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執筆:二級建築士 安藤勉
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「大雨のあと、家に異常がないか心配」
「雨漏りはしていないけど、一度点検した方がいい?」
豪雨や台風のあと、このように不安になる方も多いと思います。
結論からいうと、特に異常が見当たらなければ、必ず専門業者に家全体を点検してもらう必要はありません。
まずは、自分で安全に確認できる範囲を見てみましょう。
ただし、確認は必ず雨や風が落ち着いてから行ってください。
避難情報が出ている場合や、周囲に浸水・土砂災害などの危険がある場合は、家の点検よりも自治体などの情報に従い、まず身の安全を確保することを優先してください。
雨や風が落ち着いたら、
室内
↓
屋根・外壁・雨どい
↓
建物まわり
↓
床下
の順に、安全に確認できる範囲を見ていくと分かりやすいでしょう。
異常が見つかった場合は、その場所を必要に応じて専門家に確認してもらいます。
豪雨のあと、まず室内を確認する
最初に確認したいのは室内です。
特に、
- 天井に新しい雨染みがないか
- 壁の上部が濡れていないか
- 窓まわりに水が入った跡がないか
- 床が濡れたり膨れたりしていないか
- カビ臭いにおいがしないか
などを見てみましょう。
雨漏りしている場合は、まずバケツなどで水を受け、家具や家電を安全な場所へ移動します。
また、雨漏りしている状態は、後から原因を調べる手掛かりになります。
できれば写真や動画に残しておきましょう。
雨漏りしている場合の応急処置や、修理が必要かどうかの判断については、こちらで詳しく解説しています。
→ 大雨のあと雨漏りした|まず何をすればいい?修理が必要なケースを建築士が解説
屋根は自分で上らず、地上から確認する
大雨や台風のあとに屋根が心配になっても、自分で屋根に上る必要はありません。
地上から見える範囲で、
- 瓦がずれていないか
- 屋根材が一部なくなっていないか
- 棟部分が傾いていないか
- 棟板金などが浮いていないか
などを確認します。
また、建物の周囲に瓦や屋根材、金属片などが落ちていないかを見るのも一つの方法です。
屋根全体が見えなくても、無理に脚立に乗ったり、高い場所から確認したりする必要はありません。
屋根が心配な方は、自分で上らずこちらの確認方法を参考にしてください。
→ 大雨・台風のあと屋根が心配|自分で上らず確認する方法を建築士が解説
外壁や窓(サッシ)まわりも見ておく
外壁や窓まわりでは、
- 新しいひび割れがないか
- コーキングが大きく切れていないか
- 外壁材が浮いたり外れたりしていないか
- サッシまわりから水が入った跡がないか
などを確認します。
ただし、豪雨や強風のときだけ一時的に雨水が入り、その後の通常の雨ではまったく再発しないこともあります。
また、建物には、入り込んだ雨水を外へ逃がすために、あえて塞いでいない隙間が設けられている場合もあります。
そのため、隙間があるからといって、すべてコーキングで塞げばよいわけではありません。
雨漏りを繰り返す場合は、どこから雨水が入っているのかを確認したうえで、必要な部分を補修することが大切です。
雨どいの外れや詰まりを確認する
豪雨のあとには、雨どいが外れたり、強風で飛んできた葉やゴミがたまったりすることがあります。
地上から確認できる範囲で、
- 雨どいが外れていないか
- 大きく傾いていないか
- 縦どいが外れていないか
- 明らかにゴミが詰まっていないか
などを見てみましょう。
ただし、2階の雨どいなどを脚立に乗って確認する必要はありません。
また、非常に強い雨では、雨どいの排水能力を超えて一時的に水があふれることもあります。
豪雨のときに一度あふれただけなら、必ずしも故障や詰まりとは限りません。
通常の雨でも同じようにあふれるかどうかを確認するとよいでしょう。
建物まわりの土や擁壁にも変化がないか確認する
豪雨では、建物そのものだけでなく、周囲の地面にも変化が起こることがあります。
例えば、
- 建物まわりの土が流れたり、地面がえぐれたり陥没したりしていないか
- 地面に大きな亀裂がないか
- 擁壁やブロック塀が傾いていないか
といった点を確認してみましょう。
