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執筆:二級建築士 安藤勉
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省エネやバリアフリー、耐震など一定のリフォームを行うと、所得税の控除や固定資産税の減額などを受けられる場合があります。
こうした制度を利用するときに必要になることがあるのが、
**「増改築等工事証明書」**です。
ところが、確定申告などのために工事をした会社へお願いすると、
「うちでは発行できません。」
と言われて困ってしまう方もいらっしゃいます。
私たちは20年以上、全国のリフォーム会社選びや、お客様からのご相談に携わってきました。
その中でも、
「確定申告で増改築等工事証明書が必要と言われた。」
「工事会社にお願いしたら、発行できないと言われた。」
「どこに頼めば発行してもらえるのか分からない。」
といったご相談をいただくことがあります。
「工事をした会社なのに、なぜ証明書を出せないの?」
と思われるかもしれません。
実は、増改築等工事証明書は、単に「リフォーム工事をしました」と証明する書類ではありません。
一定のリフォーム工事が、減税などの制度で定められた条件を満たしていることを、資格を持った建築士などが確認して証明するための書類です。
そのため、工事をした会社だからといって、必ず発行できるわけではありません。
ただし、工事会社から「発行できない」と言われても、慌てる必要はありません。
条件を満たしていれば、工事をした会社とは別の建築士事務所や検査機関などへ証明を依頼できる場合があります。
増改築等工事証明書とは?
「増改築等工事証明書」という名前を見ると、
リフォーム工事を行ったことを証明する書類
のように思われるかもしれません。
しかし、実際には少し違います。
増改築等工事証明書は、住宅ローン減税や一定のリフォームに対する所得税の控除、固定資産税の減額などを受ける際に、行った工事が制度で定められた要件を満たしていることを証明するための書類です。
例えば、
・耐震改修
・バリアフリー改修
・省エネ改修
・同居対応改修
・長期優良住宅化改修
・子育て対応改修
・住宅ローン減税の対象となる一定の増改築やリフォーム
などが関係します。
ただし、すべてのリフォームで増改築等工事証明書が必要になるわけではありません。
利用する減税制度や工事内容によって、対象になるかどうかや必要書類が異なります。
なお、耐震改修でリフォーム促進税制を利用する場合は、「増改築等工事証明書」のほか、市区町村などが発行する「住宅耐震改修証明書」を使用することもできます。
「自分の工事は対象になるのか分からない」という場合は、工事会社や税務署、市区町村などへ確認しておくと安心です。
また、国の減税制度とは別に、自治体独自の支援制度などが利用できる場合もあります。制度や条件は地域によって異なるため、あわせて確認してみましょう。
なぜ工事をした会社が発行できないの?
ここが一番分かりにくいところだと思います。
「自分たちが工事をしたのだから、その会社が証明すればいいのでは?」
と思いますよね。
しかし、増改築等工事証明書は、工事をした事実だけを証明する書類ではありません。
その工事が減税制度などで定められた基準を満たしているかを確認して証明する必要があります。
そのため、発行できる人や機関が決められています。
例えば、
・登録された建築士事務所に所属する建築士
・指定確認検査機関
・登録住宅性能評価機関
・住宅瑕疵担保責任保険法人
などです。
ここで注意したいのが、「建築士がいる工事会社なら必ず発行できる」というわけではないことです。
建築士が証明する場合には、都道府県などへ登録された「建築士事務所」に所属している建築士である必要があります。
そのため、建築士が在籍していても、会社が建築士事務所として登録されていなければ、その建築士が増改築等工事証明書を発行することはできません。
特に地域の工務店や専門工事会社、比較的小規模なリフォーム会社では、建築士事務所の登録をしていないこともあります。
「証明書を出せない=おかしな工事会社」というわけではないのです。
工事会社で発行できなくても第三者へ依頼できます
工事会社から、
「増改築等工事証明書は発行できません。」
と言われても、慌てる必要はありません。
工事をした会社とは別の、発行資格のある建築士事務所や検査機関などへ依頼することができます。
まずは工事をした会社へ、
「増改築等工事証明書を発行できる建築士事務所などを紹介してもらえませんか?」
と相談してみるとよいでしょう。
付き合いのある設計事務所や建築士などを紹介してもらえる場合があります。
紹介先がない場合は、自分で探す方法もあります。
インターネットで、
「増改築等工事証明書 発行 ○○県」
「増改築等工事証明書 建築士事務所」
などと検索すると、証明書の発行に対応している建築士事務所や民間の検査機関などが見つかることがあります。
依頼先によっては、必要な資料や写真などをメールで送り、確認してもらえる場合もあります。
なお、証明書を記入するために現地確認が必ず必要というわけではありませんが、工事内容や資料の状況によっては現地確認を求められる場合があります。
発行には工事内容が分かる資料が必要です
第三者へお願いすれば、どのような工事でも証明書を発行してもらえるわけではありません。
証明する側も、
「本当に対象となる工事が行われたのか」
を確認する必要があります。
そのため、一般的には、
・住宅の登記事項証明書
・工事請負契約書
・工事費用の内訳が分かる書類
・図面や仕様書
・工事箇所の写真
・補助金を利用した場合は、その金額が分かる書類
など、住宅や工事内容を確認できる資料が必要になります。
必要な資料は、利用する制度や工事内容によって異なります。
特に工事が終わってから第三者へ依頼する場合、壁や床の中など完成後には確認しにくい部分もあります。
そのため、減税制度を利用する可能性がある場合は、工事前・工事中・工事後の写真や見積書などを残しておくことが大切です。
増改築等工事証明書の発行費用は?
