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玄関ドアの位置を変えられる?玄関そのものを移動するリフォーム

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執筆:二級建築士 安藤勉
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「玄関ドアの位置を少し横にずらしたい」
「道路に近い場所へ玄関を移動できないだろうか?」
「今の玄関が使いにくいので、別の部屋を玄関に変えたい」

築年数の経った戸建て住宅では、現在の暮らし方と玄関の位置が合わなくなることがあります。

玄関ドアの位置を変えたり、玄関そのものを別の場所へ移動したりすることは可能です。

ただし、希望する場所に玄関を作れるとは限りません。

玄関そのものを移動する場合は、室内の間取りだけでなく、外の階段やアプローチの他、古い玄関を塞ぐ工事が必要になります。

この記事では、玄関ドアの位置を変更するリフォームについて、できる条件や注意点を分かりやすく解説します。

玄関ドアの位置を変える3つの方法

玄関の位置を変える工事には、主に3つの方法があります。

どの程度移動させたいのかによって、必要な工事は大きく変わります。

1. 今ある玄関ドアを同じ壁面で横にずらす

現在の玄関を利用しながら、ドアの位置だけを左右に移動させる方法です。

例えば、玄関ドアが端に寄っていて下駄箱が設置できない場合、ドアの位置を変更することで収納スペースが確保できます。

ドアを少し動かすだけでも、既存のドア枠や外壁、玄関土間の改修が必要になります。

もし、外壁の内側に柱や筋交い、耐力壁などが入っていた場合は、移動が困難になります。

2. 別の外壁に玄関ドアを新設する

現在とは異なる方角の外壁に、新しい玄関ドアを取り付ける方法です。

駐車場から家までの移動距離を短くできる、スロープが設置できるようになるなど、使い勝手が便利になるリフォームであれば積極的に行うべきです。

ただし、外壁を開口して玄関ドアを付けるため、柱や耐力壁、基礎などの構造を確認する必要があります。

さらに、外には玄関ポーチや階段、雨よけ庇などが必要になります。

外構も含めて計画することが大切です。

3. 部屋の一部を玄関に変えて、玄関そのものを移動する

既存の和室や洋室などの一部を、新しい玄関として利用する方法です。

例えば、道路に面した和室を解体して玄関ホールや土間を作り、玄関ドアを付けて外部にポーチを作るといったリフォームが該当します。

玄関の位置が変わるため、室内の廊下や部屋とのつながりも見直す必要がありますし、間仕切り壁の撤去や新設、基礎の解体、床の高さの変更も必要です。

玄関を移動した後は、古い玄関を収納や廊下などに変更も必要です。

玄関を移動できるかは、外壁と建物の構造で決まる

玄関の位置を変える際、最も重要なのは、新しいドアを取り付ける場所です。

特に確認したいのは、耐力壁、柱、基礎の3つです。

耐力壁がある場所には簡単に玄関をつくれない

住宅の壁には、部屋を仕切る役割だけでなく、地震や風による力に抵抗する役割を持つ「耐力壁(たいりょくへき)」と呼ばれる壁があります。

木造住宅では、壁の中に筋交いと呼ばれる斜めの木材が入っていたり、構造用の面材が張られていたりします。

ここに、玄関ドア用の大きな開口部を設けると、建物の強度に影響するため、注意が必要です。

補強するなどして対応できる場合もありますが、住宅全体の構造を踏まえた検討が必要です。

柱が移動できるとは限らない

新しい玄関ドアを設置したい場所に、柱があれば移動しなければなりません。

柱の中には、上の階や屋根の重さを支える役割を持つものがあります。

補強すれば必ず撤去できるわけではありません。

特に2階建て住宅では、上階の柱や壁との位置関係も確認する必要があります。

玄関の開口幅を狭くすることで、重要な柱を残せる場合もあります。

玄関ドアを付けるには基礎の解体が必要

玄関ドアは、室内の床よりも低い位置、地面に近い高さに設置されています。

そのため、玄関ドアを付けるには、基礎の解体が必要になります。

また、玄関土間のスペースに基礎がある場合も、解体しなければなりません。

玄関そのものを移動すると、室内ではどんな工事が必要?

