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執筆:二級建築士 安藤勉
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リフォームや住まいのことで困ったとき、「どこに頼めばいいの?」「誰に相談すればいいの?」と迷う方も多いと思います。
実は、何をしたいのかによって適した相談先は違います。
例えば、外壁を塗り替えたいのであれば塗装店、キッチンや浴室、内装などをまとめてリフォームしたいのであれば工務店などが候補になります。
一方、
「中古住宅を買う前に状態を調べたい」
「今の家の耐震性を知りたい」
「施工不良ではないか確認したい」
「工事会社と契約トラブルになっている」
という場合には、工事会社ではなく、建築士や専門機関、消費生活センター、弁護士などへ相談した方がよいこともあります。
私どもは20年以上にわたり、全国のリフォーム会社を調査するとともに、お客様から住まいに関するさまざまなご相談を受けてきました。
今回は、リフォームの依頼先の違いから、住宅の調査・診断、工事や契約のトラブルまで、内容に応じてどこへ相談すればよいのかを建築士の立場から分かりやすく解説します。
この記事の内容
✅リフォーム工事はどこに頼む?
✅職人・工務店・リフォーム会社・ハウスメーカー・設計事務所の違い
✅工事内容別に向いている依頼先
✅家の状態を調べたいときの相談先
✅施工不良や契約トラブルの相談先
✅どこに相談すればよいか分からない場合
まず確認|あなたの場合はどこに相談する?
まずは、現在の目的から相談先を確認してみましょう。
| 今したいこと | 主な相談先 | まずすること |
|---|---|---|
| トイレ・給湯器などを交換したい | 設備工事店・工務店など | 現地調査・見積り |
| 外壁塗装をしたい | 塗装店などの専門工事店 | 外壁の状態確認・見積り |
| 水まわりや内装をまとめて直したい | 工務店・リフォーム会社など | リフォーム内容を相談 |
| 間取りを大きく変更したい | 工務店・設計事務所など | 希望と構造面を確認 |
| 大規模なリノベーションをしたい | 工務店・設計事務所など | 建物の状態と計画を相談 |
| 中古住宅を購入する前に調べたい | 既存住宅状況調査技術者など | インスペクションを検討 |
| 耐震補強工事をしたい | 耐震工事に対応する工務店・設計事務所など | 補強方法・工事を相談 |
| 今の家の耐震性を知りたい | 耐震診断に対応する専門家 | 耐震診断を検討 |
| 施工不良ではないか確認したい | 施工会社・建築士・第三者機関など | まず施工会社へ確認 |
| 工事会社とトラブルになった | 住まいるダイヤルなど | 状況・契約内容を整理して相談 |
| 訪問販売や契約で困っている | 消費生活センターなど | 早めに相談 |
| 法的な解決が必要 | 弁護士など | 契約書や経緯を整理して相談 |
同じ住まいの悩みでも、「工事をしてほしい」「まず状態を知りたい」「トラブルを解決したい」では相談先が違います。
ここから、それぞれ詳しく解説します。
リフォーム工事をしたい場合はどこに頼む?
