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執筆:二級建築士 安藤勉
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「キッチンの収納が足りないので、床下収納をつくりたい」
「新築時にはつけなかったけれど、今からでも取り付けられる?」
このように、今ある床に収納スペースを増やしたいと考える方もいるでしょう。
床下収納は、建築後の住宅にも取り付けられます。ただし、どこにでも設置できるわけではありません。
床の下に収納庫を入れるスペースがあり、床を支える構造や配管などに問題がなければ、後付けできます。
一方、床下に十分な空間がなかったり、設置したい場所に動かせない配管があったりすると、取り付けが難しくなります。
この記事では、床下収納を後付けする方法、設置できる場所の条件、工事前に確認しておきたいポイントを解説します。
床下収納は今ある床に後付けできる
床下収納を後付けする場合、主に次の2つの方法があります。
床を切り開いて新しく設置する
床下収納がない住宅でも、床の一部を開口して、新しく収納庫を取り付ける方法があります。
設置場所の床材を収納庫のサイズにカットし、補強工事を行います。
開口部に収納庫の枠と収納庫を取り付けます。
ただし、床には建物や家具、人の重さを支えるための木材が組まれていますので、床を切れば収納庫を入れられる、というわけではありません。
床を支える木材の位置によっては、開口する場所を変更したり、周囲を補強したりする必要があります。
既存の床下点検口を収納として利用する
床下点検口がすでにある場合は、その開口部を利用して収納庫を取り付けられることがあります。
床下点検口とは、床下の配管や建物の状態を確認するために設けられた開口部です。
点検口のサイズに合う収納庫を取り付ければ、新しく床を切らずに収納を増やせる場合があります。
例えば、建材メーカーの城東テクノでは、一部の床下点検口に後から取り付けられる収納庫があります。
ただし、すべての点検口に対応するわけではありません。
既存の枠の種類や大きさ、床下の高さ、断熱仕様を確認する必要があります。
床下収納が設置できる4つの条件
床下収納を設置できるかどうかは、床の見た目だけでは判断できません。
特に重要なのは、次の4つの条件です。
1. 床下に収納庫が入る高さがある
床下収納を取り付けるには、床面から床下のコンクリートや地面まで、収納庫を納められるだけの高さが必要です。
必要な高さは製品によって異なります。
例えば、城東テクノの床下収納庫には、次のような製品があります。
| 収納庫の種類 | 床面から必要な高さ |
|---|---|
| 薄型タイプ | 19cm以上 |
| 浅型タイプ | 32cm以上 |
| 深型タイプ | 48cm以上 |
床下が浅い住宅でも、薄型の収納庫なら取り付けられる可能性があります。
ただし、収納庫が入る高さがあっても、配管や床を支える部材が邪魔になる場合があるため、注意が必要です。
2. 床を支える木材が邪魔にならない
木造住宅の床には、根太(ねだ)や大引(おおびき)と呼ばれる、床を支えるための木材が使われています。
床下収納を取り付ける際、これらの木材が開口予定の場所にあると、工事に影響します。
細い下地材であれば、必要な補強を行ったうえで開口できる場合があります。
しかし、大引きなどの重要な床組みを簡単に切断することはできません。
工事前には、床下の木材の位置と、開口後も床の強度を保てるかを確認することが重要です。
3. 配管や電気配線が通っていない
床下には、給水管、排水管、電気配線などが通っていることがあります。
設置予定の場所にこれらがあると、収納庫を入れるスペースが確保できない場合があります。
特にキッチンや洗面所では、水まわりの配管が近くを通っている可能性があります。
配管の位置を変更して対応できる場合もありますが、その分だけ工事範囲が広がります。
床下収納をつくるためだけに配管を移動するより、設置場所を少しずらした方が工事を抑えられることもあります。
4. 床下の湿気や断熱に問題がない
床下収納は、床下の環境にも影響を受けます。
床下に湿気が多い住宅では、収納庫の周囲に結露が発生したり、収納物が湿気の影響を受けたりするおそれがあります。
また、床下収納の開口部は、床の断熱性や気密性にも関係します。
断熱材が入っている床を開口する場合は、施工後も必要な断熱性能を確保できるか確認が必要です。
ただし、断熱型の点検口を使えば、どの住宅でも元の断熱性能を維持できるというわけではありません。
住宅の断熱方法と製品の仕様を合わせて確認しましょう。
キッチン・洗面所・廊下など、どこに設置できる?