玄関ドアの位置をずらすだけであれば、現在の玄関ホールを活用できる場合がありますが、玄関そのものを移動する場合は、室内の改修も必要になります。

新しい玄関土間をつくる

玄関には、靴を履いたり脱いだりする土間が必要です。

洋室や和室の一部を玄関に変える場合は、床を解体して土間をつくります。

床下に配管がある場合は、配管の移動が必要になります。

廊下や各部屋への動線を変更する

玄関を移動すると、家に入ってから各部屋へ移動する経路も変わります。

例えば、新しい玄関がリビングに直接つながる位置にある場合、外から室内が見えやすくなることがあります。

また、トイレや階段まで遠回りになったり、家具を置く場所が減ったりする場合もあります。

玄関の位置を決める際は、出入りのしやすさだけでなく、室内の動線が不便にならないかもチェックしておきましょう。

買い物袋を持ってキッチンへ移動する場合や、家族が同時に出入りする場合も想定すると、使いやすさを判断しやすくなります。

古い玄関を壁や居室に変更する

玄関そのものを移動する場合は、使わなくなる玄関の処理も必要です。

ドアを撤去した部分では、断熱材や防水層を適切につなぎ直し、外壁を塞ぐ必要があります。

また、既存の外壁と同じ仕上げ材が手に入らない場合は、補修した部分の色や模様が目立つこともあります。

古い玄関をどう使うかまで決めておくと、新しい玄関と合わせて工事を計画できます。

玄関の位置を変えるときは、屋外の動線にも注意

玄関の移動では、室内の間取りと同じくらい、屋外の使いやすさが重要です。

駐車場や道路から無理なく出入りできるか

玄関の位置を変える理由として、駐車場からの移動を楽にしたいという希望があります。

ただし、新しい玄関を駐車場の近くにつくっても、車のドアを開けるスペースや歩く通路が十分でなければ、使いにくくなることがあります。

また、道路から玄関までの間に段差や急な勾配がある場合は、階段やスロープの計画も必要です。

玄関ドアの開閉範囲が、駐車車両や門扉と重ならないかも確認しましょう。

玄関ポーチや階段を新しくつくる必要がある

新しく玄関ドアを設ける場所にポーチがない場合は、屋外に足を置けるスペースをつくる必要があります。

玄関ポーチとは、玄関ドアの外側に設ける出入り用の床部分です。

地面との高低差がある場合は、階段やスロープも必要になります。

特に開き戸の場合、扉を開ける方向によって、立つ場所が狭くなることがあります。

また、雨の日にドアの前で傘を差したり、荷物を持って鍵を開けたりすることも考えて、ポーチの広さを決めましょう。

敷地が狭い場合は、新しい玄関の位置に制約がある

住宅と隣地境界との間が狭い場合、玄関ドアを設けても十分な通路を確保できないことがあります。

また、新しい屋根付きポーチや風除室などを増設する場合は、建ぺい率や建築面積、敷地境界との関係などの確認が必要になることがあります。

玄関の位置を決める際は、建物の外壁だけでなく、敷地全体の寸法を確認することが大切です。

玄関ドアを移動する際に注意したい防水・断熱・防犯

新しい玄関ドアを設置する場合、建物の強度以外にも注意点があります。

玄関で雨に濡れないか

玄関の動線が便利になっても、雨の日に濡れてしまう状態は避けるべきです。

雨が降っても身体が濡れないように、庇を付けたり、屋根を延長させるなど、快適につかえる環境整備が重要です。

玄関まわりの断熱性能を考える

玄関ドアは、屋外と室内をつなぐ部分です。

新しい玄関をつくる場合は、ドア自体の断熱性能だけでなく、周囲の壁や床の断熱にも注意しましょう。

例えば、断熱性能の高い玄関ドアを選んでも、ドア枠の周囲にすき間があったり、床の断熱が不十分だったりすると、冷気が入りやすくなる場合があります。

既存の部屋を玄関に変更する場合は、床や壁の断熱をどのように処理するか確認しておきましょう。

外から室内が見えやすくならないか

玄関を道路側に移動すると、出入りが便利になる一方で、玄関ドアを開けた際に室内が見えやすくなることがあります。

逆に、外から玄関ドアが見えにくい場所では、センサーライトや、防犯カメラの設置など、防犯面での配慮が必要です。

玄関ドアの向きや採光窓の位置、照明などを考え、外からの視線と出入りのしやすさのバランスを検討しましょう。

玄関の位置変更には建築確認申請が必要?