リフォームの依頼先には、職人や専門工事店、工務店などの工事店、リフォーム会社、ハウスメーカー、設計事務所などがあります。
それぞれ得意分野だけでなく、誰が工事を行い、誰が現場を管理するのか、どのような費用がかかるのかにも違いがあります。
1.職人・専門工事店
工事内容がはっきりしている場合は、その分野を専門とする職人や専門工事店へ直接依頼する方法があります。
例えば、
- 外壁塗装 → 塗装店
- 屋根工事 → 屋根工事店
- 畳 → 畳店
- 建具 → 建具店
- 設備交換 → 設備工事店
などです。
専門分野について豊富な施工経験を持っていることが多く、営業会社などを介さず直接依頼できるため、余分な中間マージンがかかりにくいこともメリットです。
一方、一人の職人だけでは対応できないリフォームもあります。
例えばキッチンを移動する場合、大工、水道、電気、ガス、内装など複数の職種が必要になることがあります。
このような工事では、職人へ一人ずつ依頼するよりも、全体を管理できる工務店などへ任せた方が適しています。
【向いているケース】
・工事内容が明確
・塗装・屋根・畳・建具などの専門工事
・比較的小規模な工事
2.工務店・工事店
工務店や塗装店など、実際の工事や現場管理を中心に行っている会社を、ここでは「工事店」と呼びます。
工務店の場合、大工だけでなく、設備、電気、内装などの職人を手配し、複数の工事を一つの現場として管理できることが大きな特徴です。
例えば、
「キッチンと浴室を交換して、リビングの床やクロスも直したい」
という場合には、大工、水道、電気、内装など複数の職種が必要です。
こうした職人の日程を調整し、工事の順番を決め、仕上がりを確認するのが現場管理です。
職人へ直接依頼するより費用はかかりますが、現場管理は複数の職種が関わるリフォームを進めるために必要な費用でもあります。
工務店と営業会社では、工事の進め方や費用構造にも違いがあります。詳しくは「地元工務店と営業会社の違い」で解説しています。
ただし、何でも一社にまとめればよいわけではありません。
例えば室内リフォームと外壁塗装など、専門分野が大きく異なる工事は、それぞれを得意とする工事店へ分けて依頼した方がよいケースもあります。
3.リフォーム会社
「リフォーム会社」と呼ばれる会社には、さまざまな形態があります。
自社で現場を管理しながら工事を行う会社もあれば、営業や契約を中心に行い、実際の施工は下請けの工事店へ任せる会社もあります。
つまり、「リフォーム会社」という名前だけでは、その会社の施工体制までは分かりません。
中でも、営業や集客を中心に行い、契約した工事を別の工事店へ発注する会社を、ここでは「リフォーム営業会社」と呼びます。
この場合、
お客様 → リフォーム営業会社 → 工事店 → 職人
という形になるため、工事店へ直接依頼する場合と比べて、営業費や広告費、会社の利益などが加わります。
一方で、営業担当者への相談のしやすさや商品提案、ショールームなどが充実している会社もあります。
そのため、「リフォーム会社だから安心」と判断するのではなく、
✅誰が現場を管理するのか
✅誰が実際に施工するのか
を確認しておくとよいでしょう。
こうしたリフォームの中間マージンが発生する仕組みについては、関連記事で詳しく解説しています。
4.ハウスメーカー
自宅を建てたハウスメーカーへ、そのままリフォームを依頼する方法もあります。
建物の仕様や図面などを把握していることや、営業、設計、施工管理、保証、アフターサービスなどを一つの窓口で相談できることがメリットです。
一方、実際の工事は協力会社や下請けの工事店が行うケースも多く、営業や管理などの費用も必要になるため、地域の工事店へ直接依頼する場合より費用が高くなりやすい傾向があります。
ただし、価格だけで判断するものでもありません。
自宅を建てた会社へそのまま任せたい、独自の長期保証を継続したい、窓口を一本化したいといった場合には、ハウスメーカーへ依頼するメリットもあります。
価格差が生まれる理由は、「ハウスメーカーの見積りは高い?工務店と100万円差が出る理由」でも詳しく解説しています。
5.設計事務所・建築家
設計事務所というと新築住宅をイメージする方も多いと思いますが、リフォームやリノベーションを得意とする設計事務所もあります。
大きな特徴は、「どのような住まいにするか」という設計から相談できることです。
例えば、
- 間取りを大きく変更したい
- デザインにこだわりたい
- 古い住宅を全面的に改修したい
- 構造も確認しながらリフォームしたい
といった場合です。
工事費とは別に設計料や工事監理料などが必要になりますが、施工会社とは別の立場から設計や工事監理を行ってもらえることも特徴です。
設備交換などの小規模な工事より、設計やプランニングが重要になる大規模なリフォームやリノベーションに向いています。
依頼先によって費用が違うのはなぜ?