床下収納はキッチンに設置するものという印象がありますが、条件が合えば他の場所にも取り付けられます。
ただし、部屋によって確認すべき点が異なります。
キッチン|収納しやすいが、配管と立ち位置に注意
キッチンは、床下収納の設置を検討しやすい場所です。
食品のストックや、普段あまり使わない調理器具などを収納できます。
ただし、シンクの近くには給排水管が通っている可能性があります。
また、調理中によく立つ場所に収納庫のふたがあると、足元の違和感やふたの開閉が気になることもあります。
設置場所を決める際は、配管の位置だけでなく、調理中の動きやすさも確認しましょう。
洗面所・脱衣所|湿気と床下配管を確認
洗面所や脱衣所にも、床下収納を設けられる場合があります。
洗剤のストックや、使用頻度の低い日用品の収納に利用できます。
ただし、洗面台や洗濯機の近くには、水道管や排水管が通っていることがあります。
また、浴室に近い場所では湿気への配慮も必要です。
収納物が湿気で傷まないか、床下収納の周囲に結露が生じないかを確認したうえで設置を検討します。
廊下|通行の邪魔にならない場所を選ぶ
廊下にも床下収納を設置できる可能性があります。
ただし、廊下は毎日通る場所です。
ふたの枠による段差や、歩いたときのきしみ、がたつきが生じないように施工する必要があります。
特に高齢の方が暮らす住宅では、足元のわずかな違いが気になることもあります。
また、廊下に収納庫を設置すると、荷物を出し入れする際に通路をふさぐことがあります。
設置できるかだけでなく、使いやすさまで考えて場所を選びましょう。
リビングや寝室|家具の配置も考えて判断する
リビングや寝室も、床下に必要な空間があれば設置を検討できます。
ただし、収納庫の上に重い家具を置くと、ふたを開けられなくなります。
家具を置いていない場所でも、生活動線上にあると開閉時に邪魔になる可能性があります。
床下収納は、設置した後も無理なくふたを開閉できる位置を選ぶことが大切です。
床下収納の後付けが難しいケース
床下収納はさまざまな場所に設置できますが、住宅の構造によっては工事が難しい場合があります。
床のすぐ下がコンクリートになっている
床材のすぐ下にコンクリートがある場合、収納庫を入れる深さを確保できません。
コンクリートを削ればよいと思うかもしれませんが、基礎や床のコンクリートには建物を支える役割がある場合があります。
収納庫をつくるために、こうした部分を安易に削ったり壊したりすることはできません。
床下に十分な空間がない場合は、別の収納方法を検討する必要があります。
床暖房が設置されている
床暖房がある部屋では、床材の下に温水配管や電気式の発熱部材が敷き込まれています。
その部分を切断すると、床暖房の故障や漏水につながるおそれがありますので、施工図面などで配管や発熱部材の位置を確認する必要があります。
床暖房のある床を、位置を確認せずに切り開くことは避けましょう。
床を支える重要な部材がある
収納庫を取り付けたい場所に、床を支える重要な木材が通っている場合があります。
補強によって対応できる場合もありますが、部材の種類や建物の構造によって判断が変わります。
設置場所を変更しても必要な空間が確保できない場合は、後付けを見送ることもあります。
床下収納を後付けするときの注意点
設置できる条件がそろっていても、工事後の使い勝手まで考えておく必要があります。
床材によっては補修した部分が目立つ
既存の床に収納庫を設置する場合、床材を切り開く工事が必要になります。
収納庫の周囲には専用の枠がつきますが、使用する製品や床材によって仕上がりは異なります。
また、床材の状態によっては、切断した部分の周囲を補修する必要があります。
既存の床材と同じ製品が手に入らない場合、色や木目の違いが目立つこともあります。
見た目を重視する場合は、収納庫周辺の床の張り替えも含めて検討しましょう。
収納する物の重さに注意する
床下収納庫には、製品ごとに耐荷重が決められています。
例えば、城東テクノの一部製品では収納庫の耐荷重が70kgとされています。
ただし、これはすべての床下収納に共通する数字ではありません。