玄関ドアの位置変更や玄関そのものの移動では、工事内容によって建築基準法上の手続きが必要になる場合があります。

ただし、玄関ドアを移動する工事だからといって、必ず建築確認申請が必要になるわけではありません。

外壁の一部を開口するだけなら、必ずしも建築確認は必要ない

例えば、既存の外壁の一部に新しい玄関ドアを設ける工事は、それだけで建築確認が必要になるとは限りません。

ただし、建築確認が不要な場合でも、建物の構造や防火に関する基準を守る必要があります。

また、玄関の移動に合わせて増築する場合は、増築部分の規模や地域などによって建築確認が必要になることがあります。

大規模なリフォームと一緒に行う場合は注意

2025年4月から、2階建て木造戸建て住宅で主要構造部の半分以上を改修するリフォーム・模様替えを行う場合、建築確認手続きが必要になりました。

例えば、玄関の移動と同時に住宅全体の大規模な改修を行う場合は、工事内容を確認する必要があります。

一方、玄関ドアの位置をずらすようなリフォームは対象外です。

防火地域では玄関ドアの仕様に制限がある場合も

住宅が防火地域や準防火地域にある場合は、玄関ドアを設置する場所によって、防火性能を持つドアが必要になることがあります。

これは、近隣で火災が発生した際に、建物への延焼を防ぐためです。

国土交通省の資料でも、防火地域・準防火地域における外壁の開口部について、防火設備に関する基準が示されています。

希望する玄関ドアを自由に選べるとは限らないため、設置場所に必要な性能を確認しましょう。

建築確認の要否や適用される基準については、現場調査を依頼するリフォーム会社の建築士に確認してもらうことが大切です。

→建設業許可を持ったリフォーム会社とは?【3分】 

玄関ドアの位置変更・玄関移動の費用は何で変わる?

玄関を移動する費用は、移動する距離だけでは決まりません。

新しい玄関をどこにつくるか、どの程度の補強や内装工事が必要かによって、大きく変わります。

特に次の工事が費用に影響します。

工事内容費用が変わる主な理由
新しい玄関ドアの設置ドアの種類、寸法、防火・断熱性能
外壁の開口壁の構造、開口の大きさ、補強の必要性
古い玄関ドアの撤去外壁の復旧、断熱・防水工事
玄関土間の新設床の高さ、基礎の形状、仕上げ材
室内の間取り変更壁の撤去・新設、床や天井の補修
屋外のアプローチ変更ポーチ、階段、スロープ、舗装など
構造補強柱や耐力壁の位置、補強方法

古い住宅では、外壁を開けて初めて木材の腐食や雨漏りの跡、シロアリの被害が見つかることもあります。

その場合は追加の補修が必要になることがあります。

見積もりは玄関ドアの設置費用だけでなく、古い玄関の処理と屋外の工事まで含めて確認しましょう。

✓ 会社選びで大切なこと

実際にリフォームを進めるときは、どの会社に依頼するかも大切です。

会社選びでまず確認したい4つのポイントをまとめています。

玄関を移動する前に確認したいこと

玄関の位置変更を検討する際は、新しい玄関を設けられるかだけでなく、移動後の使いやすさまで確認する必要があります。

工事前には、次の点を整理しておきましょう。

  1. 玄関ドアだけを移動するのか、玄関全体を移動するのか
  2. 新しい玄関を設置したい外壁に柱や耐力壁がないか
  3. 基礎や床の高さが工事に影響しないか
  4. 新しい玄関から廊下や各部屋へ移動しやすいか
  5. 道路や駐車場からのアプローチを確保できるか
  6. 古い玄関をどのように利用するか
  7. 建築確認などの手続きが必要か

