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執筆:二級建築士 安藤勉
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夜中に目が覚めて、トイレへ行く。
昼間は何とも思わない廊下でも、暗い中を歩くと「足元が見えにくい」「家具にぶつかりそう」と感じることがあります。
50代・60代からは、寝室だけでなく、寝室からトイレまでの道のりも一度確認してみましょう。
ポイントは、明るさだけではありません。
「ベッドから起きる→照明をつける→廊下を歩く→トイレに入る→寝室へ戻る」という一連の動作を、無理なく行えるかを見ることが大切です。
まず夜中のルートを実際に歩いてみる
夜間の動線は、昼間に見ても分かりにくいものです。
一度、夜に寝室からトイレまで実際に歩いてみましょう。
確認したいのは、
- ベッドから立ち上がった場所
- 寝室の出入口
- 廊下や曲がり角
- トイレの入口
- トイレから寝室へ戻る道
です。
「ここが暗い」「スイッチが遠い」「床に物がある」など、不便な場所を書き出してみましょう。
夜中の照明は「まぶしさ」と「足元」の両方を見る
夜中だからといって、廊下を昼間のように明るくする必要はありません。
むしろ、寝起きに強い光を浴びると、まぶしく感じて目が覚めてしまいます。
そこで考えたいのが、足元を確認できる程度の照明です。
例えば、
- 足元を照らす照明
- 人が通ると点灯するセンサーライト
- 廊下の常夜灯
- トイレの照明
などがあります。
大切なのは「明るい照明を増やす」ことではなく、「歩く場所が見えること」です。
ベッドで照明をつけられるようにする
夜中に目が覚めたとき、暗い部屋の中を歩いてスイッチを探すのは避けたいところです。
ベッドや枕元で操作できる照明を検討しましょう。
リフォームするなら、照明器具だけでなくスイッチの位置も確認します。
「寝室の入口にスイッチがあるから大丈夫」ではなく、「寝た状態から照明をつけられるか」という視点で考えると分かりやすくなります。
廊下は「物を置かない」が基本
夜中の動線で意外と見落としやすいのが、床にある小さな物です。
例えば、
- 小さな家具
- 電源コード
- 荷物
- マットや敷物
- 脱いだ衣類
などです。
昼間なら簡単に避けられても、暗い中では見つけにくくなります。
照明を増やす前に、寝室からトイレまでの床を一度空にしてみましょう。
それだけで歩きやすくなる場合があります。
トイレまでの「距離」より歩きやすさを見る
寝室とトイレが近ければ、それだけで安心とは限りません。
例えば、
「廊下が暗い」
「途中に段差がある」
「家具が通路にはみ出している」
「扉を開けると通路が狭くなる」
といった問題があれば、距離が短くても歩きにくくなります。
反対に、少し距離があっても、通路が明るく、障害物がなく、迷わず歩けるなら負担は変わります。
そのため、間取りを見るときは「何メートル離れているか」だけでなく、「どう歩くか」を確認しましょう。
扉は「夜中に開ける」ことまで考える
寝室やトイレの扉も確認したいポイントです。
夜中に、
- ドアノブが見つけにくい
- 扉を大きく開けないと通れない
- 開いた扉が通路をふさいでしまう
といったことがないか確認します。
必要であれば、扉の開き方やドアノブの種類を見直す方法もあります。
ただし、扉を交換することが目的ではありません。
「夜中にトイレへ行く」という実際の動作に問題があるかを見て、必要な部分だけ変更しましょう。
寝室とトイレを近づけるリフォームも選択肢
現在の寝室とトイレが離れていて、夜間の移動そのものが負担なら、間取り変更も選択肢になります。
ただし、50代・60代だからといって、すぐにトイレを寝室の隣へ移す必要はありません。
まず照明、家具、扉、段差などを確認し、それでも解決しない場合に間取り変更を検討しましょう。
「将来のため」より「今の不便」から考える
寝室の夜間動線を見直すとき、「将来介護が必要になったら」と考えすぎる必要はありません。
今でも、
「夜中は廊下が暗い」
「スイッチまで歩くのが面倒」
「トイレまでの段差が気になる」
という不便があるなら、それを解消することから始めればよいのです。
今の暮らしがラクになり、その結果として将来も使いやすい。
この順番で考えると、大がかりな工事をしすぎることも防げます。
リフォーム会社には具体的に伝える
リフォームを相談するときは、「廊下を明るくしたい」だけではなく、
「夜中にトイレへ行くとき、足元が暗い」
「ベッドから照明をつけられるようにしたい」
「トイレから戻るときも安全に歩きたい」
など、具体的な不満点を伝えましょう。
すると、照明だけでなく、スイッチ、扉、段差、家具の配置、必要なら間取りまで含めて考えてもらいやすくなります。
リフォーム会社を選ぶときも、希望した設備を付けるだけでなく、「家の中でどう動いているか」まで確認してくれる会社かを見ることが大切です。
まとめ|「夜中に歩く道」を一度確認してみる
50代・60代からの住まいでは、寝室やベッドだけでなく、夜中にトイレへ行く動線も見直してみましょう。
確認したいのは、
- ベッドから照明を操作できるか
- 足元が見えるか
- 床に物がないか
- 段差や扉に問題がないか
- トイレから寝室へ戻りやすいか
の5つです。
まずは一度、夜に実際のルートを歩いてみてください。
昼間には気づかなかった「暗い場所」や「歩きにくい場所」が見つかるかもしれません。
そして、照明が原因なら照明を、物の配置が原因なら家具を、扉が原因なら扉を見直す。
必要なところだけ変えることが、暮らしやすい家につながります。
リフォームをする場合も、「将来のために全部変える」のではなく、今の暮らしで困っていることを伝え、本当に必要な工事を一緒に考えてくれる会社を選びましょう。
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