大まかな違いを整理すると次のようになります。
| 依頼先 | 費用の考え方 | 向いている工事 |
|---|---|---|
| 職人・専門工事店 | 直接依頼できるため余分な経費が少ない | 単一の専門工事 |
| 工務店・工事店 | 現場管理や会社運営の費用が必要 | 複数職種が必要な工事 |
| リフォーム営業会社 | 工事費に営業・広告・管理・利益などが加わる | 提案や営業窓口を重視 |
| ハウスメーカー | 営業・管理・保証などを含み高くなりやすい | 自社住宅・大規模改修 |
| 設計事務所・建築家 | 工事費とは別に設計・監理料などが必要 | 設計・デザイン重視の大規模改修 |
ただし、これはあくまで一般的な傾向です。
大切なのは、単純に「どこが一番安いか」ではなく、何にお金を払っているのかです。
職人へ直接頼めば費用を抑えやすくても、複数の職種が必要な工事では全体をまとめる現場管理が必要です。
反対に、工事店で十分対応できる工事を営業会社へ依頼すれば、中間マージンなどによって費用が高くなることがあります。
自分の工事に必要な役割を考えて、依頼先を選ぶことが大切です。
工事内容別|どこに頼むのが向いている?
会社の種類から考えるより、自分がしたい工事から逆算すると、依頼先を選びやすくなります。
トイレや給湯器などを交換したい
設備交換だけであれば、設備工事店や工務店などが候補です。
複数の職種を必要としない小規模な工事なら、専門工事店へ直接依頼する方法もあります。
外壁塗装をしたい
外壁塗装が中心であれば、塗装工事を専門とする塗装店が第一候補です。
ただし、「外壁塗装専門店」と書かれていても、営業を中心に行い、施工を下請けへ任せている会社もあります。
会社名だけで判断せず、誰が現場を管理し、誰が施工するのかを確認しましょう。
塗装店を選ぶ際の具体的な確認ポイントは、「信頼できる塗装会社の共通点」で詳しく解説しています。
キッチン・浴室・内装をまとめて直したい
設備、大工、電気、内装など複数の職種が必要になるため、工務店など全体を管理できる工事店が向いています。
間取りを大きく変更したい
設計力のある工務店やリフォーム会社、設計事務所などが候補になります。
壁や柱を変更する場合には建物の構造に影響することもあるため、希望する間取りができるかだけでなく、構造上問題がないか判断できる体制があるかも確認しましょう。
間取り変更と耐震性については、「間取り変更リフォームで耐震性は落ちる?」でも解説しています。
中古住宅を全面リフォームしたい
工務店や設計事務所、リノベーションを得意とするリフォーム会社などが候補です。
中古住宅では見た目だけでなく、建物の劣化、配管、耐震性、断熱性なども確認しながら工事内容を考えた方がよいケースがあります。
デザインにこだわったリノベーションをしたい
設計事務所や建築家、設計・デザインを得意とする工務店などが候補です。
過去の施工事例を見ると、その会社や設計者の得意分野を判断しやすいでしょう。
まず家の状態を知りたい場合はどこに相談する?