特に、斜面に近い住宅や高低差のある敷地では注意が必要です。
建物の基礎が露出するほど土が流れている場合や、擁壁などに明らかな変化がある場合は、自分で判断せず専門家に相談した方がよいでしょう。
地面が大きくえぐれている、擁壁が傾いているなど、危険を感じる場合は近づかないでください。
状況によっては、自治体などへ相談することも検討しましょう。
床下まで水が入っていないか確認する
大雨で家の周囲まで水が上がった場合は、床下浸水していないかも確認しておきたいところです。
床下点検口がある住宅では、安全に確認できる範囲で、
- 水が残っていないか
- 泥やゴミが入り込んでいないか
- 床下が湿ったままになっていないか
- カビ臭いにおいがしないか
などを見てみましょう。
床下浸水した場合は、水が引いたあとに残った泥や水分を取り除き、十分に清掃・乾燥させることが基本です。
無理に自分で床下へ潜る必要はありません。
床下浸水したあとの清掃や乾燥方法については、こちらで詳しく解説しています。
→ 床下浸水したらどうする?水が引いたあとの対処・乾燥方法を建築士が解説
大雨のあとでも、異常がなければ慌てて点検を頼まなくてもよい
豪雨のあと、
「念のため家全体を業者に点検してもらった方がいいのでは?」
と思われるかもしれません。
もちろん、不安がある場合は相談して構いません。
ただ、
- 室内に雨漏りがない
- 屋根に目立った異常がない
- 外壁やサッシにも変化がない
- 建物まわりにも異常がない
- 床下浸水していない
のであれば、必ずすぐ専門業者に家全体を点検してもらう必要はありません。
「豪雨があった=どこか壊れている」とは限りません。
まずは自分で安全に見られる範囲を確認し、気になる場所があれば、その場所を専門家に相談するという方法でもよいでしょう。
大雨のあと、こんな症状があれば専門家に相談する
次のような場合は、一度専門家に確認してもらうことをおすすめします。
- 普通の雨でも雨漏りするようになった
- 天井や壁の雨染みが広がっている
- 瓦や屋根材がずれている
- 屋根材や金属片が落ちていた
- 外壁が浮いたり、大きくひび割れたりしている
- 建物まわりの土が大きく流れている
- 擁壁やブロック塀に傾きが見られる
- 床下に水や泥が残っている
- 床がぶかぶかする
ただし、このような症状があっても、最初から大きな工事が必要とは限りません。
まず状態を確認し、どこまで補修する必要があるのかを判断してもらいましょう。
大雨のあとに突然訪問してくる業者にも注意
豪雨や台風のあとには、
「屋根が壊れています」
「外壁に危険な箇所があります」
などと言って、突然業者が訪問してくることがあります。
本当に不具合がある場合もありますが、その場ですぐ点検や契約をする必要はありません。
特に、
- 「今すぐ工事しないと危険」と言われる
- 無料点検を強く勧められる
- その場で屋根に上ろうとする
- 高額な工事をすぐ提案される
- 「火災保険で無料になる」と言われる
といった場合は、一度立ち止まって検討しましょう。
屋根など自分では確認しにくい場所ほど、自分で選んだ信頼できる会社に確認してもらうことが大切です。
まとめ|豪雨後は「安全に見られる範囲から確認」が基本
大雨や豪雨のあとに家が心配になったら、まず雨や風が落ち着き、周囲の安全が確認できてから家の状態を見てみましょう。
確認する順番は、
室内
↓
屋根・外壁・雨どい
↓
建物まわり
↓
床下
を目安にすると分かりやすいでしょう。
異常がなければ、豪雨があったという理由だけで、必ず専門業者に家全体を点検してもらう必要はありません。
一方で、雨漏りや屋根材のずれ、床下浸水、地面や擁壁の大きな変化などがある場合は、専門家へ相談するとよいでしょう。
また、避難情報が出ている場合や、浸水・土砂災害などの危険が残っている場合は、家の点検よりも身の安全を優先してください。
大切なのは、不安だけで大きな工事を決めるのではなく、まずどこに異常があるのかを安全に確認することです。
豪雨後の修理では、被害箇所を確認し、必要な工事の範囲をきちんと説明してくれる会社を選ぶことが大切です。
「どこに頼めばいいかわからない」「会社選びで失敗したくない」という方はこちらも参考にしてください。
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