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執筆:二級建築士 安藤勉
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外壁塗装の見積りを取ったとき、
「今回はモニター価格で施工できます」
「通常より50万円値引きします」
「施工事例として写真を使わせてもらえれば、この価格です」
などと提案されることがあります。
大幅な値引きを提示されると、
「かなりお得なのでは?」「今、塗装しないと損する」
と思ってしまいますよね。
もちろん、実際にキャンペーンやモニター募集を行っている会社もあります。
ただし、値引き額が大きいからといって、必ずしもお得とは限りません。
外壁塗装は工事内容によって価格が変わるため、値引き額だけで判断するのは危険です。
契約する前に、「なぜ安くできるのか」「値引き前の価格は適正なのか」を確認しましょう。
「モニター価格」だから怪しいとは限らない
まず、モニター価格という仕組みそのものが悪いわけではありません。
施工事例として外壁の写真を掲載することを条件にしたり、一定期間だけキャンペーン価格を設定したりする会社もあります。
問題なのは、
「モニター価格だからお得」
という言葉だけで判断してしまうことです。
例えば、値引き前の価格が実際に通常価格として販売されていたのか分からなければ、「50万円値引き」という数字だけでは、本当に安くなったのか判断できません。
① 値引き前の「通常価格」は適正?
最初に確認したいのが、値引き前の価格です。
例えば、
「通常150万円のところ、モニター価格100万円です」
と言われたとします。
50万円も安くなっているので、とてもお得に感じます。
しかし、本当に150万円で販売していた実績があるのかは別問題です。
そこで、
「通常価格で施工する場合の見積りも見せてもらえますか?」
と聞いてみましょう。
また、値引き前と値引き後で、工事内容が変わっていないかも確認します。
価格だけでなく、同じ工事内容なのかを見ることが大切です。
② なぜ、その金額まで値引きできるの?
「30万円値引き」
「50万円値引き」
など、大きな値引きを提示されたら、
「なぜ、この金額まで値引きできるのですか?」
と聞いてみましょう。
例えば、
「今月のキャンペーンだから」
「施工事例を増やしたいから」
など、理由が明確なら判断材料になります。
一方で、理由があいまいなまま、
「今日契約してくれれば、さらに20万円引きます」
と値引きが次々に増えていく場合は注意が必要です。
実際、消費者庁が公表した外壁塗装工事の事例でも、提示した値引きについて事実と異なる説明をしたケースが問題になっています。(消費者庁)
大幅な値引きそのものより、値引きの説明に納得できるかを確認しましょう。
③ モニターになると何をするの?
「モニター価格」と言われたら、具体的な条件を確認しましょう。
例えば、
- 外壁の写真をホームページに掲載する
- 施工事例として紹介される
- 広告などに写真を使用する
- 完成後のインタビューに協力する
などです。
特に、写真をどこで使用するのかは確認しておきましょう。
ホームページだけなのか、チラシやSNSにも掲載されるのか。
顔や住所などの個人情報が掲載されることはないか。
気になることがあれば、契約前に確認してください。
そして、モニター条件がある場合は、条件を口頭だけでなく書面で確認することも大切です。
④ モニター価格に期限はある?