収納庫本体の耐荷重と、ふたの耐荷重も同じとは限りません。
収納する物の種類や重さを考え、製品の仕様を確認してください。
床下収納があっても点検できるようにする
既存の床下点検口を収納庫に変更する場合は、点検口としての機能が残るか確認しましょう。
床下点検口は、配管の点検や床下の状態を確認するために使われます。
収納庫が取り外せる製品であれば、必要に応じて収納庫を外し、床下を点検できる場合があります。
工事前に、収納庫の取り外し方法と点検に必要な開口寸法を確認しておくことが大切です。
年齢を重ねても使いやすいか考える
床下収納には、床にかがんでふたを開け、収納物を持ち上げる動作が必要です。
重い物を入れると、取り出すときに腰や膝へ負担がかかる場合があります。
50代・60代で床下収納を検討するなら、今だけでなく、10年後、20年後にも使いやすいか考えておきましょう。
毎日使う物より、軽くて使用頻度の低い物を収納する方が使いやすい場合があります。
床下収納を後付けする前に確認したいこと
工事を依頼する前に、次の点を整理しておくと、リフォーム会社との打ち合わせが進めやすくなります。
確認チェックリスト
✅設置したい場所に床下点検口があるか
✅床下に収納庫を入れられる高さがあるか
✅床下に配管や電気配線がないか
✅床を支える木材を切らずに設置できるか
✅床暖房や断熱材に影響しないか
✅収納庫のふたを無理なく開けられるか
✅収納したい物の大きさと重さに合っているか
✅床材の補修や張り替えが必要になるか
床下の高さや配管の位置など、自分では分からない項目があっても問題ありません。
リフォーム会社に現地調査を依頼し、設置できるかどうかを確認してもらいましょう。
その際には、次のように質問すると判断しやすくなります。
「この場所に収納庫を設置する場合、床を支える木材に影響はありますか?」
「配管の移動や床の補強は必要ですか?」
「収納庫の周囲の床は、どこまで補修しますか?」
「設置した後も床下点検はできますか?」
工事内容によって費用も変わるため、収納庫本体の価格だけでなく、床の開口、補強、仕上げ補修などを含めた見積もりを確認してください。
床下収納が設置できない場合の代替案
床下収納を設置できない場合でも、別の方法で収納不足を解消できる可能性があります。
キッチンの収納棚や引き出しを見直す
キッチンの収納が足りない場合は、収納方法を変更することで改善できることがあります。
例えば、奥行きの深い収納棚に引き出し式の収納用品を取り付けたり、使っていない壁面に棚を設けたりする方法があります。
床を切る必要がないため、床下収納より工事範囲を小さくできる場合があります。
床下以外のデッドスペースを利用する
廊下や階段下などに使われていない空間があれば、収納スペースにできることがあります。
壁の厚みを利用した浅い収納や、階段下の収納なども選択肢です。
ただし、壁の中にも柱や筋交い、配線などがあるため、どこでも収納にできるわけではありません。
床下収納より取り出しやすい収納を選ぶ
収納したい物が日常的に使う物なら、床下収納にこだわらない方が使いやすいこともあります。
床下収納は、物を出し入れするたびにかがむ必要があります。
立ったまま取り出せる棚や引き出しの方が、年齢を重ねても使いやすい場合があります。
何を収納したいのか、どのくらいの頻度で使うのかを考えて、収納方法を選びましょう。
まとめ|床下収納の後付けは、床下の状態を確認してから判断する
床下収納は、建築後の住宅にも取り付けられます。
ただし、床下に収納庫が入る高さがあり、床を支える構造や配管、断熱などに問題がないことが条件です。
キッチンだけでなく、洗面所や廊下などにも設置できる可能性がありますが、場所ごとに注意点が異なります。
また、収納庫を取り付けられることと、日常生活で使いやすいことは別です。
収納したい物や出し入れの頻度も考えて、設置する場所や収納庫の種類を選びましょう。
工事を検討する際は、床下の構造を確認し、必要な補強や床材の補修まで説明してくれるリフォーム会社に相談することが大切です。
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