて考えることが大切です。
まとめ
寝室を1階に移すことには、
- 階段を使わずに生活できる
- 夜間の移動が楽になる
- 将来の1階中心の生活に移行しやすい
というメリットがあります。
一方で、
- 1階の生活スペースが狭くなる
- 防犯やプライバシーへの配慮が必要
- 1階の寒さや暑さが気になる
などのデメリットもあります。
そのため、「老後だから1階に寝室を移す」と決めるのではなく、自分たちの家で1階に寝室をつくるメリットがあるかを考えることが重要です。
50代・60代なら、まだ階段を問題なく使える方も多いでしょう。
だからこそ、今すぐリフォームするかどうかではなく、
「将来、階段を使わずに生活できる間取りになっているか?」
を一度確認してみてはいかがでしょうか。
今は2階で寝ていても、将来は1階へ移れる。
そんな選択肢を残しておくことも、これからの住まいを考えるうえで大切なリフォーム計画です。
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