ここまでは主に「工事をしたい人」の相談先でした。
一方、工事をするかどうかを決める前に、まず家の状態を知りたい場合には、調査や診断を行う専門家へ相談する方法があります。
中古住宅を購入する前に状態を調べたい
中古住宅の状態を専門家に調べてもらう方法として、インスペクション(建物状況調査)があります。
国の制度に基づく「既存住宅状況調査」は、建築士の資格を持ち、所定の講習を修了した「既存住宅状況調査技術者」が行います。
家の耐震性が心配
耐震については、耐震補強工事をしたいのか、まず現在の家の耐震性を知りたいのかによって相談先が変わります。
耐震補強工事をしたい場合は、耐震工事に対応している工務店や設計事務所などが候補です。
一方、「今の家にどの程度の耐震性があるのか知りたい」場合には、まず耐震診断を受ける方法があります。
耐震診断は、建築士や耐震診断に対応する専門家などが行います。
自治体の補助制度を利用する場合には、診断者について資格や登録などの条件が設けられていることもあるため、お住まいの自治体へ確認するとよいでしょう。
「そもそも自宅に耐震診断が必要なのか」という方は、「自宅は地震に耐えられる?耐震診断が必要か判断するポイント」も参考にしてください。
「これって施工不良?」と判断できない
工事後に気になる部分が見つかった場合は、まず施工した会社へ状況を伝え、確認してもらうのが基本です。
それでも、
「工事会社と意見が食い違っている」
「説明を聞いても納得できない」
「第三者の意見も聞きたい」
という場合には、建築士などの専門家や第三者の相談機関へ相談する方法があります。
建物の状態、契約内容、施工方法などを確認しなければ判断できないケースもあるため、写真だけで施工不良と決めつけないことも大切です。
最初に確認しておきたいことは、「施工不良かな?と思った時に最初に確認したいこと」で詳しく解説しています。
工事や契約で困っている場合はどこに相談する?
すでに工事や契約で問題が起きている場合には、工事会社を探すのではなく、第三者の相談窓口を利用した方がよいこともあります。
リフォーム会社とトラブルになった
工事内容や契約について会社と話し合っても解決しない場合には、住宅についての第三者相談窓口を利用する方法があります。
代表的な相談先の一つが、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営する「住まいるダイヤル」です。
「工事会社の説明が妥当なのか分からない」
「どのように話し合えばいいのか分からない」
という場合には、第三者へ相談して状況を整理するのもよいでしょう。
工事中にトラブルが起きた場合の対応については、「リフォーム工事中のトラブルは誰に相談する?」でも詳しく解説しています。
訪問販売や契約について困っている
突然訪問してきた会社と契約してしまい、
「やっぱり断りたい」
「契約を急かされた」
「説明された内容と違う」
など、契約や勧誘について困っている場合には、消費生活センターなどへ相談しましょう。
契約内容によってはクーリング・オフなどを利用できる場合があり、期限が関係するため、早めに相談することが大切です。
損害賠償など法律上の問題になっている
「工事代金を返してほしい」
「損害賠償を請求したい」
「相手から訴えると言われた」
など、法的な判断や対応が必要になっている場合には、弁護士への相談を検討します。
建築士は建物や施工についての専門家ですが、法律上の責任を判断する専門家ではありません。
反対に、施工状態について技術的な判断が必要な場合には、弁護士だけでなく建築士などの協力が必要になることもあります。
問題によっては、建築と法律の両方の専門家が必要になることがあります。
依頼先の種類が決まったら、次は「その中からどの会社を選ぶか」が大切です。
建設業許可・施工体制・見積り・保証など、会社選びで確認しておきたいポイントをまとめています。
どこに相談すればいいか分からない場合は?
ここまでさまざまな相談先をご紹介しましたが、実際には、「自分の場合、どこに相談すればいいのか分からない」ということもあると思います。
例えば、
「工務店に見てもらえばいいのか、建築士に相談した方がいいのか分からない」
「この工事が本当に必要なのか分からない」
「工事会社の説明が正しいのか分からない」
「これは建築の問題なのか、契約の問題なのか分からない」
ということもあるでしょう。
私ども優良工事店ネットワークでは、リフォーム工事のご相談だけでなく、住まいに関するさまざまなご相談をお受けしています。
お話を伺ったうえで、工事が必要であれば、内容に適した工事店をご紹介することもできます。
また、大規模なリフォームで設計が必要な場合には、建築家をご提案することもあります。
一方、工事会社を探すよりも、専門機関や公的な相談窓口、法律の専門家などへ相談した方がよい内容であれば、そのようにご案内することもあります。
「どこに相談すればいいのか分からない」という段階でも構いません。
まずは、現在どのようなことでお困りなのかをお聞かせください。
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