「今日だけモニター価格です」
「今週中に契約しないと、この価格にはできません」
と言われることがあります。
本当に期間限定のキャンペーンである可能性もありますが、急いで契約する必要があるとは限りません。
外壁塗装は高額な工事になることも多いため、
「今日決めなければ損をする」
と焦らないことが大切です。
「少し考えてから返事をします」
と伝えて、家族や他の業者に相談する時間を取りましょう。
⑤ 値引き後の「工事内容」を確認する
モニター価格で契約する場合は、最終的な工事内容を確認しましょう。
例えば、
- 使用する塗料
- 塗装する範囲
- 塗装の回数
- 下地処理
- ひび割れ補修
- シーリング工事
- 付帯部の塗装
- 足場代
などです。
特に注意したいのが、安くするために必要な工事が省かれていないかという点です。
例えば、外壁の状態を確認せず、補修が必要な部分まで塗装だけで済ませてしまえば、見た目はきれいになっても、問題が残る可能性があります。
「何を塗るか」だけでなく、「塗装する前に何をするのか」も確認しましょう。
「50万円値引き」より総額を見る
外壁塗装では、
「50万円値引きします」
という言葉より、
最終的にいくらで、どんな工事をするのか
を見ることが重要です。
例えば、
A社
当初の価格150万円 → モニター価格100万円
B社
通常価格108万円 → 端数値引き価格105万円
という場合、A社のほうが50万円安く見えます。
しかし、B社が同じような工事内容で105万円なら、単純にA社が大幅にお得とは判断できません。
さらに、
- 塗料の種類
- 塗装面積
- 下地処理
- シーリング
- 保証
などが違えば、単純な価格比較もできません。
「いくら値引きされたか」ではなく、「必要な工事がいくらなのか」を比較しましょう。
相見積りで比較すると判断しやすい
モニター価格を提示された場合は、他社にも同じ条件で見積りを依頼すると判断しやすくなります。
「現在、このような内容で提案されています」
と伝えて、
「同程度の工事内容で見積りをお願いします」
と依頼してみましょう。
比較すると、
「この会社だけ極端に高い」
「値引き後でも他社より高い」
「そもそも工事内容が違う」
といったことが分かる場合があります。
リフォームでは複数の事業者から見積りを取り、工事範囲や仕様、数量、単価などを比較がおすすめです。
こんな場合は、その場で契約しない
次のような対応をされた場合は、一度持ち帰って検討しましょう。
✅今日契約すれば大幅値引きと言われた
✅値引き前の価格の根拠が分からない
✅値引きの理由を聞いても説明があいまい
✅モニターの条件を書面でもらえない
✅工事内容を詳しく説明してくれない
✅相見積りを嫌がる
✅家族に相談する時間を与えてくれない
もちろん、これだけで悪質な会社と決めつけることはできません。
しかし、高額な工事なのに十分に検討する時間をもらえない場合は、慎重になったほうがよいでしょう。
ここまでの内容は、塗装会社選びで確認したいことの一部です。
建設業許可・自社施工・見積り・保証の【4つの基準】をあわせて見ると、会社を判断しやすくなります。
リフォーム会社にも、塗装会社にも共通する会社選びの基本を、順番に知りたい方はこちらをご覧ください。
モニター価格は「値引き額」ではなく「工事内容」で判断
モニター価格そのものを避ける必要はありません。
本当にキャンペーンとして適正な価格になっている場合もあります。
大切なのは、「50万円値引きされたからお得」と考えるのではなく、
「この工事内容なら、この金額は妥当なのか」と考えることです。
値引き前の価格、値引きの理由、モニターの条件、工事内容を確認し、他社の見積りとも比較しましょう。
まとめ
外壁塗装の「モニター価格」は、必ずしも怪しいものではありません。
一方で、大幅な値引き額だけを見て「お得」と判断するのは危険です。
契約前には、
- 値引き前の通常価格は適正か
- なぜその金額まで値引きできるのか
- モニターになると何をするのか
- 値引き価格の期限や条件は何か
- 値引き後も必要な工事が含まれているか
という5つを確認しましょう。
特に、「今日契約すれば、さらに値引きします」と急かされた場合は、その場で決めないことをおすすめします。
外壁塗装は、値引き額を競うものではありません。
「適正な工事を、納得できる価格でしてもらえるか」
を基準に、複数の会社を比較して選びましょう。
もし訪問販売などで強く契約を迫られた場合、住宅リフォームでは一定の条件のもとでクーリング・オフができる場合があります。契約してしまった場合でも、一人で悩まず消費生活センターなどに相談しましょう。
会社選びで迷う方へ
外壁塗装で失敗しないための知識は「青本・赤本」にまとめています。

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