外壁塗装ほど手抜きをしやすい工事はないと言われています。
その理由は手抜きをしたかどうか工事が終わった直後には分かりづらく、数ヶ月から数年経って初めて分かるからです。ですから塗装工事は手を抜くつもりがあればいくらでも手が抜けます。工事代を100万円払っても、100万円分の価値のある工事だったり50万円分の価値しかない工事だったりします。統計を見ても外壁塗装ほどトラブル件数が突出して多い工事はありません。
実は、手抜き工事を未然に防ぐ簡単で確実な方法があります。これは、公共工事などで用いられています。塗装業界に携わる人であれば誰もが知っていることですが、これまで一般の消費者がほとんど知ることはありませんでしたので、その方法を紹介します。
まず始めに仕上げ塗料の密着をよくするための下塗りはシーラーと呼ばれる白やグレー、クリーム色の塗料を塗ります。そして2回目の中塗りと3回目の上塗りは同じ塗料を使います。下塗りと中塗りは色が違うため問題ないのですが、心配なのは上塗りです。
なぜなら、大半の業者が中塗りと上塗りを同じ色で塗ってしまっているからです。全く同じ色で塗ってしまうとどうでしょうか?間違いなく部分的に中塗りのままで終わってしまう箇所が出てきます。つまり塗り残しです。
塗り残しがあると塗装工事が完了してからしばらくの間は何の問題もおきません。しかし、1年位経つと徐々に塗りムラが現れてきて見た目が極端に悪くなってきます。
また、塗料のカタログを見れば分かりますが、仕上げに使う塗料の性能はほとんどの場合、2回塗りを前提としています。ですから最後の上塗りを省くことで本来の耐久性が発揮されず塗膜が早く劣化してしまい、 次の塗り替え時期が早まってしまうのです。
手抜き業者は意図的に上塗りの工程を省きます。そうすればその分手間も材料も半分で済むので、 大きな利益を確保できるわけです。塗装工事で見られる一番多い手抜きの方法がこれです。
では、塗り残しを無くすためにはどうすればいいでしょうか?自分で足場に登って一日中職人の仕事を監視するのもひとつの手です。しかし、もっと簡単で確実な方法があります。
色を変えるといっても赤を塗った上に白を塗るわけではありません。そんなことをすると逆に下の色が透けてしまい仕上りが悪くなります。ですから微妙に色を変えるのです。最終的に真っ白に仕上げるのであれば、中塗りはその色に影響が出ない程度に色を混ぜて薄いクリーム色などで塗る。そして、その上から真っ白に上塗りをすれば、塗り残し箇所は一目で分かります。
公共工事ではそれに加えて工程毎に写真を提出するよう義務付けられていますが、一般住宅の塗り替えでも、きちんとした業者ほどこの作業を徹底して行っています。しかし、その一方でこの作業方法を知らない素人のような業者もまだまだ存在しています。
また、 大半の業者は「色を変えて塗る工程の写真提出」を嫌がります。 それは、どんなに小さな塗り残しも許されなくなるからです。しかし、この作業を面倒くさがるような業者は普段から塗り残しを出している業者です。このような業者との契約は避けたほうが無難です。
信頼できる業者かどうかを見分けたい時は
「中塗りと上塗りは同じ塗料だから、 同じ色で塗るんですよね?」
と聞いてみましょう。 「そうですね!中塗りと上塗りは同じ色です」 などと答える業者は信頼しない方がいいでしょう。
逆に「中塗りと上塗りを同じ色で塗ると塗り残しが出るので色を変えて塗ってその証拠として工程ごとの写真をお客様に提出しています」このように答える業者こそが信頼できる一流の塗装工事店なのです。もし、あなたが知り合いの人に塗装工事をお願いしようと思っているときはこの質問だけは必ずしたほうがいいと思います。
ただ、最初から「色を変えて塗って写真を提出してください」とお願いすると、業者は契約をもらうために調子を合わせてきますので、さりげなく質問しましょう。このたった一つの質問であなたが工事を依頼すべき業者なのかどうか一発で分かるはずです。
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