発行費用は、依頼する建築士事務所や検査機関、工事内容、必要な確認作業などによって異なります。
数万円程度で対応しているところもありますが、現地調査が必要になれば、別途調査費や交通費などがかかる場合もあります。
そのため依頼する際は、
「証明書の発行まで全部でいくらかかりますか?」
と確認しておくと安心です。
また、必要な資料が揃っているかどうかによって、確認にかかる手間や費用が変わることもあります。
これからリフォームする方は工事前に確認しておきましょう
これから省エネやバリアフリーなど、減税の対象になる可能性があるリフォームを行う場合は、工事前に確認しておくことをおすすめします。
工事会社へ、
「このリフォームで利用できる減税制度はありますか?」
「増改築等工事証明書が必要になった場合、発行に対応できますか?」
と聞いておくとよいでしょう。
ただし、ここで注意していただきたいのは、証明書を自社で発行できる会社だけから工事会社を選ぶ必要はないということです。
地域の工務店や専門工事会社の中には、良い工事をしていても建築士事務所の登録をしていない会社もあります。
証明書が必要であれば、第三者の建築士事務所などへ発行だけを依頼する方法もあります。
つまり、
「工事をどこへ頼むか」と「証明書を誰に発行してもらうか」は、分けて考えることもできます。
証明書を発行できるかどうかだけではなく、工事内容や見積り、説明、保証なども含めて、安心して任せられる会社かどうかを判断することが大切です。
増改築等工事証明書を自社で発行できるかどうかだけで、リフォーム会社の良し悪しが決まるわけではありません。
大切なのは、工事内容や見積り、説明、保証なども含めて総合的に判断することです。
リフォーム会社を選ぶときに確認したいポイントについては、こちらで分かりやすく解説しています。
増改築等工事証明書のよくある質問
工事をした会社でなくても発行できますか?
はい。
増改築等工事証明書は、工事を行った会社でなければ発行できないわけではありません。
登録された建築士事務所に所属する建築士や指定確認検査機関など、発行できる立場の第三者へ依頼することもできます。
工事会社で発行できないと言われた場合は、まず対応できる建築士や機関を紹介してもらえないか相談してみましょう。
工事が終わった後でも発行してもらえますか?
はい。増改築等工事証明書は、原則として工事完了後に発行する書類です。
また、すでに引き渡しが終わっている住宅や過去の工事でも、利用する減税制度の要件を満たしていれば発行してもらうことができます。
ただし、対象となる工事が行われたことを確認するため、契約書や工事費の内訳、図面、工事前後の写真などが必要になることがあります。
これから工事する場合は、減税制度を利用する可能性があることを事前に工事会社へ伝え、写真や資料を残しておくと安心です。
増改築等工事証明書の発行費用はいくらですか?
発行費用は、依頼先や工事内容、必要な確認作業によって異なります。
数万円程度で対応している建築士事務所や検査機関などもありますが、現地調査が必要になる場合は調査費や交通費などが追加されることもあります。
依頼する前に、必要書類とあわせて発行費用を確認しておきましょう。
公的機関の情報も確認しておきましょう
増改築等工事証明書の様式や発行できる人、リフォームの減税制度については、国土交通省でも詳しく案内されています。
制度の内容や対象となる工事は変更されることがありますので、実際に申請する際は最新情報も確認しておきましょう。
国土交通省「住宅リフォームの減税制度において使用する証明書(増改築等工事証明書・住宅耐震改修証明書)」
・国土交通省「住宅をリフォームした場合に使える減税制度について」
まとめ
増改築等工事証明書は、名前だけを見ると「リフォーム工事を行ったことを証明する書類」のように思われるかもしれません。
しかし実際には、減税などの制度で定められた工事に該当していることを、資格のある専門家などが確認して証明する書類です。
そのため、工事をした会社であっても発行できない場合があります。
もし工事会社から、
「うちでは発行できません。」
と言われても、そこで諦める必要はありません。
まずは工事会社へ、対応できる建築士事務所などを紹介してもらえないか相談してみましょう。
紹介先がなければ、自分で建築士事務所や指定確認検査機関などを探して依頼する方法もあります。
そして、これから減税対象となる可能性のあるリフォームをする場合は、工事前に減税制度の利用予定を伝え、証明書の発行方法や必要な写真・資料を確認しておくことをおすすめします。
証明書を自社で発行できるかだけで工事会社を選ぶのではなく、必要であれば書類の発行を第三者へ依頼することも含めて考えると、工事会社の選択肢を必要以上に狭めずに済みます。
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