特に重要なのは、玄関の場所を変えることで、現在の不便さが本当に解消するかという点です。

リフォーム会社には、次のような質問をしてみましょう。

「希望する場所に玄関を新設できますか?耐力壁や柱に影響はありませんか?」
「新しい玄関の段差を小さくすることはできますか?」
「古い玄関をふさぐ場合、外壁の補修はどこまで必要ですか?」
「玄関ドアだけでなく、ポーチやアプローチも含めて見積もりを出してもらえますか?」

玄関の移動では、建物の構造を確認したうえで、室内と屋外を一体的に計画することが重要です。

玄関そのものを移動できない場合の代替案

希望する場所に耐力壁や柱がある場合などは、玄関の移動が難しいことがあります。

ただし、玄関の位置を変えなくても、現在の不便さを改善できる場合があります。

開き戸を引き戸に変更する

玄関ドアの開閉スペースが使いにくい場合は、引き戸に変更する方法もあります。

引き戸なら、開き戸のように扉が手前へ大きく張り出さないため、玄関前のスペースを使いやすくできる場合があります。

YKK APでも、既存の玄関ドアを引き戸に変更できるリフォーム製品を取り扱っています。ただし、対応できる寸法や設置条件は製品によって異なります。

玄関の位置を移動する目的が「出入りを楽にしたい」ということであれば、引き戸への変更で解決できることもあります。

玄関ポーチやアプローチを改善する

玄関まで遠回りしなければならない、階段が使いにくいといった悩みであれば、屋外の通路を変更する方法もあります。

例えば、門扉や歩く通路の位置を変えたり、階段に手すりを取り付けたりする方法です。

玄関を移動するよりも工事範囲を抑えられる可能性があります。

ただし、敷地の高低差や通路幅によっては、希望する変更ができないこともあります。

玄関ドアの位置変更・玄関移動でよくある質問

Q1. 玄関ドアを横にずらすだけなら、壁を壊さずに工事できますか?

玄関ドアの位置を横に移動する場合は、原則として外壁の一部を開口する工事が必要です。

既存のドアを新しいものに交換するだけなら、壁を大きく壊さないカバー工法が使える場合があります。

しかし、カバー工法は基本的に既存のドア枠を利用する方法です。玄関ドアの位置そのものを移動する工事とは異なります。

Q2. 玄関を家の反対側に移動するリフォームはできますか?

住宅の構造や敷地の条件が合えば、家の反対側に玄関を新設できます。

ただし、新しい玄関を設ける外壁の構造や、室内の間取りを確認する必要があります。

また、道路からの通路や玄関ポーチや、門扉やポストなどを新しくつくる必要が生じる場合もあります。

玄関までの移動距離が短くなっても、室内の動線が悪くなる可能性があるため、間取り全体を確認して判断しましょう。

Q3. 玄関を移動した後、古い玄関を部屋や収納にできますか?

古い玄関を撤去した場所は、床や壁を改修して、居室や収納として利用でます。

ただし、玄関土間と室内の床には段差があるため、床をつくり直す工事が必要になることがあります。

また、玄関ドアを撤去して外壁に戻す場合は、断熱や防水にも配慮する必要があります。

古い玄関を何に使うかによって工事内容が変わるため、新しい玄関の計画と合わせて検討しましょう。

まとめ|玄関の位置変更は、構造と生活動線を確認して判断する

玄関ドアを横にずらしたり、別の外壁に新設したりして、玄関の位置を変更することは可能です。

また、和室や洋室の一部を玄関に変更し、玄関そのものを移動できる場合もあります。

ただし、希望する場所に耐力壁や柱があると、構造上の制約によって工事が難しくなることがあります。

玄関そのものを移動する場合は、室内の間取り変更だけでなく、玄関土間、ポーチ、アプローチ、古い玄関の補修なども必要になります。

まずは、現在の玄関のどこが使いにくいのかを整理しましょう。

そのうえで、玄関を移動する必要があるのか、ドアの種類や外構を変更することで解決できないかを検討することが大切です。

リフォーム会社に依頼する際は、建物の構造を確認できることに加え、室内と屋外の動線まで含めて提案してもらえるか確認しましょう。

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